[佐藤ひと美のスイーツレポート281]銀座に降り立ったカカオフェヴィエ!ブノワ・ニアン氏が語る、1周年記念限定コースとチョコレートへの情熱

本物志向のチョコレート愛好家たちの間で話題沸騰中のベルギー発チョコレートブランド「BENOIT NIHANT(ブノワ・ニアン)」。

先日、日本旗艦店である「BENOIT NIHANT GINZA(ブノワ・ニアン 銀座)」が、オープン1周年を迎えた。

この記念すべき節目に、カカオ職人ブノワ・ニアン氏本人が来日し、1周年記念限定コースの誕生秘話や、独占インタビューでカカオ・チョコレートにかける熱い想いを語っていただきました。

BENOIT NIHANT (ブノワ・ニアン)について

30歳まで製鉄メーカーのエンジニアとして働かれていた異色の経歴を持つカカオ職人“ブノワ・ニアン氏”が2005年に立ち上げたチョコレートブランド。

チョコレートの魅力に取り憑かれ、古い文献などを紐解き、独自の研究を重ねてショコラティエとして歩み始めました。極めれば極めるほどに、ショコラティエである前に“カカオフェヴィエ(カカオ職人)”でありたいという想いが強くなり、自ら農園を訪れて最高級のカカオだけを選定。「単一農園」「単一品種」にこだわり、昔ながらのヴィンテージマシンで長時間かけて丁寧につくられたショコラは、カカオ豆の個性が最大限に引き出された純粋な香りと、繊細な味わいが魅力です。

また、ペルーに保有するカカオ農園では、環境に配慮した農園作りやカカオ生産者とのフェア・トレードに取り組んでいます。

◆独占インタビュー

カカオ大国と呼ばれるベルギーで十数年以上も前から『Bean to Chocolat(カカオ豆からショコラへ)』に着手されている、《 Cacaofevier – カカオフェヴィエ -》:カカオ職人のショコラティエのブノワ・ニアン氏。

精密さはカカオ豆からショコラへ。

どのように向き合っているのか、考えているのかを深掘りしてきました。

ーーーカカオ豆を選ぶ際に最も重視しているポイントとは何か。

「いろいろな農園を回っていると、実はカカオ農家自体がどのような品種のカカオを育てているのかをしっかりと認識していなかったりすることに気づきました。

そのためにまず、私たちがカカオの取引先を決めるために、農家にしっかりと足を運び、生産者が何を育てて何を売っているのか品種や種類をしっかりと理解し認識していること、そしてどのように栽培しているのかを知ることが重要だと考えました。

そこからサンプルを買い付けし、加工してみて、私が求めている、あるいは独特な個性のあるアロマが引き出せる豆なのかどうかを判定します。

次に、環境の尊重についての各種要因も大切です。

薬品を使っていないこと、そして農場において子どもが労働を強制されているような農家ではないかも原点においています。自然環境や環境を悪化させるのではなく、環境の尊重と農業者の行為がカカオの品質に影響を与えると考えています。そのため、農家との長期的な絆を維持するための調達計画を立てることを重要視している。

私たちは、正しく生きてカカオを生産し続けるために必要なものを生産する必要があるのです。」

ーーー独自の焙煎方法について、詳しく教えていただけますか?

「私たちは古い機械、1950年代の焙煎機を使っています。今最新の焙煎機との大きな違いは、焙煎をするのに、とてもゆっくり、ゆっくりと時間をかけ、アグレッシブではなく優しく焙煎することができるのです。それは、カカオの香りを最大限に出すことができる。

最新の機械は大量に作ることを求められているので、スピーディーになっている。そうすると、カカオ自体もストレスを感じ、匂いにつながってくるのです。ただ、私たちが求めているのはそうではなく、最高の味の追求なのです。」

ーーーチョコレート作りで最も難しい工程、または最も楽しい工程は?

