【インタビュー】『ショコラティエみたいにできる 魔法のボンボン・ショコラレシピ』著者・熊谷裕子さんに聞く「簡単で作りやすくきれいでおいしい、そんなお菓子をたくさん考えてお伝えしたい」


お菓子教室「クレーヴスィーツキッチン craive sweets kitchen」、「アトリエ ルカド Atelier LEKADO」主宰。デコレーションの美しさに定評がありお菓子の書籍やムックなどでも活躍されている熊谷裕子さんが、このたび、ご自身初のショコラレシピブックとなる『ショコラティエみたいにできる 魔法のボンボン・ショコラレシピ』を出版されました。ショコラトリーに並ぶ宝石のような憧れのボンボン・ショコラを自分で作れたら…という多くのスイーツファンの願いを叶える、画期的なメゾットが詰まった一冊です。熊谷さんが9年間経験を積まれた有名パティスリーでのこと、本書の魅力やこれから挑戦してみたいことなど、たっぷりとお話を伺いました。


Profile 熊谷 裕子

1973年神奈川県生まれ。青山学院大学仏文学科在学中、パリリッツエスコフィエにてパティシエコース受講。卒業後、葉山「サンルイ島」、横浜「レジオン」、世田谷「ル パティシエ タカギ」などのパティスリー勤務を経て、2002年より神奈川県中央林間にてお菓子教室「クレーヴスィーツキッチン craive sweets kitchen」を主宰。2011年より文京区千石にて「アトリエ ルカド Atelier LEKADO」を開講。少人数制での実習とデモンストレーション形式でレッスンを行うかたわら、お菓子の書籍やムックでも活躍中。近著に「プティ・ガトーのデコレーション・メゾット」(河出書房新社)、「熊谷裕子の焼き菓子 成功メゾット」(日東書院)、「はじめてのスポンジ菓子」「ケーキの美しさは、「土台」で決まります」(ともに旭屋出版)などがある。

アトリエ ルカド
http://www.lekado.jp/school/school.html
クレーヴスィーツキッチン
http://craive.html.xdomain.jp/


――熊谷さんとお菓子づくりとの出会いを教えてください。

熊谷「もともと母が家で手作りのバースデーケーキや簡単なマドレーヌを焼いてくれていました。最初は母が焼いたスポンジに『わたしが飾りつけしたい!』から始まり、徐々に『スポンジも焼きたい!』、『もっと本格的なものを作りたい!』と発展していきました。さらにスイーツブームのはしりの頃にあたる学生時代に、プロのお菓子作りのレシピブックシリーズをみてからは、どんどんのめり込んでいきました」

――複数の有名店でパティスリー勤務経験をお持ちの熊谷さん。そこで学ばれたことや印象深い思い出などを教えてください。

熊谷「専門学校など本格的な学校で学ぶことなくそのまま菓子屋の道に入りましたが、まさに現場で様々なことを学ばせていただきました。
初めての修業先である葉山『サンルイ島』の遠藤シェフからは菓子作りの基本と菓子を作って売る責任と仕事に向かう姿勢を、横浜『レジオン』の藤巻シェフには自由な発想と仕事の楽しむことの大切さを、世田谷『ル パティシエ タカギ』の高木シェフには発想の可能性や美しい菓子作りを学びました。
また、スタッフとも協調性をもって仕事をすることの重要性や、つねにお客様が喜んでくれる菓子作りをすることの大切さも学びました。
趣味のお菓子作りとはまた違った世界ですが、パティスリーでの経験で、菓子作りの深さと楽しさをより知ることとなりました。その楽しさを多くの方に広めたいと思い、教室を始めました」

――「ショコラティエみたいにできる 魔法のボンボン・ショコラレシピ」では、憧れのボンボンショコラを美しく作れる技法やアイディアが紹介されています。本書を出されたきっかけ、本書の魅力について教えてください。

