[高橋志穂の北国いわてのスイーツ便り9]早春の産地視察、生産者と交流も。 メゾン・ジブレー江森宏之シェフ

メゾン・ジブレー江森宏之シェフ(中央)、奥州市のミズサキノートにて

岩手の生産者、パティシエが参加した交流会

コンフィチュールの講習会の様子

2020年3月上旬にメゾン・ジブレーの江森宏之シェフが岩手県を訪れました。
1日目は、生産者や岩手県内のパティシエとの交流会。
江森シェフによる、講演とコンフィチュールの講習会が行われました。

「フルーツを使って世の中の人を楽しませたい」というテーマを掲げているメゾン・ジブレー江森シェフ。
岩手にも幾度となく足を運んでいますが、この日は、「パティシエが求める果実について」と題して、宇和島のブラッドオレンジとの出会いと、店での取り組みについてのお話を聞くことができました。
商品開発の工夫はもちろん、産地に何度も足を運ぶフットワークと生産者とのコミュニケーションは、江森シェフならではの行動力と実践力。参加者は頷きながら話に聞き入りました。

講演の後は、江森シェフによるコンフィチュール作りの講習。いちごとパッションフルーツ、ラズベリーの2種を、実演しながら教えてくれました。

糖の使い分けの重要性についてのお話も

ラズベリーは、岩手県の生産者・サンファームで穫れたものを使用。
講習会場は、甘い香りに包まれました。
ラズベリーのコンフィチュールの色を見た参加者は「こんなにきれいな色のラズベリーは珍しい。輸入のものではこんなにきれいな色が出ない」と驚いた様子でした。

江森シェフも「国産のラズベリーはとても価値がある。それに色もきれい。このラズベリーがある産地として、とても優位性があると思う」と話していました。

サンファームのラズベリーを使用したコンフィチュール

最後は、参加者が作ったコンフィチュールでマリネしたフレッシュなイチゴを、江森シェフが自店から持参したパンナコッタの上に乗せて、いただきました。

ベリーをふんだんに使ったパンナコッタに

参加した岩手県内の生産者やパティシエは「岩手県産の果実や、果実を使ったスイーツをもっと消費者に届けたい」と、意識の高い交流が生まれていました。

2日目は、岩手県内の産地めぐり。

2日目は、岩手県でも有数のりんごの産地、奥州市からスタート。
りんご農家をしながらカフェを営む「ミズサキノート」は、自園のりんごを使ったジュースやサイダー、コンフィチュールなどの販売もしています。

ミズサキノートの及川さん夫婦

ミズサキノートの及川さん夫婦は、もともとデザイナーだったこともあり、商品のパッケージなどのデザインがとてもおしゃれ。
毎年11月に開催している「りんごのおまつり」では、ジュースやコンフィチュールの他に、りんごの雑貨なども販売し、県内外からたくさんの人が訪れています。

色とりどりのジュースやコンフィチュール。りんごを軸にバリエーションが豊富

江森シェフは、りんごジュースと、サイダー、アップルパイを試食。ジュースは、王林、トキ、サンふじ、シナノゴールド、といった、品種別のストレートジュースで、飲み比べると色も味も違います。
アップルパイは、りんごがぎっしり詰まったミズサキノートのオリジナル。
これほどまで贅沢にりんごを使ったアップルパイは、生産者だからこそ。

りんごジュースを試飲する江森シェフ
りんご好きにはたまらないミズサキノートのアップルパイ

奥州市の「ガーデン・ハックルベリー」の生産者「夢楽(むら)のかあちゃん」では、ガーデン・ハックルベリーのジャムを試食。ガーデン・ハックルベリーは、アントシアニンが豊富で、ブルーベリーのような色をしています。「夢楽のかあちゃん」では、ヨーグルトのソースにもなる「ハックルベリーso-su-」を販売しています。

「夢楽の味工房」にて。ガーデンハックルベリー生産者と
ガーデンハックルベリー(夢楽の味工房サイトより)

一関市の「骨寺村荘園交流館」では、「南部一郎かぼちゃ」の普及活動を行なっている骨寺村荘園カボチャ研究会の会長・佐藤弘征さんがお出迎え。
「南部一郎かぼちゃ」は、ひょうたんのような形のカボチャで、生でも食べられます。さらりとした食感でとても甘味があり、見た目も可愛らしいカボチャ。江森シェフは「このままでも美味しい。ジェラートにもいいけど、サラダにしても良さそう」と話していました。

ユニークな形の「南部一郎カボチャ」
骨寺村荘園カボチャ研究会の二人と

金ケ崎町の「牧草の丘」では、ジェラートを。こちらのジェラートは、金ケ崎町和光で生産された牛乳を使用しています。店ではジェラートの原料となる牛乳をホットミルクでいただいたのですが、甘くて濃厚。後味も良くとても美味しい牛乳でした。ジェラートに新鮮な牛乳を使えるのは、産地の特権です。

金ケ崎町「牧草の丘」にて
地元のミルクを使用した、牧草の丘のジェラート

盛岡では、「舘沢イチゴ園」と「サンファーム」を訪問。
3月上旬の岩手。今年は暖冬とはいえ、まだ寒さの残る季節。日本中の産地を訪問している江森シェフの目に、どのように映ったのでしょう。

「3月はシーズンオフだなんて全然感じませんよ。いい出会いもありましたし、面白い発見もありました。また来ます!」と江森シェフ。
地元で暮らしていると、3月はまだまだ果物が少ないイメージがありましたが、前向きな江森シェフの言葉に、こちらが勇気付けられました。

サンファームで加工したドライフルーツ。色もきれい

さあ、岩手の春がやって来ました。いわて果実とスイーツの今後、とても楽しみです。

サンファームの吉田さん夫婦と

取材協力・岩手県農林水産部流通課

メゾン・ジブレー(本店)
神奈川県大和市中央林間4-27-18
https://givree.tokyo/