[佐藤ひと美のスイーツレポート365]コーヒーを“食材”として描く革新の共鳴。エースホテル京都『KŌSA』× スタンプタウン・コーヒー・ロースターズが贈る、初夏の結実

京都・烏丸御池のエースホテル京都のメインダイニング「KŌSA(コウサ)」が提示する「次なる交差」の幕が上がった。

本日情報解禁となったのは、エースホテルにとって創業時からの盟友であり、コーヒー界のサードウェーブを牽引する「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」との特別なコラボレーションだ。

前作のステファノ・フェラーロ氏による緻密なパズルから一転。今回私たちが目撃するのは、コーヒーを単なるカップの中の飲み物としてではなく、料理やスイーツのポテンシャルを引き出す「多角的な食材」として再定義する、極めて現代的でエネルギッシュなアプローチである。

エースホテルのDNAを共有する「スタンプタウン」との必然

今回のコラボレーションは、必然と言える深い歴史に基づいている。スタンプタウンは1990年代、エースホテルの創業者アレックス・カルダーウッド氏がシアトルで営んでいた理髪店「Rudy’s Barbershop」の常連客であった焙煎士によって興されたブランドだ。2007年のポートランド2号店以来、エースホテルは常にスタンプタウンのコーヒーショップを併設するスタイルを一貫しており、両者はカルチャーを共創してきた「家族」のような存在である。

高品質な豆を生産者から直接調達するスタンプタウンの誠実さは、地元の生産者を慈しむKŌSAの「ファーム・トゥ・テーブル」の理念と完全なる共鳴を見せている。

 

KŌSA AFTERNOON TEA x STUMPTOWN COFFEE ROASTERY

①2026年5月7日(木)〜 6月30日(火):アメリカンチェリー

②2026年7月1日(水)〜 8月31日(月) :マンゴー(予定)

前半(5月7日〜6月30日)は、初夏の主役「アメリカンチェリー」とコーヒーの甘美なマリアージュ。

今回のラインナップで最も特筆すべきは、コーヒーの豊かなアロマと、5月・6月に旬を迎えるアメリカンチェリーの甘酸っぱさが織りなす重厚なレイヤーだ。

その象徴といえるのが、「クッキーサンド コーヒーガナッシュ」である。

スタンプタウンのコーヒー豆を1日かけて生クリームに漬け込み、香りを丁寧に移したエアリーなチョコガナッシュを使用。一口含めば、豆本来のフルーティーな香りが鼻に抜け、周りにあしらわれたピーカンナッツの香ばしさとともに、素材への深いリスペクトが伝わってくる。

アメリカの伝統を再構築した「レッドベルベットケーキ」は、鮮やかな赤色のレイヤーが美しい。

王道のチーズフロスティングをあえてコーヒー風味に仕上げることで、濃厚な質感に知的な苦味を調和させた大人な一皿となっている。

さらに、発酵バターを贅沢に折り込んだ「デニッシュタルト」は、こだわりの層の中にアーモンドクリームとピスタチオクリーム、そしてアメリカンチェリーの甘酸っぱさを閉じ込め、香ばしさと果実味の重なりを楽しめる。

また、アメリカンチェリーを焼き込んだ濃厚なニューヨークチーズケーキと爽やかなレアチーズケーキの2層が楽しめる「ダブルチーズケーキ」や 、季節ごとに表情を変えるスタンプタウン名物のドーナツをアレンジした「モカドーナツ ピーナッツバター」など、多彩なラインナップが並ぶ。

そして、コースを締めくくるミニパフェスタイルの「コーヒーゼリー ティラミス」。

スタンプタウンのエスプレッソで作るキリッとした苦味のゼリーに、コーヒー豆の香りを移したカフェラテアイスを合わせ、コーヒーの魅力を余すことなく引き出している。

ウェルカムドリンクの「ココナッツコールドブリュー」は、デカフェ豆にバニラの香りを纏わせ、ココナッツウォーターでゆっくりと水出しされたもの。

そこに添えられたチェリーソルベの甘酸っぱさが、初夏の京都にふさわしい清涼感あるコントラストを描き出している 。

コーヒーの個性を“スパイス”として昇華させたセイボリーの衝撃

スイーツのみならず、コーヒーを「燻製」や「ソース」の香材として展開したセイボリーの独創性も見逃せない。

「コーヒーでスモークしたトラウトサーモンのサラダ」は、桜のチップにコーヒー豆を加え、瞬間スモークを施した一皿だ。立ち上るスモーキーな芳香がサーモンの甘みを引き締め、鼻腔に心地よい余韻を残す。

また、「グリーンアスパラガスのサラダ」では、エスプレッソと柑橘を合わせたビネグレットを採用。旬のアスパラガスの瑞々しさに、コーヒーの持つほろ苦さが重なり、味覚の輪郭を鮮やかに浮き彫りにしている。

他にも、ナッツとドライチェリーを加えて焼き上げたクラシックな「パテ・ド・カンパーニュ」や 、自家製ハムとリコッタチーズに柚子と山椒が香る「トルティーヤロール」など 、アメリカのカルチャーと京都の旬が皿の上で密に交差している。

  

進化し続ける“味覚の交差点”

スタンプタウンが大切にしてきたポートランドの自由な精神と、KŌSAが守り続けるファーム・トゥ・テーブルの哲学。監修者が変わることで表現の彩りは変化しても、その根底には常に、最高品質の素材を最も輝かせるための情熱が息づいていることを確信した。

進化し続けるKŌSAのアフタヌーンティー。それは、訪れるたびに私たちの食への価値観を更新してくれる、比類なき“味覚の交差点”であった。