[佐藤ひと美のスイーツレポート 35]現代フランス菓子の概念を創った伝説のメゾン「ルノートル」が日本再上陸。第一号店舗は銀座三越に!


現代フランス菓子の概念を創った伝説のメゾン「ルノートル」が日本再上陸。第一号店舗は銀座三越に!

フランス菓子をアートの領域まで高め、フランス菓子界の父とまで称されているガストン・ルノートル氏が1957年にパリで創設した、メゾン「LENÔTRE(ルノートル)」。
ケータリング、お惣菜やパン、ケーキ、チョコレートなど多種を扱っている高級食料品店として、卓越した才能を持つシェフたちが素材を徹底的に選び抜き、独自の技術やノウハウでレシピを繊細に組み立てる、圧倒的な存在感を放つパリ最高峰のメゾンの一つです。

個人的にもとても大好きなブランドで、2009年に一旦日本から直営店を撤退させた時はとても寂しく思ったものです。

その後、2017年からは「サロン・デュ・ショコラ 東京」などを通して日本で期間限定としてチョコレート商品の販売をしていましたが、3月27日に再上陸した直営店では、素材を活かしながら、料理を組み立てるように絶妙なバランスを織りなす菓子作りと、美味しいものを食べるときに感じる喜び“プレジール”をしっかりと届けていきたいと生ケーキ、焼き菓子、チョコレートの展開が開始されました。

「ルノートル」は、現在M.O.F.(国家最優秀職人章)を取得した職人が7名在籍しており、ガストン・ルノートル氏のメゾンを受け継いだガストロノミーの概念のもと、ショコラから惣菜に至るまで、様々な洗練された味覚を生み出し続けています。
そこには60年にわたって引き継がれてきたノウハウがあり、それを基に常に良いものをと“発展・進化”することを大切にしています。

◾️「LENÔTRE(ルノートル)」の歴史

1947年、フランス・ノルマンディに最初のプティックを開店したガストン・ルノートル。1957年には妻のコレットと共に、パリでブティックを開業します。
その後、ケータリング・レセプション運営事業や、パリ近郊に菓子研究所を創設。1971年にはその後多くの著名パティシエを輩出することとなる料理学校「エコール・ルノートル」を設立します。
1975年、ドイツ・ベルリンに最初の海外ブティックを開業。
1979年、東京にブティック1号店(西武百貨店池袋店)を開業します。
1987年、コルベール委員会*に加盟
*コルベール委員会とは、フランスの文化・生活美学を世界に啓蒙することを目的に1954年に設立(クリスチャンディオール等、フランスの75ブランドが加盟)
1998年には、フランスサッカーワールドカップのフランス選手団の公式トレトゥールを担当し、その後も2013年のパルク・デ・プランスVIP公式トレトゥール担当や、2014年ロイヤルアスコットのトレトゥール担当、2015年と2017年のCOP21 Parisトレトゥールを担当するなど、フランスで唯一無二の存在として多くのパリジャン・パリジェンヌに愛されるブランドです。

料理学校施設を備えた「ル・パヴィリヨン・エリゼ・ルノートル」を開業し、2010年にはフランス政府によって職人の技術が最高であると評価された企業にのみ贈られる「Living heritage company」を受賞しています。

2004年からはGuy Krenzer(ギー・クレンザー)氏が、ガストン・ルノートルの遺志をつなぐ「ルノートル」クリエーション・ディレクターに就任しました。

星付きのレストラン料理人や、フランスの大物政治家や有名俳優御用達のパリ老舗カフェ「フーケッツ」や高級トレトゥール「サン・クレール」のシェフを務めたのち、「ルノートル」クリエーション・ディレクターに就任。

1988年にシャルキュトリー・トレトゥール部門、1996年にキュイジニエと、2つのM.O.Fを獲得。【素材にこだわり、料理のようにレシピを考えてお菓子やチョコレートを創る】というコアコンピタンスの基、ガストロノミーの概念を持つ、ルノートルでしか表現できないパティスリーやショコラを作り上げています。

パリスタ焙煎士の資格も取得しているため、ショコラ「カフェ・デュ・グアテマラ」の風味のクオリティは非常に高い。
サオトメ島原産・ガーナ産・タンザニア産のカカオ豆を独自のブレンドで仕上げたコーヒーガナッシュ。
そして美しいほど繊細に作り上げた「ピスターシュ・ドゥ・ブロンテ」は、イタリア・ブロンテ地方のピスタチオを使うことでより芳醇な香ばしさを醸し出しており、是非とも皆さんに食べていただきたいです。