熊谷「日本でのサロン・デュ・ショコラの開催やショコラティエが増えるにつれて、ボンボン・ショコラのおいしさや美しさの認知が広がりましたが、まだまだ『家庭のキッチンでつくれるもの』というイメージは浸透していないように思います。
自分自身ショコラティエブームより前の世代なので、ほぼショコラは独学でした。ですから、チョコレートというと難しい、温度を測るのが面倒、専門的な器具や材料などどこで何を買えばわからない…といったアマチュアの方の不安や疑問にもフォローできるレシピブックを作りたいと思ったんです。教室で家庭でも作りやすいチョコレートの量ややり方でお教えしたとろ、大変好評だったことも、この本を出すきっかけになりました。
手に入りにくいものや高価な器具や材料はなるべく使わず、身近なレンジやドライヤーでテンパリングをし、難易度の低いものから順に紹介しているので、段階を踏んでいけば必ずショコラティエのような出来上がりになると思います。また手作りだからこそできるガナッシュの滑らかさや、出来たてのおいしさを味わっていただけることも魅力です」

――サロン・デュ・ショコラやバレンタインなど、これからショコラが注目される季節です。本書の楽しみ方や、熊谷さんのショコラの楽しみ方について教えてください。

熊谷「本書では多数の型を使ったり、様々なデコレーションもしています。眺めるだけでも楽しめますし、デザインアイデアの参考としても利用していただきたいです。ぜひお好きなアレンジをして、オリジナルのボンボン・ショコラにも挑戦してください。
私はショコラをいただくのも好きですが、それ以上にどんな組み合わせのフレーバーや食感にしようか、どんなデザインのボンボン・ショコラにしようかと考えたり、新しいショコラ型を探したり、素敵なギフトボックスを見つけて友人に贈ったりするのが楽しいですね(笑)」

――熊谷さんの最近の活動や力を入れられていることについて教えてください。

熊谷「現時点で来年2冊レシピブックを製作することが決まっていますので、来年上半期から秋にかけてはまた通常レッスンの合間にレシピ考案や試作をしたり、原稿を書いたりと忙しくなりそうです。
今年から海外のお客様向けのレッスンや海外講習も増えてきました。本だけではなく、直に皆さんにお菓子作りの楽しさを広げられることをとても嬉しく思っています」

――熊谷さんがこれから挑戦してみたいこと、興味があること、作ってみたい本などあれば教えてください。

熊谷「美しくお菓子を仕上げるデコレーションのコツなどをテーマにした本やデモンストレーションの依頼が多いのですが、やはりお菓子は食べておいしいのが一番だと常に思っています。簡単で作りやすく、結果きれいでおいしい、が一番ですね。もちろん素朴なおいしさもあります。そういったお菓子をもっとたくさん考えて、皆さんにもお伝えできたらと思います。
また毎年休暇を兼ねて海外を訪れますが、それぞれの国、地域にそれぞれ思い入れのあるお菓子があります。そんな自分の経験も取り入れながら、国の事情や歴史も含めてこんなお菓子が楽しまれている、ということを紹介するようなレシピブックも作りたいです」

――最後にスイーツファンに向けて、メッセージをお願いします。

熊谷「今回出版した『ショコラティエみたいにできる 魔法のボンボン・ショコラ』は、私の初のショコラレシピブックです。温度計も使わずレンジとドライヤーを使って、少量で簡単にテンパリングする方法なので、どなたでも気楽に始められます。あとはお好きな型やフレーバーで、いろいろなボンボン・ショコラにトライしてくださいね。ギフトにしたら、きっと『本当に作ったの?』って言われるおいしさ、美しさに仕上がりますよ。出来たてのショコラのおいしさを、ぜひ堪能してください」


『ショコラティエみたいにできる 魔法のボンボン・ショコラレシピ』

著者:熊谷 裕子
出版社:河出書房新社
発売日:2017年11月14日

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