「各工程でショコラティエの腕にかかっているということが大きく、全ての工程が味に影響を与えます。焙煎するときは、カカオ豆の香りを解放させよう!引き出してあげよう!と考え、実現できること。それはとても難しく大変な作業ではありますが、とても楽しいことでもあります。

また、コンチングの工程では、発酵時に残る酸味を蒸発、揮発するというプロセスを行う。それはコンピューターが左右できることではなく、ショコラティエが機械の前に立ち、材料を知って、機械を知って、そして常に味見をして微調整をする。そうして完成に至るのです。その時に使っているのも、東ドイツで製造された非常に古いコンチング機械なんです。」

ーーーチョコレート作りにおける哲学を教えてください。

「カカオ豆、いわゆる原材料のポテンシャルを最大限に出すというのが私たちの仕事、職人の仕事の中核を成していると思っています。

まさにそこがクリエイションの基礎になっています。

古い機械を使ってゆっくりと丁寧にこだわって最初からチョコレートを作るというのが、私が大切にしているところです。カカオのアロマを引き出すこと、それが私の人生です。」

ーーー日本のファンの皆さんにどう楽しんでほしい?

「カカオという素材、背景にあるものが理解できるくらいゆっくりと時間をかけて味わってほしいです。」

ーーーそれは、朝?夜?

「それぞれの人によって異なります。私からのアドバイスもなく、皆さん一人一人を好きに楽しんでいただきたいと思います。

朝、チョコレートをどうしても食べないとエネルギーが出ないという方もいれば、逆にゆっくりとリラックスするために夜に味わいたいという人もいますしね。」

ーーーブノワさんは?

「1日中です!

チョコレートは、私にとって単なるお菓子ではありません。それは、人々を笑顔にし、幸せな時間を共有するための魔法のツールだと感じています。これからも、最高の素材と技術を駆使し、皆様に感動をお届けできるチョコレートを作り続けていきます。」

「BENOIT NIHANT GINZA(ブノワ・ニアン 銀座)」オープン1周年

ペルーに保有する自社農園「FINCA LUIS DE SISA(フィンカ ルイ デ シサ)」のタブレットチョコレートが日本初登場!

~ペルー自社農園「FINCA LUIS DE SISA(フィンカ ルイ デ シサ)」カカオ収穫までの道のり~

最高のカカオ農園を求めて世界中を旅するブノワ・ニアン。

南米・ペルーのサン・マルティンにて、アンデス山脈麓の起伏に富んだ美しい風景、住まう人々の温かさに魅了され、2016年に自社農園を開設しました。ブノワ氏の息子ルイにちなんで、「フィンカ ルイ デ シサ(シサのルイ農園)」と名付けたのだとか。

そこは、かつて麻薬の違法栽培地となっていましたが、『持続可能な森林再生』という野心的なプロジェクトに挑んだ結果、オオハシ、ヘビ、蝶、ハチドリもこの地域に戻って来ました。かつての生態系が息を吹き返し、カカオ豆が収穫できるまでには6年の歳月を費やしたが、とても重要なことだし、環境の尊重のためにやらなければいけないことだと感じています。

ブノワ・ニアンのカカオ農園は、飽くなき探求心により育まれているのです。

ペルー自社農園タブレット「FINCA LUIS DE SISA 72%(フィンカ ルイ デ シサ 72%)」

FINCA LUIS DE SISA 72% 発売日:9月20日(金)

価格:5,400円(税込) ※1日10枚限定。 

販売店舗:BENOIT NIHANT GINZA(ブノワ・ニアン 銀座)、ブノワ・ニアン公式オンラインショップ

ペルーの自社農園「FINCA LUIS DE SISA」で収穫されたカカオ豆を使用。

まずチョコレートを手にとったら、鼻に香りを出して香りを楽しんで欲しい」と語るブノワ氏。

その後、口に入れてゆっくりと溶かします。

口の中で溶かしながら、できれば目を閉じてみてください。そしてゆっくりと鼻に抜けていく香りを感じてください。

口に含んだ最初の印象はジャスミンを思わせる花の香り。その後プラムやチェリーのようなフルーティーな香りが広がり、最後にスパイシーな香りが感じられます。豊かなテロワール(土地の個性)をご体感ください。

「Anniversary Box(アニバーサリー ボックス)」

発売日:9月20日(金) ※なくなり次第終了。

価格:5,500円(税込)

販売店舗:BENOIT NIHANT GINZA(ブノワ・ニアン 銀座)、ブノワ・ニアン公式オンラインショップ

1周年を記念した特別なアソートBOX。

焼き菓子のビスキュイやフィナンシェ、ハート型ボンボンショコラ、そして3月に発売後2週間で完売したピーカン ブリトールを詰め合わせた数量限定BOXです。

《1日8名限定》「Cours au Pérou(コース オ ペルー)」

提供期間:9月22日(日)~10月31日(木) ※予約受付中

価格:平日6,300円(税込)、土日祝6,800円(税込)