そのほかのショコラに関しても、プラリネやガナッシュの風味や口溶けを活かすようにそれぞれチョコレートコーティングの厚さを変えています。

それは、「ルノートル」のこだわりであり、ショコラを作る上の遊びポイントなのだそうです。

2年連続でギー氏に取材させていただきましたが、今年は「貝印株式会社」と日本スイーツ協会 代表理事「辻口博啓氏」が考案したポータブルなショコラ用カッティングツール【ワイルドカカオ ショコラセパレーター】を使って、コーティングの厚みを取材中に目の前でカッテングしていたところ、ギー氏も興味津々!

持ち運びにも便利なサイズなので、まだ持ってない〜というコンシェルジュの皆さまは是非ご購入を検討してみてください(笑)。

◾️ラインナップ紹介

フランス国内で10店舗、国外でも5ヵ国(ドイツ・サウジアラビア・クエート・カタール・日本)でブティックを展開し、フランス国内では三ツ星レストラン「プレ・キャトラン」を含む4店舗のレストラン・アトリエを運営する「ルノートル」。
日本での催事展開、コーナー展開も目指し、その第一歩として、先日の3月27日に銀座三越に日本国内第1店舗をオープンさせました。

本国でも愛され続けているスペシャリテのほか、日本限定のケーキも登場しています。
ラインナップの中でも、特に“これは食べておいて欲しい!”という、私のお気に入りをご紹介していきます。

ガストン・ルノートルの意思を受け継ぐ
Feuille d’Automne(フイユ・ドトンヌ)¥800(税別)

創業者ガストン・ルノートルのレシピが今なお継承されているスペシャリテ。

上部のチョコレートは“秋の葉”を見立てており、丁寧に一枚ずつ手作業で作られています。
下部はサクサクなメレンゲとチョコレートムースをパリパリのチョコレートでコーティング。
華やかな見た目と、甘く濃厚ながらうっとりするほど軽い食感の堂々たる代表作です。

天才作曲家モーツァルトに尊敬の意を込めた
Concerto(コンセルト)¥750(税別)

艶やかかつまろやかで、なめらかな舌触りの協奏が素晴らしいチョコレートムースや、ガナッシュにビスキュイ、底に敷かれたフィヤンティーヌなどのさまざまな食感で、ショコラの持つ特徴を存分に味わえます。
洗練された旋律を奏でるような仕上がりなので、芸術的要素も感じてください。

フランスでエクレア5選に選出された
Eclair chocolat(エクレール・ショコラ)¥650(税別)

先日、フランスを代表するファッション誌『ELLE』の姉妹料理専門雑誌『ELLE A TABLE』にて、パリで“最も伝統的”なチョコレートエクレアとして選ばれました。
美しいグラサージュとスタイリッシュな見た目の香ばしいエクレール生地の中には、なめらかなショコラクリームがたっぷりとつまっています。

【日本限定】
Tour Eiffle Volute(トゥール・エッフェル・ヴォリュテ)¥750(税別)

パリの象徴であるエッフェル塔をイメージした日本限定商品。

美しい模様のチョコレートを上部にのせた上品なケーキです。
キャラメルとチョコレートを組み合わせ、薄くパリッとした食感と生地のしっとり感、多彩な食感の変化で魅了します。

また日本の四季に合わせ、3月~4月の季節限定商品として“いちご”を使った見た目も華やかなフレーズ=いちご商品も販売しています。

Eclair Gourmand Fraise(エクレール・グルマン フレーズ)¥650(税別)

見た目にも美しいイチゴのみずみずしさが楽しめるエクレール(エクレア)。

Esprit Tartelette Fraise(エスプリ・タルトレット・フレーズ)¥750(税別)

サクサクなビスキュイ生地の上に、ふわっとしたスポンジ、軽やかなクレーム・パティシエール(カスタードクリーム)と、ショコラフレーズのディスクとフレッシュないちごをのせた可愛らしいケーキ。
一つ一つの繊細さと考え抜かれたバランスで、いちごのフレッシュさと甘酸っぱさをより感じ取ることが出来ます。

Verrine Tiramisu Fraise(ヴェリーヌ・ティラミス・フレーズ)¥750(税別)

小さなスポンジケーキとイチゴがベースのマルカルポーネムースのアクセントになったさわやかなティラミスです。

この季節限定ラインナップは、果実の水分を生地とうまく引き合わせた豊かさのある商品で、流石はフランス菓子界の父と称されるノウハウ・技術を伝授し、フランスのガストロノミーがどんなものであるかをしっかりとした形で伝え残しているメゾンのケーキだと感じました。

◾️クリエーション・ディレクターにインタビュー。

--各商品の内部構成詳細、ならびに使用した食材などのこだわりポイントは?

