スイーツコンシェルジュのバレンタイン催事レポート2025⑥

バレンタインシーズンを迎え、今年も多くの人で賑わう「サロン・デュ・ショコラ 2025 東京会場」。世界中のショコラが集まる中、近年深刻化するカカオ不足がチョコレート業界に与える影響にも注目が集まっています。今回はスイーツコンシェルジュのレフティさんがPart1・Part3の会場を巡り、最新のショコラ事情をレポート。さらに、同催事にも出店している人気店から、おすすめのチョコレートも紹介してくれました!

カカオ不足は長期化へ。催事から見えてきたチョコレートの未来

最近、世界のカカオの生産量の5~6割を占める西アフリカのコートジボワールとガーナが異常気象等によって生産量が激減し、世界的なカカオショックが起きている。そこで、他の生産国にどのような影響を与えているのか、また生産量は西アフリカだけではなく世界的に不作で減少しているのか。Bean to Bar(又はTree to Bar)を展開し現地と直接カカオを取引されている店舗が多いPart1「CACAO〜躍動するカカオの瞬間〜」に足を運び、約10店舗程ヒアリングをしてみた。

ヒアリングした店舗は、東アフリア、東南アジア、中南米といった西アフリカ以外の豆を使用している店舗。カカオの品種もコートジボワールとガーナは主に世界の大半を占めるフォラステロ種。上記の国々は主にトリニタリオ種や希少価値の極めて高いクリオロ種等が生産されている国や地域があり主生産品種は異なる。

まず、生産量はカカオの品種が異なるから状況は西アフリカと同じではない。ほぼ例年並みという回答が多かった。但し、タイでは自国の洪水で大きな被害があり生産量が大きく減少したそうである。生産量の多くを占める西アフリカが落ち込んでいるので、主にその地域から取引していたメーカーが他国のカカオでその不足分を補おうとし、争奪戦が起こりカカオの高騰が発生している。

以前はカカオの値段は1年位同じ取引価格であったが、それが月単位、今では週単位で値上がりし、ものによっては以前の4~5倍ととても手が出せない状況になっている。仮にカカオが入手できたとしても品質の悪いものであったり、中間業者を通して仕入れると中にはバッタものであったり、○○産○○種と書かれていても少々疑問が残る場合も一部あるそうだ。

よって、チョコレート商品を値上げせざるを得なくなり、これ以上カカオの価格が高騰すれば店の存続危機に陥ることになってしまう。

カカオの木は1年ではとても育たないので、カカオ不足の状況はこれから先何年も継続し、来年再来年と悪化する一方ではないか。サロン・デュ・ショコラのようなチョコレートのイベントは将来開催できなくなる可能性もある。

どの店舗も大方上記のような回答であった。状況は想像以上に深刻で、カカオ自体が希少価値の高いものになっていく様子が想像できる。今後は他の食材と組み合わせることによって、カカオの使用量を減らした「カカオ+α」のような商品開発が必要となるかもしれない。

そのような状況の中で、「Part3 NEXT 〜広がり続けるショコラの魅〜」では、ビスケットなど他の食材と組み合わせているチョコレート商品がちらほらあり、「カカオ+α」どころか「α+カカオ」というカカオが主役ではなく脇役の商品すら販売されていた。また、代替カカオのような開発も進めている店舗もあったのは、自分にとって新しい発見だった。

以下がpart1とpart3で主に購入した商品や食したイートインの一部。カカオが希少価値となっていくにも関わらず爆買い、爆食いをしてしまった(笑)。

「サロン・デュ・ショコラ」にも出店する人気店よりおすすめの2品を紹介

ミルトス」のSISYU x KIRIYAMA, PHOENIX

希少価値の高いペルーのホワイトカカオを使用したハイカカオのタブレットチョコレート。原材料はカカオ豆と砂糖のみ。極めて強いカカオ感の独特の風味。食感はかなり滑らか。口の中で溶かしながら食べていくと、そのうち別の食べ物を食べたかのような柑橘系の酸味が後味となって口の中に広がっていく。他に類はないチョコレート。

「ミニマル代々木上原店」のガトーショコラ ベイクド -FRUITY-

ミニマル」はザクザク感のあるタブレットチョコレートが主商品ですが、ガトーショコラもお勧め。タンザニア産のカカオを使用。ベイクドタイプなので焼き方がしっかりしている硬めのガトーショコラ。りんごを思わせるような果実感がありトリニタリオ種の独特の風味が感じられる。Bean to Barを展開しているミニマルらしいガトーショコラという印象。

同店では、様々なガトーショコラが販売されていて、いくつかのガトーショコラを選んでイートインできる「ガトーショコラ食べ比べセット」というメニューがあり、お勧め。

※店頭のみの販売。