[佐藤ひと美のスイーツレポート189]開業70周年!伝統を紡ぎながら現代技術を織り込む「ホテル椿山荘東京」の魅力。

1990年代、東京のホテルで初めて本格的な英国式アフタヌーンティーを提供したといわれる「ホテル椿山荘東京」の歴史は、日本文化を語る上で重要な場所なのをご存知だろうか。

古くは南北朝時代に遡るが、まずはホテル誕生からお話ししようと思います。

外資系ラグジュアリーホテルの先駆けとして1992年に開業した「フォーシーズンズホテル椿山荘 東京」。

その後、日本国内に数多くの外資系ラグジュアリーホテルが誕生する中で《「和」のおもてなし》を前面に打ち出すなど競合ホテルとの差別化を図るため、もともと名門の結婚式場だった総合宴会施設である椿山荘を統合し、『世界をもてなす、日本がある。』をコンセプトにリブランドした「ホテル椿山荘東京」を2013年1月1日より運営。

都心にありながら、 ”都会のオアシス”と賛えられる森のような庭園が特徴的で、約5万㎡の敷地には、緑濃い森や清流が流れる中に、庭のシンボルである国の有形文化財の三重塔や茶室、史蹟や施設が緑に隠れるように点在しています。

さて、《椿山荘》のある東京・文京区の関口周辺は、南北朝時代(1336〜1392年)から椿の咲く「つばきやま」と呼ばれており、松尾芭蕉も江戸時代初期から深川芭蕉庵に移るまでの4年余り、一時居を構えた丘陵地。

その後、日本軍閥の祖といわれた山縣有朋氏(伊藤博文と共に明治政府の最高指導者となり、内務卿・枢密院議長・総理大臣等を歴任)が私財を投じて1878年に「つばきやま」を購入し、庭と邸宅をつくり《椿山荘》と命名したのだそうです。

山縣有朋氏(「ホテル椿山荘東京」様より画像提供)

1945年の空襲で、山縣の記念館や大邸宅、樹木の大半が殆ど灰燼に帰してしまうのですが、1948年に藤田興業へと所有が移ると『戦後の荒廃した東京に緑のオアシスを』の思想の下に名園椿山荘の復興に着手。

1952年、ガーデンレストランとして「椿山荘」をオープン。

時を経て、1991年のバブル崩壊を大きなターニングポイントに”外資系高級ブランドホテル”が続々と日本へ参入する中、「椿山荘」も1992年には敷地内「フォーシーズンズホテル椿山荘 東京」をオープン。

このバブル崩壊後、日本では国内の大都市に”外資系高級ブランドホテル”が相次いで開業するのにあわせて英国の紅茶文化の象徴であるアフタヌーンティーを取り入れるようになりました。

1971年の紅茶輸入自由化以降、英国系ティールームを筆頭にシルバーの3段スタンドを用いたアフタヌーンティーを提供する店舗が国内でも少しずつ増えてきてはいたものの、出てくる内容は日本式にアレンジした”フワフワしたパンのようなスコーン”とホイップした生クリームだったそうです。

「フォーシーズンズホテル椿山荘 東京」時代に提供が始まった本格的英国式アフタヌーンティーでは、”外はカリッと、中はふんわり”の英国スタイルのスコーンとオリジナルのデヴォンシャークリーム。

この感動的な美味しさと、重厚感漂うロビーを抜けた先に広がる優雅な雰囲気のラウンジで味わうことができるアフタヌーンティーは一躍話題となり、多くのホテルがアフタヌーンティーを取り入れるようになりました。

今やSNSでも話題になっている”ヌン活”と呼ばれるホテルのラウンジなどで優雅にアフタヌーンティーを楽しむ活動をする人が増える一方で、日本ならではのアレンジを加えたスタンドでなはいアフタヌーンティーや、英国式でなくフランス式おやつなどのバリエーションが豊かになっています。

では、東京のホテルで初めて本格的な英国式アフタヌーンティーを提供した「ホテル椿山荘東京」の現在はどうなのか。

現在提供中の「クリスマスアフタヌーンティー」を頂いてきました。

クリスマスアフタヌーンティー

提供期間:2022年11月15日(火)〜2023年1月9日(月) ※2022年12月26日(月)以降は、 内容を一部変更し「ホリデーアフタヌーンティー」を提供 

※アフタヌーンティーは、完全ご予約制(前日 18時まで)で承ります。 

提供時間:12:00〜L.O.18:00 

《web予約》価格:クリスマス/ホリデーアフタヌーンティー お一人様 5,950円 ウエルカムドリンク付き 6,950円

《電話予約》価格:クリスマス/ホリデーアフタヌーンティー お一人様 6,450円 ウエルカムドリンク付き 7,450円 (全て税込・サ別) 