可能なかぎり、パリと同じ商品を再現することにこだわっています。
が、ただ日本で製造する上ではどうしてもまったく同じ原料というわけにはいかず、フルーツや乳製品などは日本で調達しています。
その際にはフランスより必ず来日して、日本で調達できる原料を厳選しながら、パリの味に近づけて皆様にご提供することをお約束します。

--先日、フランスの契約苺のこだわりを伺いましたが、日本商品で使用する苺に、メゾン「ルノートル」が求めている特徴は?

イチゴは市場に長い期間ありますので、その時々に味を見て使用する種類を決めます。
甘さ、酸味はもちろんですが、表現するケーキによってその特徴を活かすために味の濃さ、香りなども大事な要素として考えています。

--今後日本での生菓子はホールタイプも販売していきますか?
はい。限定的にはなりますが、展開をしていきたいと思っています。クリスマスやその他の催事にて、予約制での対応などを考えていきたい。

--今年のバレンタイン商品で発表した日本限定フレーバー「キューブ・ルノートル」の中でも特にこだわったのは?

もともとあったロゴを5面に刻印したキューブ型ショコラコレクション「キューブ・ルノートル」を、今回日本再上陸、そして日仏160年外交記念(2018年)という特別なショコラを作りたいと新味の開発をしました。
特にフレイズは、日本では非常に重要視されている“いちご”フレーバーなので、今回のコレクションに加え、濃厚であり余韻も広がりがありながらスッキリとした喉通りに仕上げています。

◾️「ルノートル」日本アトリエ担当 北川シェフ

日本アトリエの担当としてギー氏の信頼を得るシェフ 北川健一氏は、父親がパティシエとして店舗経営をしていた為、気が付いた時には当然のようにパティシエを目指し、大阪あべの辻製菓専門学校で学んだそうです。

卒業後、5年間「株式会社ル・サントノーレ」にて店舗のオープニングに携わり、“何もないところで自分の力量を試したい、本物のお菓子を知りたい”という思いから渡仏。フランスでは世界大会の審査員のお店である「ジェラール・モワンヌ・ブレッサン」にてパティスリーを、「ショコラトリールネフォンテーヌ(MOF)」ショコラ、ヴィエノワズリー(菓子パン)、トレトゥール(ケイタリング料理)、アメ細工、ショコラ細工など幅広い分野を担当し帰国。

日本では、千葉県柏市松葉町で創業40周年を迎える「洋菓子の店グルメ(Gourmet)」で店舗運営・商品開発等に関わり、その後「株式会社ヨックモック」でシェフパティシエとして管理から製造、百貨店での店舗運営にも携わっています。

また、「専門学校ビジョナリーアーツ」の製菓専任講師もし、自ら指揮を取った「世界ギネス」では、マカロンタワー・ロールケーキの長さを2回認定されています。
日本再上陸にあたり、まずパティスリー・ショコラトリー専門として展開するフランス高級食料品店「ルノートル」。

今回ご紹介した以外にも、日本先行販売のフィンガーケークやケークキャレなどパリ本場の味を再現した高いクオリティに富んだラインナップで楽しませてくれるので、是非実際に味わってみてください。

LENÔTRE(ルノートル)銀座三越店
オープン日:2019年3月27日(水)
住所   :東京都中央区銀座4-6-16
営業時間 :10:00~20:00(日曜日、連休最終日は19:30まで)
定休日  :不定休

今回は、現代フランス菓子の概念を創った伝説のメゾン「ルノートル」をご紹介しました。私事ですが、日本再上陸の日が誕生日だったため、息子と一緒にオープンのお祝いに伺った際には、ありがたいことにギー氏にお祝いいただきました。

34歳、変わらず甘く素晴らしいスイーツ情報で皆さまに笑顔と興味をもたらしていけたらと思います!

次回は、イチゴを使ったハイブリッドスイーツ情報をご紹介させていただきます。
お楽しみに!