[佐藤ひと美のスイーツレポート149]横浜「ホテルニューグランド」で体感する特別な歴史とスイーツを。

東洋と西洋が融合する”日本のクラシックホテル”ならではの上質な空間を演出する、横浜「ホテルニューグランド」。

今までのスイーツレポートでも幾度となくご紹介してきましたが、今回は”歴史”にも着目して魅力をお伝えできたらと思います。

物語の始まりは1859年。

開港間もない横浜・山下町の外国人居留地の建設から多くの物語が始まります。

多くの方がご存知の通り、江戸時代の日本は邪教とされていたキリスト教の流入を防ぐため鎖国状態となっていました。(鎖国の直接的な原因と言われているのは、キリシタン問題から発生した1637年の「島原の乱」)

キリスト教を禁止した江戸幕府 初代将軍 徳川家康から、第2代征夷大将軍 徳川秀忠の時代 1639年(寛永16年)になると、ポルトガル船の来航を禁止。この時点で鎖国への道へ。

1853年(嘉永6年)、アメリカ合衆国の軍人 マシュー・ペリー率いる4隻の軍艦隊(船の色から黒船艦隊と呼ばれる)が4隻の軍艦を、江戸湾の入口にあたる浦賀沖(現・横須賀市)に現れて日本に開国を要求。

1854年(嘉永7年)、ペリーが再び日本に来航。横浜に応接所が設けられ、1ヶ月の交渉を続けて江戸幕府とアメリカ合衆国の間で結ばれた「日米和親条約」。

1859年(安政6年)年6月2日、アメリカ・オランダ・ロシア・イギリス・フランスとの間で修好通商条約が結ばれたことで開港した横浜。

開港場にはアメリカ人が住むことができるエリア(外国人居留地)が設けられました。

特に横浜では、入港船や外国から渡来してきた商人の数が年々増加。 そのため横浜港近くには多くのホテルが開業していたそうです。

中でも、外国人の資本・経営による海岸通りの「グランド・ホテル」は、1923年(大正12年)関東大震災で倒壊するまで横浜を代表するホテルとして賑わっていたとのこと。

その後、壊滅的な状況であった横浜を復興すべく、官民一体となって行った復興計画のひとつであった「外国人向けホテルの建築」であり、1927年(昭和2年)12月1日に開業した「ホテルニューグランド」です。

開業時外観(ホテルニューグランドより画像提供)

その名称は横浜市民に公募されましたが、なかなかよいものがなく、かつて横浜を代表した「グランド・ホテル」の名を蘇らせようとつけられたそうだ。

開国の地・横浜に海外の貴賓をもてなす迎賓館として誕生した「ホテルニューグランド」。

初代 支配人 としてアルフォンゾ・デュナン、総料理長には スイス人のサリー・ワイルを採用し、”最新式設備とフレンチ・スタイルの料理” というキャッチフレーズで、開業後は国内外のVIPの迎賓を果たし際立った評価を得ていった。

サリー・ワイル料理長の存在は大きく、本格フランス料理の味はもちろんのこと、当時、堅苦しいばかりだったホテルレストランにパリの下町風の自由な雰囲気を取り入れ、ドレスコードや酒、煙草についても自由、コース以外にアラカルトを用意するなど、お客様本位のサービスを実践。

開業当時から培われたこれらクラシックホテルの真髄は、今なお引き継がれています。

連合国軍総司令部(GHQ)の最高司令官 マッカーサーも、戦前 ハネムーンを含めて2回宿泊。太平洋戦争後も滞在するなど思い出の場所として愛してきたそうで、戦後執務室に使用した「マッカーサーズスイート」部屋には、マッカーサーが使った机や椅子が今も当時のまま残っており、「マッカーサーズスイート」部屋として一般客も宿泊可能。

開業時本館2階ロビー大階段(ホテルニューグランドより画像提供)

横浜市認定歴史的建造物、経済産業省の近代化産業遺産にも指定されている貴重な建物だけでなく、ドリアやナポリタン、プリン ア ラ モードの広く知られる発祥メニューをはじめ、日本の食文化に多大な影響を与えたホテルとしても有名です。

開業当時のメインダイニング「フェニックスルーム」で不定期開催している“幻のレストラン”「ダイニングルーム フェニックス」

開業当時、国賓級のゲストを迎えるメインダイニングとして海外からのお客様をおもてなししてきた「ホテルニューグランド」本館2階の「フェニックスルーム」。

ホテルのシンボルマークにもなっているフェニックス(不死鳥)を会場名に取り入れたホテルの象徴ともいうべき場です。

格式高い格天井など、神社にも用いられる日本の木造伝統建築の様式「桃山様式」の空間は、海外のゲストに日本という国の文化を強く印象付けたという。

ダイニングルームフェニックス(ホテルニューグランドより画像提供)

建築様式だけでなく、独特の形の照明器具やカーテン、絨毯などの内装が、日本風でありながらどこか異世界のような印象を与える豪華な部屋です。

現在、普段は宴会場として使用するお部屋で「ダイニングルーム フェニックス」を開催中。オープンしている日しか入れない、まさに“幻のレストラン”!!!

~2022年2月末までの期間、【1日20食限定】〜Winterアフタヌーンティーセット〜 (※要予約制)を、先日取材させていただきました。

(3月〜4月はフェニックスアフタヌーンティーセット ~春~を提供。※「ダイニングルーム フェニックス」は不定期開催のレストランなので、開催日はホテル公式HPをご覧になってくださいませ。)

https://www.hotel-newgrand.co.jp/event/diningroom-phoenix/

【1日20食限定】〜Winterアフタヌーンティーセット〜 では、ショートケーキをグラスに閉じ込めた「苺のグラスショートケーキ」や「ピスタチオのタルト」、オリジナル ブレンドティーを使用した「紅茶のサバラン」など貴賓溢れるパティシエこだわりのスイーツが。

セイボリーも「スモークサーモンのサンドイッチ」や「カリフラワーのポタージュ デュ・バリー風」、「小海老とエストラゴンのタルト」とホッと心が安まる。

お食事のこだわりはもちろんですが、「ダイニングルーム フェニックス」で注目していただきたいのは使用されるフェニックス柄のお皿や、椅子や窓など。

旅の旅情を感じてもらいたいという思いから設計された大きな窓は、窓枠や格子の模様は現在も当時のものを使用しています。

当時のフェニックスルーム(ホテルニューグランドより画像提供)

開業時より変わらないという歴史的空間で過ごす優雅な不定期開催の「ダイニングルーム フェニックス」。

現在のフェニックスルーム(ホテルニューグランドより画像提供)

今回取材させていただいたアフタヌーンティーだけでなく、「ザ・カフェ」で連日大人気の発祥メニュー3品も注文可能とのことなので、歴史深い場で特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

メインダイニング(ホテルニューグランドより画像提供)

ホテルニューグランド

住所:神奈川県横浜市中区山下町10

電話番号:045-681-1841(代表)

アクセス:元町・中華街駅 1番出口(階段)より徒歩1分

次回は、”美味しい味覚は人を幸せにする”真っ赤でカワイイ苺スイーツ 第2弾をお届けさせていただきます。

お楽しみに!!