[佐藤ひと美のスイーツレポート297]歴史と香りに包まれた、五感を刺激する新空間。渋沢栄一邸宅跡地に、カカオの新たな可能性を探究するラボ「nib」、フレグランスブランド「LAURASIA」を展開するフレグランスロビーがオープン

時は明治時代。日本の近代化を牽引した渋沢栄一は、この地で何を思い、どんな未来を描いていたのでしょうか?

近代日本経済の父と呼ばれる彼の邸宅跡地に建てられた歴史資産「日証館」。

その一部をリノベーションし、2024年12月21日に誕生するのが、”カカオ”と”香り”の秘密基地「nib」とフレグランスロビー。

19世紀の重厚な歴史的建造物の中に足を踏み入れ、目を閉じれば、芳醇なカカオの香りが漂い、五感を優しく包み込む。そこは、まるで秘密基地のような、大人のための特別な空間。

カカオの香りに包まれた魅惑の空間「nib」と、五感をくすぐるフレグランスの楽園、フレグランスロビー。

歴史と現代が織りなす、全く新しい空間が誕生しました。

  

カカオの世界へようこそ!「nib」で味わう、五感で楽しむカカオ体験

「食」のスペースに誕生するのは、カカオの新たな可能性を探究するラボ「nib(ニブ)」。

同建物1階のチョコレート&アイスクリームショップ「teal」の眞砂翔平氏が手がける、全く新しいカカオ体験スペースです。

ショコラティエの枠を超え、カカオの可能性を追求する実験的な取り組みを実践する、まさに「ラボ」と呼ぶにふさわしい空間。

”カカオ”という素材を、身近なものとして感じていただくことを目的とし、五感を通して体感することができる場となっています。

8席限定のシェフズテーブルでは、ここでしか味わえない特別なデセールを用意。

チョコレートの枠にとらわれず、カカオの様々な魅力を表現した、驚きと感動に満ちたメニューをお楽しみいただけます。

  

♢カカオのデザートコース

価格:5,500円

内容:ドリンク「カカオの のみもの」、カカオの小菓子 8種 カカオの調理発見『ひとつまみ』、皿盛りデザート「nibから」という名の一皿、おまけ

※1月よりデザートや小菓子のアラカルトメニューの提供も開始。

※メニューは仕入れ状況等により変更となる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

カカオのデザートコースでは、自らカカオ豆を焙煎、その後砕く体験をすることができる。

そのニブを使って、提供されたカカオの小菓子「ジブンのカカオ」を仕上げるチョコレートタルト。

その他には、サクサクのクッキーと濃厚なカスタードクリームの絶妙なハーモニーがカカオの深い味わいを引き立てるシュークリーム「カカオのとろサク」、カカオバターで作った練りパイ生地と、カカオの出汁を使ったタルトタタン「カカオのりんご」。

カカオの育成のために必要なシェードツリーとカカオパルプのギモーブ「シェードツリーとカカオの実」など、カカオ豆からチョコレートを作る過程で生まれる、カカオバターやカカオハスク、カカオパルプといった副産物も、シェフのクリエイションによって、全く新しい姿で生まれ変わります。

そして、メインデザートには、日本の果実などとカカオの共存を図る一皿として、旬果実「みかん」をカカオやカカオハスク、カカオの親戚「マカンボ」といった素材と合わせた、珠玉のデザートが登場。

仕上げには、コースの最初に参加者が焙煎し砕いたニブから仕上げたチョコレートをアイスの上に飾るという、単に甘いものを食べるだけでなく、カカオという素材の奥深さ、そして可能性を体感できる、特別な時間を楽しむことができました。

カカオ豆の持つ無限の可能性を、余すところなく引き出し、カカオの新たな一面に出会うことのできる驚きと感動に満ちた内容です。

ぜひ、カカオの未知なる魅力を体験する「nib」のデザートコースを楽しんでみください。

焙煎されたカカオ豆の芳醇な香りに包まれ、その奥深い味わいに魅了されることでしょう。

ーーーnib シェフ 眞砂翔平氏 コメント

『僕にとって、チョコレートは幼い頃から身近でしたが、その原料でもあるカカオは見たことがありませんでした。そこで私は、実際に木に実った状態の本物のカカオを自分で確かめたい、カカオという素材について深く知りたいと思い、カカオの産地であるコスタリカに行くことにしました。