ご予約・お問い合わせ:03-3943-5489(10:00~19:00)

URL : https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/restaurant/plan/christmasafternoontea2022/

提供当初から変わらぬシルバーの3段スタンドを用いたアフタヌーンティーに、厚さもある大きめなスコーンが3種。

このスコーンが、驚くほどほろほろとしていて美味しい!と大好評で、ホテルショップ「セレクションズ」でもセットにして販売されています。

ちょうど取材に伺っている時に、宿泊されている方がお部屋で食べたいので。と購入されていました

ホテル椿山荘東京」のアフタヌーンティーは、ベースのスタイルは変わらないものの、シーズン毎にテーマを変え、味や素材のラインナップもテーマに沿った内容で提供されています。

現在は、「ホテル椿山荘東京」日本最大級の霧の庭園演出「東京雲海」がホテル開業70周年を記念して、眩いばかりの光が放たれる「祈り星〜アニバーサリーフラッシュ〜」と、カナダのイエローナイフのオーロラを再現すべく進化した冬の庭園演出「森のオーロラ」を公開しており、庭園の眺望を活かしたロビーラウンジ 「ル・ジャルダン」ならではのアレンジとして、アフタヌーンティーではカナダのクリスマスやホリデーシーズンをイメージした「クリスマスアフタヌーンティー」を提供中。

上段のスイーツでは、庭園演出「森のオーロラ」にちなみ”カナダ”をテーマにジンジャーとメープルを組み合わせた「ジンジャーケーキ」を採用。

ジンジャーケーキの中には生姜を砂糖漬けしたものを練り込むだけでなく、上にメープルアーモンドクリームとくるみのキャラメリゼをのせて仕上げることで、より生姜の味と香りを存分に感じることができます。

カナダの漆黒な夜空にキラキラ輝く星空をイメージした「オペラ」は、バタークリームとチョコレートを層にしたベーシックなチョコレートケーキ。

サンタに見立てたグラスデザートはいちごジュレとチョコレートのスポンジを層に。(※12月26日からは、銀世界の装いで登場。 )

クリスマスツリーをイメージした「抹茶クリームタルト」の中には、ホワイトチョコレートのガナッシュとフルーツグラノーラで味の多様性や食感をプラス。(※12月26日からは、金箔を振るい年末年始の華やかさをイメージした装いで登場。)

12月26日から変更される上段スイーツ

中段のスコーンは、定番のプレーンスコーンと、ホリデーシーズンをイメージした柚子スコーンとピスタチオとチェリーのスコーンの計3種を、通常のクロテッドクリームとメープルクロテッドクリームやジャムで。

下段のセイボリーでは、信玄鶏のコンフィと冬の味覚のカブ、紅芯大根のピンチョスや、ほうれん草のパンに桜チップでスモークしたサーモンがのったクリスマスカラーのオープンサンドなど4種のセイボリー。

通常、お部屋ではご用意していない「ル・ジャルダン」のアフタヌーンティーをお部屋でいただける宿泊プラン【インルームアフタヌーンティーステイ】も開催中なので、周りや時間を気にすることなくリラックスして東京初の本格的英国式アフタヌーンティー「ホテル椿山荘東京」の世界を堪能したいという方は公式サイトからチェックしてみてください。

国内最大級の霧の庭園演出「東京雲海」 :森のオーロラと祈り星〜アニバーサリーフラッシュ〜

※現在、「ホテル椿山荘東京」の広大な庭園への入場は感染症対策のため、宿泊及びレストランなどのホテル敷地内を利用する方のみとなっています。

空間デザインの価値を未来へ繋ぐために設立された日本最大級のデザインアワード「日本空間デザイン賞2022」:エンターテイメント&クリエイティブ・アート空間 / Entertainment & Creative/ Art spaceにおいて、銀賞を受賞した「ホテル椿山荘東京 東京雲海と7つの季節」。

