安孫子宏輔の「あびこ菓子」 〜幸せって食べたら甘いと思う。〜 #001カヌレ

スイーツコンシェルジュ資格を持つ、安孫子宏輔さんの連載を開始しました。

※安孫子宏輔さんのCandy Boy卒業に伴い、“安孫子宏輔(Candy Boy)の「あびこ菓子」”を再編集して公開しております。


第1回 安孫子さんとカヌレ

――事前アンケートで、特に好きなスイーツが「カヌレ」との回答でしたので、初回はカヌレをお持ちしました。好きになったきっかけは何ですか?

僕が好きな漫画の中にカヌレが出てきまして……。

――何という作品ですか?

「四月は君の嘘」というのですが。

――あぁっ!

知ってますか?

――まだ見たことがないです。

ぜひ見てくださいっ!

――は、はい。

「四月は君の嘘」※は、もともとアニメ版を見始めたのですが、一気に好きになりまして、耐えきれなくなって漫画を全巻買って読みました。カヌレは結構大切なシーンで出てくるんですが、当時の僕はカヌレを知らなかったんですよ。

※「四月は君の嘘」作者は新川直司氏。2011年~2015年に月刊少年マガジンで連載(全11巻)。2014年にアニメ化、2016年には映画化されている。気になる人は漫画をチェック!

――確かに、カヌレがブームになったのは1996~1997年頃ですからね。

当時、僕は多分5歳くらいで、まだチーズケーキが一番好きではしゃいでいた時期ですね(笑)。

カヌレは絵では見たことあったのですが、食べたことがなかったので調べてみたんです。

それで後日たまたまパン屋さんで見つけて買って食べてみたら、このタイプのスイーツは初めてだ、と。二十歳近くだったので、ケーキとかプリンとか一般的なスイーツはだいたい一通り食べたかなと思っていたんですが、これは知らなかった。

物語が好きなのも相まって、聖地巡礼のような気持ちで食べました。

――外側はカリカリ、中はムチムチでおいしいですよね。

この間食べ比べをしたんですけれど、お店ごとに全然違いますよね。大きさもまちまちで、並べるとおもしろいですよね。

(安孫子宏輔・カヌレ選手権 Twitter動画)

銀座で5軒まわって、カヌレだけを買ってきました。最初は「カヌレを1つください」って言って1個だけ買っていたんですが、「他のはよろしいですか?」って聞かれるので、3軒目あたりで心が折れて「2つください」と。1個だけ買うのが申し訳なくなって。

――1個だけ買うのが気まずいときってありますよね。で、食べ比べてみてどうでした?

本当にカリッカリのところもあれば、割としっとりしているところもあって。外から中にかけてどんどんジューシーになっていくじゃないですか。型に(蜜蝋やバターなどを)塗って、種を流し込んで焼いただけなのに、焼き具合だけで、こんなに食感に違いがでるのはおもしろいなと。

外側のほろ苦い感じとか大人も楽しめますよね。見た目もかわいいし。

見かけるたびに買うんですが、差し入れでも持っていきます。差し入れで買っていく人はあまりいないせいか、結構喜ばれますよ。

正式名称はカヌレ・ド・ボルドー(cannelé de bordeaux)。溝つきの釣鐘のような型で焼くフランス・ボルドー地方の銘菓 。バター、バニラオイル、ラム酒で香り付けした牛乳に、粉糖・薄力粉・卵黄を混ぜてペースト状にし、蜜蝋やバターを塗った型に流してオーブンで焼く。外側はカリカリ、中はしっとりしていてモチモチした食感。

――手が汚れないしサイズも丁度いいのでお土産にもよさそうですよね。
では最後になりますが、スイーツに関する今後の目標をお聞かせください。

スイーツコンシェルジュ検定を通して、僕もまだまだ知らないスイーツがあるということを知ったので、例えば検定テキストに出てくるお菓子とかを食べてみたいなと思っています。

カヌレを初めて食べたときのように、「これが好きだ!」といえるスイーツに新たに出会えたら嬉しいです。

Candy Boyとして活動している中で、僕が知ったスイーツをお客様に紹介する機会があるかと思います。僕が「四月は君の嘘」という作品が好きでカヌレを知ったように、スイーツに馴染みがない人でもCandy Boyや僕を通して新しいスイーツに出会って好きになってもらえたら素敵だなと思います。

今後も色々なスイーツを食べて、アウトプットしていけたら嬉しいです。

――ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


※安孫子宏輔さんは2022年12月31日をもって、Candy Boyを卒業しております。

撮影:伊藤駿