現地で目にしたものは、自分の頭の中で思い描いていた生産者や農園、チョコレート工場とは全く違ったものでした。学校の教科書では3品種と教わっていたカカオの品種が、コスタリカでは1200種も保存され、それぞれ味や形、色なども品種ごとに異なり、正直とても驚いたのを覚えています。

チョコレート工場では、エンジニアがカカオ農家からカカオ豆を買い、発酵・乾燥させたものを自分たちで作ったり改良した機械を使ったりしながら、システマチックにチョコレートの製造を行っていました。このことから、世の中に溢れているカカオ栽培におけるネガティブな情報との違いに、良い意味でのカルチャーショックを受けました。

カカオの真の価値は「食体験」であり、チョコレートにすることだけではありません。僕が本物のカカオを見て食べて知ったときのギャップや感動を、僕自身が作るものによってみなさんにもお届けしたい。そして、カカオの新たな価値や可能性を伝えるためのブランドを作ろうと思い、nibの開業に至りました。』

  

日本人の繊細な感覚を刺激する、フレグランスブランド「LAURASIA」

nib」に隣接するフレグランスロビーは、オリジナルのフレグランスブランド「LAURASIA」を中心に展開する、香りを楽しむ場となっている。

空間を演出するオーダーメイドの香りやプロダクトの開発なども行っており、2025年にはオリジナルのリテール向け製品を発売予定とのこと。

フレグランスロビー内にはカウンセリングルームを設置し、その場で蒸留や調香などの体験をしていただくことも可能だとか。

LAURASIA」がラインナップされるフレグランスロビーでは、象徴的な機能として、調香師の山内みよ氏による『蒸留機能を活かした実験的な取り組み』を行なっている。

具体的な例としては、「nib」のデセールで使用した果物の皮やスパイスなどの廃棄予定の素材を活用し抽出した香りの開発や、屋上菜園プロジェクト「Edible KAYABAEN」とのコラボレーション。

また、兜町エリアの植栽で剪定された木々などを利用するなど、街に香りを広げていくことを目的としながら、一過性ではない香りの需要を提案されています。

<Space Aroma:日証館の香り>

Ho Wood / Cedar Wood Atlas / Clove Leaf / Bergamot / Rosemary

このたびは、戦後の経済の中心にあった「日証館」という場所の香りを開発させていただきました。かつての度重なる窮地を乗り越え復活してきた人々の想いや熱量を、現代の形に繋いできた場所にふさわしい「錦秋(きんしゅう)」という意味を持つ香りとして調香。

  

「食」と「香り」の融合が拓く、未来への挑戦

日本橋兜町に誕生する、カカオの新たな可能性を探究するラボ「nib」とフレグランスブランド「LAURASIA」を展開するフレグランスロビー。

この二つは、これまでタブーとされてきた「食」と「香り」の組み合わせに挑戦する、全く新しい試みです。

nib」では、カカオの新たな可能性を追求する中で、カカオという素材への理解や学びにつながるきっかけの場としての機能や、コミュニティが生まれる仕組みづくりを。

フレグランスロビーでは、香りの持つ力を活かし、ストレス軽減やリラックス効果をもたらす、癒やしの空間を提供します。

これまでにない新しいアプローチで次世代の食文化創造に挑戦を続けるイートクリエーターらしい「食」を切り口にしながら、カカオというひとつの素材に特化したクリエイティブな表現と価値創造を目的とした「nib」と、今までにない取り組みとなる「香り」の事業とオリジナルブランド「LAURASIA」。

食と香りの融合を通して、進化を続ける街「日本橋兜町」から、生み出される新しい価値観やインキュベーションに、これからも目が離せません。


nib(ニブ) / フレグランスロビー

住所:東京都中央区日本橋兜町 1-10 日証館 1 階

定休日:水曜日

営業時間:10:00〜18:00