※安孫子宏輔さんのCandy Boy卒業に伴い、“安孫子宏輔(Candy Boy)の「あびこ菓子」”を再編集して公開しております。
安孫子宏輔さんのスイーツ連載「あびこ菓子」。 今回のテーマはお餅のお菓子。日本人にとって馴染み深いスイーツについて改めて考えてみました。
第19回 安孫子さんとお餅のお菓子
――今回のテーマはお餅のお菓子です。
和菓子といえばお餅ですよね。
日本は米の文化なので、確かRice cakeがお餅なんですよね。
なので、コレは「ケーキ」です。
――知らなかったです。
コレは「ジャパニーズケーキ」なんです。
スポンジケーキとかに対してコレと思うと、やっぱりイイですよね(笑)。
100%味勝負みたいな感じがして。
見た目は芸術的なんですけれど、洒落てないというか。
庭園を見ていても違いがわかるんですけれど、西洋は直線の文化じゃないですか。
僕、新宿御苑が好きでよく行くんですけれど、フランス式庭園と日本庭園では全く違うんですよね。
そもそも西洋では「自然を支配する」というイメージが強いから、直線に並べて均等にするらしいんですけれど、日本の場合は自然とともに生きる、自然のお陰で生きられているというのがあるから、直線的ではないと。
――へぇ~。
この考えがお菓子につながっているのかは、まったくわからないですけれど(笑)。
多分海外だと大福もこの形で完成とはしないんじゃないかな、と思うんですよね。
――おもしろい考えですね。
僕たちはこれを見て「和だな」「おいしそうだな」って思うわけで、日本人の根底に染み付いているんだなと、大福とかがおいしいものであると。
和菓子って餡と餅の組み合わせだけで、たくさん種類があるじゃないですか。追求の仕方がすごいですよね。
外国の人がみたら、お餅もお団子も何が違うんだろうって思うかもしれないですけれど。
そう考えると和菓子ってやっぱり奥が深いなと思います。
――そうですね。
あと、ケーキ分野に世界中の食材や日本中の食材が進出していますけれど、逆にお餅分野に世界のものを取り入れたのはまだそこまでないと思うんですよね。
いちご大福とかぶどう大福とかはあると思いますけれど、お餅というホームグラウンドで今後新しいものが生まれてきたら面白いなと思います。
「雪見だいふく」もそういうことですよね。アイスクリームと合わせるという。
ああいうものがまだまだ生まれるんじゃないかなと思っています。
いちご大福も出始めたのは昭和後期らしいんですよね。わりと最近ですよね。だから、これからショートケーキみたいな、とんでもないお餅のお菓子が生まれてくるかもしれないと思うと期待大です。
――楽しみですね。
そういえば、話し忘れていたことがありました。
和菓子といえばお茶ですよ!
絶対に傍らにお茶があるじゃないですか。
あの相性の良さこそマリアージュですよね。
肉に赤ワイン、魚介に白ワインみたいに、和菓子に緑茶。あれは間違いない。
紅茶をケーキに合わせますけれど、マリアージュのレベルでいうと、あんこと緑茶の方がめちゃくちゃ合うと思うんですよね。日本人だからかな。ケーキと紅茶の組み合わせよりも合ってるな~って。
ケーキを食べるときに紅茶がなくても怒らないですけれど、大福を食べていて緑茶がないと、「なんでないの!」ってなりますよね。
和菓子は油を使ってないですもんね。だから余計口の中で合うのかも知れない。絶対そうだ! 油を使っていないから。
――油を使っていなくて、空気を抜いて作る和菓子の場合、お茶がないと飲み込みづらいですよね。
どれほど空気抜くんだって感じですもんね。これ以上潰れないですよね。
最小の体積です。
だから形もコレなんだろうな。ギュッてやらなきゃいけないから。
――だんだん紐解かれてきましたね(笑)。
なるほどな~。おもしろい。
――ありがとうございました。
撮影|伊藤 駿
※安孫子宏輔さんは2022年12月31日をもって、Candy Boyを卒業しております。