※事前予約制:14時30分~16時の回(最終予約受付 ご予約日の2日前20時まで)カフェ予約:https://benoitnihant.jp/blogs/news/reservation

販売店舗:BENOIT NIHANT GINZA(ブノワ・ニアン 銀座)

ペルー農園「FINCA LUIS DE SISA」までの道のりをブノワ・ニアンと共に冒険する様子を一皿ずつ表現したこだわりのコース料理。

伝統的なペルー料理カウサをイメージしたイモのスイーツや、アロス コン レチェをイメージしたお米のスイーツ、「FINCA LUIS DE SISA 72%」のチョコレートを使用したビスキュイなどを用意。

Entrée au marché(アントレ オ マルシェ)

〜ペルーのマルシェから農園を目指して出発!豆の形をモチーフにしたクプアス(※)入りのチーズケーキ〜

内容:カカオの葉をイメージしたチョコレート、ドライバナナのコンフィチュール、ライム香るクリームチーズのムース、クプアスと桃のコンフィチュール(ムースの中)、セミドライバナナのコンフィチュール

※アマゾン原産のカカオ科のフルーツ「クプアス」は、白カカオとも呼ばれています。神秘的でエキゾチックな独自の香りが特徴です。

ペルーのマルシェでよく見かける豆をモチーフに表現したチーズケーキとのこと。

Route(ルート)

〜フィヤンテーヌショコラで、農園まで向かう凸凹道を表現。冷たいチョコレートアイスに温かいショコラショをかけてお召し上がりください〜

内容:ペルー産チョコレートを使用したショコラショ、フィヤンテーヌショコラ、ペルー産チョコレートを使用したアイスクリーム

Rivière(リヴェール)

〜川を渡って農園に向かう様子を、船の形をしたポテトスイーツで表現。ペルーのポテトサラダ「カウサ」に着想を得て。〜

内容:チュイルダンテル(薄く焼いたお菓子)、フランボワーズ、ポテトムース、ポテトクッキー、ライム表皮、インカベリーのシロップ煮、グラサージュ ショコラ、カカオ豆

Route escarpée(ルート エスキャペ)

〜ペルーのお米を使用した「アロス・コン・レチェ」風スイーツ。農園へ向かう険しい道中でのパワーチェージをイメージ〜

内容:シナモンパウダー、カカオニブ、ココナッツソース、ライスジュレ、ココナッツプディング、チョコレート飾り、クリスピー(チョコとココナッツ、アーモンドを練り込んで焼いたビスケット)

スペインや中南米で広く愛されているお米と牛乳をベースにした温かいデザート「アロス・コン・レチェ」。「アロス」はスペイン語で「米」、「レチェ」は「牛乳」、「コン」は「〜と共に」を意味し、その名の通り、お米を牛乳で柔らかく煮込んで作られています。

「Cours au Pérou(コースオペルー)」ルート エスキャペでは、シナモンやカカオニブの独特の香りがアクセントとなり、ココナッツの優しい甘さが口の中で広がるデザートに仕上がっていました。

FINCA LUIS DE SISA(フィンカ ルイ デ シサ)

〜ついにペルー農園に到着!ペルー農園のチョコレートを使用したビスキュイが、カカオポッド型のチョコレートの器に入っています。〜

内容:カカオポッド型のチョコレート、ビスキュイ(フィンカ ルイ デ シサ 72%を使用したクッキー)

Café après le repas(カフェ アプレ ルパ)

〜食後のコーヒードリンク。ペルーではエバミルク(無糖練乳)を入れて飲みます。まろやかな口当たりをお楽しみください〜

実際に頂いてみて、それぞれの料理を通し、カカオの多様なアロマ、カカオ本来の風味を最大限に引き出した繊細な味わいと、独創的なフレーバーの組み合わせを感じ楽しむことができました。

また、ブノワ氏がいかにカカオへの探究心が強いか、またカカオを栽培する環境への敬意を示しているのかも理解できるコース内容でした。

1日8名限定のコース料理ということなので、ぜひ予約をして、カカオが織りなすアロマの芸術を体感していただけたらと思います。

ブノワ・ニアン氏のチョコレートへの情熱と、銀座店1周年への想いが詰まった限定コース。

インタビューを通して、その魅力を存分に感じることができました。この特別なコースを味わいながら、ブノワ・ニアン氏のチョコレートの世界に浸ってみてはいかがだろうか。