ホテル椿山荘東京」は開業70年を迎えるにあたり、2020年から3カ年計画でさまざまな絶景を提供する「庭園プロジェクト」を始動。

『いつの時代も、その時代が必要とするオアシスであり続ける』というコンセプトの下、2020年に日本の高い技術で作られたノズルを用い、雲と同じ細かい水粒を発生させて造る霧と、歴史ある庭園の自然を融合させた、国内最大級の霧の庭園演出「東京雲海」を開始しました。


雲海】とはそもそも、さまざまな条件が整わなければ発生しない自然雲海の風情です。

それを、東京にいながら毎日ご体感いただける“見て”“触れられる”奇跡の絶景を創り出し、人工的な霧の演出でありながら、風や気温、湿度、陽の射し方などの人智を越えた力の活用もデザイン時の重要な視点と捉え、一秒として同じ景色がなく、瞬間瞬間の圧倒的な絶景をお楽しみいただける演出を実施。

「東京雲海と7つの季節」とは、ホテル庭園の風情は四季だけでは語りつくせず、椿・桜・新緑・蛍・涼夏・秋・冬の7つの各季節の美しい情景と「東京雲海」を連動させ、いつお越しいただいても心をゆさぶる景色と風情があることを目指しデザインしたそうです。

2022年11月11日(金)に迎えた開業70周年を記念し、眩いばかりの光が放たれる「祈り星〜アニバーサリーフラッシュ〜」と、カナダのイエローナイフのオーロラを再現すべく進化させた「森のオーロラ」を組み合わせることで、後世に誇る自然と、現代技術が融合した“奇跡の 7分間”の演出を2023年2月7日(火)までの期間実施。

森のオーロラと祈り星〜アニバーサリーフラッシュ〜」概要 

開催期間:〜2023年2月7日(火)

出現時間 :19:00〜 / 20:00〜 / 21:00〜 / 22:00〜 (※1日 4回)

※19:30〜 / 20:30〜 / 21:30〜 は「森のオーロラ」のみ演出あり ※その他、東京雲海の演出もお楽しみいただけます。 

出現エリア:庭園内 幽翠池エリア 

URL: https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/7s/winter/

カナダのイエローナイフの冬のオーロラの再現度をより高めるべく、春に多く見られるという赤みの色を減らし、エメラルドグリーンや青みを増やした進化した「森のオーロラ」が出現。

一方向だけでなく頭上にまんべんなく出現するのもイエローナイフのオーロラの特徴。静かな冬の夜に現れる“奇跡の 7分間”を演出。 

その後出現する「祈り星〜アニバーサリーフラッシュ〜」は、2020年に疲れを癒す祈りのひとときをという想いで生み出された「祈り星」を進化させ、雲の中に輝く幻想的な星空をイメージした光の演出です。

はじめは、 開業 70周年や皆さまのホリデーシーズンを祝うかのように華やかに輝き、次に静かに祈りのひとときを過ごしていただくかのように庭園の斜面が暗転し、きらめきが放たれて神秘的な雰囲気に包まれる時間をお楽しみください。 

開業70年! 「森のオーロラと祈り星〜アニバーサリーフラッシュ〜」の公開に合わせた限定スイーツも販売中。

ホテルショップ「セレクションズ」では、2022年10月に「東京雲海」の 2 周年を記念し生まれた新しい東京雲海スイーツ「ビスキュイロールケーキ〜雲〜」が、本演出の公開に合わせて雲海と、カナダのオーロラの景色を再現したアレンジで登場。

ビスキュイロールケーキ〜オーロラ〜

提供期間:〜2023年2月7日(火)

価格:700円(税込)

東京雲海の雲のようなふんわりとした軽さを視覚と味覚で味わえるようにと、空気をたくさん含ませた軽くて優しいクリームを、マスカットのような香りを感じるエルダーフラワーシロップを染み込ませたビスキュイでたっぷりとロール。

バタフライピーを採用することでオーロラを模したクリームとピスタチオクリームが景色も再現しています。 

その他にも、閉園後の庭園でオーロラの絶景を独り占めしているような気分になれる、1日 6組限定のステイプランや、東京雲海カクテルの オーロラ版、オーロライブニングハイティーなども提供中なので、歴史が随所にあふれるホテル庭園に広がる冬の“光の絶景スポット”と共に、素敵で特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。