※安孫子宏輔さんのCandy Boy卒業に伴い、“安孫子宏輔(Candy Boy)の「あびこ菓子」”を再編集して公開しております。
安孫子宏輔さんのスイーツ連載「あびこ菓子」。2020年最後のテーマはジェラート。世界チャンピオン・柴野大造さんの元で修行し、完成したオリジナルジェラートについてお話いただきました。Candy BoyのYouTubeチャンネルでは動画も楽しめますので、併せてご覧ください!
第22回 安孫子さんと「王妃様に捧げるジェラート」と激動の2020年
――まずは、ご自身が関わったジェラートが販売された、率直な感想をお聞かせください。
こういう機会に恵まれて本当に嬉しいです。
昔から料理が好きで人に振る舞ったりしていましたが、自分の作ったものが商品になるというのは一つの憧れのようなものがありました。
芸能の道に進んだ時点で諦めたはずのその憧れが、柴野さんをはじめ沢山の方のお力添えのおかげでこうして実現して本当にありがたく、少し不思議な気持ちです。
――実際に柴野大造シェフの店で修行して作られたわけですが、どのような気持ちで向かわれましたか?
柴野さんをモデルにした主人公のジェラート職人を演じる上で、本人から直接学び、経験できる以上の事はないので「やりたかった事ができる!」という嬉しい気持ちでした。
単純に柴野さんにまたお会いできる事も嬉しかったですし、対談と9月の公演を踏まえて一番行きたい場所になっていた石川県に行ける喜びがありました。
あとは、修行に向かうには少しおかしな気持ちかもしれませんが「柴野さんに負けちゃダメだ」という気持ちがありました。
オリジナルジェラートを作るにあたり、僕の役としてのイメージを柴野さんにぶつけなければならないので、それが弱かったり浅かったりしたら物語の中のジェラートはできずに柴野さんのジェラートになってしまう。そこは役者として譲ってはいけない。
世界チャンピオンと戦わなきゃか〜、と思ってました(笑)。
――柴野シェフの元で修行した感想を教えてください。
「柴野さんがカッコ良すぎる」が第一の感想ですね(笑)。
次から次へと名言が出てくるので感動が追いつかないんですよ。その教えを一つも逃すまいと頭をフル回転して必死に柴野さんの思考についていっていました。
不思議なのは、ジェラートの事を教わっているはずなのに、そのお話や考え方がお芝居や人生について教わっている気持ちになった事。生きていく上で、人として大切なものを教わったような時間でした。
――出来上がったジェラートの感想は?
我が子が生まれた時のような気持ちでした。いや、我が子が生まれた事はないのですが、「こんな気持ちなのかな」と想像するくらいに感動しました。
妥協は絶対にしたくなかったので、食べてみて納得できなかったらちゃんと「もう一回作らせて下さい」と言おうと意気込んでいたんです。でも一発で納得のいくものができて、さすが世界チャンピオンという実力を見せつけていただきました。
最初に食べた時、物語の王女様が笑顔になってくれるかを真剣に想像していたから自分では真顔のつもりだったのですが、動画を観たらもう最初から美味しさでニヤけちゃってましたね。
上品な甘さも、華やかな香りも、ずっと想像してきたものが現実になって、「自分がこの素敵なものを生み出したんだ」という喜びが溢れてきました。
――ファンやメンバーなど、食べた方の反応はいかがでしたか?
みんな本当に美味しいと言ってくれています!
ファンの方が「届いたよ!」とか「美味しい!」っていう感想を送ってくれるんですよ。「こんなジェラート初めて食べました」とか「特別な思い出になりました」とか、その一言一言が本当に嬉しくて、やって良かったなという気持ちになります。
あとは家族や友人、お世話になった方も食べてくれて、今年就職した従姉妹は初ボーナスで自分の分と実家の祖父母の分を買ってくれました。
祖父は「高貴な香りと味でとても美味しい」と感想をくれて、祖母は友達に送るからと3つも買ってくれました。
改めてジェラートってみんなから愛されている素敵な食品だなと感じました。
――修行後に名古屋・大坂・東京で再演されましたが、修行したことで演技・仕事に生かされた点はありますか?
想像して演じていた部分が、実際の経験として自分の中にあることで大きく・早く感情が動くようになりました。自分の感情や動作に自信が持てましたし、何より柴野さんの人生を深く知った事で「届けたい」という熱量が上がりました。僕もよく観劇するから分かるんですけどそういう熱量ってお客様にも伝わるんですよね。
仕事に対する考え方も変わりました。
「もっとわがままで良い。自分を満たす事を最優先に。それが周りの人の幸せになる。」という言葉は自分の中に無い考えだったので衝撃と共に僕の中に深く残りました。
きっとこれから先、何度も思い出すと思います。
――YouTubeでドキュメンタリー動画を配信していますが、見どころを教えてください。
僕の素が出ているところですかね。
目の前のことに必死で、普段人前に出る時にはまずお見せしないであろう顔をしてます(笑)。
あとは、柴野さんのジェラートに込められたストーリーを知ることができるので僕の事を知らない方でも楽しんでいただけると思います。僕も観ていて、自分の動画なのに感動してしまいました。
――修行以外のことで、石川で楽しかったことを教えてください。
とにかくご飯が美味しかったです!
毎食本当に楽しみで、スタッフさんと「次何食べましょうか?」とずっと話していました。次行ったときはカニを食べると心に決めています。
あとは柴野さんも言っていた通り石川の方は皆さん穏やかで良い人ばかりで、今回初めて訪れて、一気に好きな場所になりました。
――コラボジェラートは好評につき再販となりましたが、どんなお気持ちですか?(販売は12月25日まで)
沢山のご注文本当にありがとうございます。
僕が心から素敵だと思うものが、美味しいから大切な人に食べて欲しいと思うものが、沢山の方にお届けできることが本当に嬉しいです。
ジェラートは気分を上げてくれる魂の食品。
このオリジナルジェラートはきっと食べた人を笑顔にしてくれます。
2020年を頑張った自分へのご褒美に、大切な人へのプレゼントに、ぜひご利用ください。
――では最後に、今回が年内最後の連載となります。締めの一言をお願いします。
2020年、「あびこ菓子」を読んでいただきありがとうございました。
世界的にも異例な一年となり、表現者としての場が限られる中でこの連載があった事で僕自身救われましたし、大変な思いをされている方を応援する機会をいただけて本当によかったです。
連載を重ねるごとに、スイーツの魅力にどんどん引き込まれていく自分がいます。
どんな時でも美味しいスイーツは人の気分を上げてくれる。
来年も、皆様の気分が上がるような記事をお届けできるように頑張ります!
――ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
ドキュメンタリー動画公開中
※安孫子宏輔さんは2022年12月31日をもって、Candy Boyを卒業しております。