[佐藤ひと美のスイーツレポート293]第11回 ローズウォーターレシピアワード結果発表! 独創的なローズウォーターレシピが勢ぞろい

香り豊かなブルガリアンローズウォーターは、香り付けだけでなく素材の味を引き立てる新しい調味料として注目されています。ブルガリアンローズの普及と新たな文化創造を目指す「一般社団法人ブルガリアンローズ文化協会」主催の「ローズウォーターレシピアワード」は、ブルガリア産有機ダマスクローズウォーターを使った独創的なレシピを競い合うコンテストです。

先日、駐日ブルガリア共和国大使館にて開催された【第11回 ローズウォーターレシピアワード】の最終審査では、《学生部門》、一般・現役シェフが参加する《一般部門》にて、趣向を凝らした料理、スイーツ、ドリンクが披露されました。

特別審査員:駐日ブルガリア共和国特命全権大使 マリエタ アラバジエヴァ氏、ブルガリアンローズ文化協会理事長 山下 文江氏、リストランテ アルポルト 片岡 護シェフ、ミュゼ・ドゥ・ショコラ テオブロマ 土屋 公二シェフ、パティスリーアンフェンス 野田有作シェフらによる厳正なる味覚審査と、試食している目の前でのプレゼンテーション。

プレゼンテーションでは、ローズウォーターを使うことの難しかった点や、試行錯誤した箇所などの質疑応答などを受けていたのですが、日本でのイタリア料理の草分け的存在である片岡 護シェフや、日本のトップショコラティエ&パティシエとしてその名をはせる土屋 公二シェフを前にして現役シェフの緊張感、そして、これからプロを目指す生徒たちへ向けてのアドバイス指導もあり、参加者の日頃どのような姿勢で作ることへ向き合っているかなども目の当たりに感じるコンテストなので、個人的にも毎回注目をしているので、【第11回 ローズウォーターレシピアワード】ではどのような作品が生み出されるのかを楽しみに取材参加させていただいております。

そもそも、香り豊かなブルガリアンローズウォーターは、香り付けだけなく素材の味を引き立てる新しい調味料として和・洋・中・菓子の各界で注目されているそうです。

【ローズウォーターレシピアワード】では、無農薬有機栽培のブルガリア産ダマスクローズから採れたローズウォーターを使った創造的なお菓子や料理、飲み物に使ったオリジナルレシピを募集。

学生部門:スイーツ

一般部門:スイーツ、料理、ドリンク 

  

学生部門:スイーツ部門

  

〈金賞〉 竹内 春希 氏(にいがた製菓・調理専門学校えぷろん)「和風のローズモンブラン」

ーーーローズウォーターをふんだんに使い、香り高く作りました。香り、味、食感、見た目で楽しめる和風のモンブランに仕上げました。

〈銀賞〉 下瀬 俊輔 氏(にいがた製菓・調理専門学校えぷろん) 「ローズウォーターとオレンジのムース」 

ーーーローズウォーターの香りを引き立たせるためにオレンジとミントを合わせました。さわやかなムースをお楽しみください。

〈銅賞〉・〈MIMC 賞〉※ダブル受賞 松岡 芹奈 氏(広島酔心調理製菓専門学校)「フロマージュタルトレット」

ーーームースフロマージュとジュレにローズウォーターを入れました。グレープフルーツの酸味とローズウォーターの甘みと香りがマッチしていておいしいです。グレープフルーツのジュレをきざんで表面がキラキラするようにしました。

〈中沢乳業賞〉 石井 晴大 氏(にいがた製菓・調理専門学校えぷろん)「ローズとりんごのムースルージュ」 

ーーーローズの華やかな香りをりんごジャムとバニラムースの優しい甘さが引き立てます。 

  

一般部門:料理部門

〈金賞〉・〈前田商店賞〉※ダブル受賞 齋藤 怜睦 氏(にいがた製菓・調理専門学校えぷろん) 「香り広がる人参のムース・ローズジュレを添えて」

ーーームースとジュレにローズウォーターを使用し、果物のような甘さと口に広がる香りをお楽しみ ください。野菜が苦手な人でも克服出来るような一品に仕上げました。 

〈銀賞〉 五郎 成基 氏(カフェ ル・アーヴル 平沼) 「真鯛のローズカルパッチョ〜鳥の親子をちらして〜」 

ーーー和の調味料、煎り酒を使い、日本とブルガリア両国の伝統の融合を目指しました。 ローズウォーター&煎り酒との調和、優しい味わいになるようにお酢はリンゴ酢を使用しました。 

〈銅賞〉 小田 洋平 氏(肉とワイン みなもと)「本州鹿『ロース』とローズマリーのコンフィ いちごとローズのソース」 

ーーー臭みや癖のない本州鹿の赤身部位を、ローズマリーとオリーブオイルでじっくりと優しく火入れし、仕上げに表面を焼き上げたコンフィと、フレッシュな苺とローズウォーターのマリネで、優しくエ レガントな仕上がりにまとめました。ベーリーAと合わせてお楽しみください。 

  

一般部門:スイーツ部門 

〈金賞〉・〈審査員特別賞〉※ダブル受賞 中嶋 大樹 氏(ホテルインディゴ犬山有楽苑)「Rose Fraise」 

ーーー「苺×ピスタチオ」という王道の組み合わせにローズウォーターを合わせる事によって、全体のクオリティを一段階上げました。ローズの香りは繊細な為、加熱調理をするパーツには加熱後に加え、より香りが飛ばないよう調理方法を工夫しました。見た目もバラのイメージカラーである「赤×緑」でまとめ、華やかな飾りに仕上げました。 

〈銀賞〉 横山 典子 氏(リーガロイヤルホテル京都)「マスカルポーネのムース ローズとベリーの香り」 

ーーーローズとベリーという相性のよい組み合わせをマスカルポーネのムースとともに美しい層でグラスの中に閉じ込めました。赤と白という華やかな色で見た目にもローズの華やかさが感じられるデザートに仕上げています。

〈銅賞〉・〈全薬工業賞〉・〈MIMC 賞〉※トリプル受賞  橋爪 有記 氏(にいがた製菓・調理専門学校えぷろん)「薔薇棋子餅」 

ーーー友人よりマカオのお土産をもらった棋子餅というお菓子がとても素朴な味で気に入って、再現してみたいと思っていました。大好きなローズの香りでほっと一息のティータイムにリラックスできる一 口菓子に仕上げています。 

〈中沢乳業賞〉・〈メイリリィ賞〉※ダブル受賞 手塚 淳 氏(インターコンチネンタル横浜 Pier8)「バラとイチゴのドーナツ」

ーーー芳醇なローズウォーターとイチゴの甘味を組み合わせて、フルーティーかつ上品な香りを表現してみました。生地とクリームにもローズウォーターを使用し、より香りを引き立たせてみました。またバラは横浜市の花でもある為、是非挑戦してみたいと思い、今回応募させていただきました。 

〈中沢乳業賞〉 手塚 郁実 氏(シュクルエピス)「サバラン・エレガンス」 

ーーーフローラルなローズウォーターの香りに、マンゴーとレモンの爽やかさを融合させ華やかな一品に仕上げました。 

〈中沢乳業賞〉 村田 睦美 氏「フォンダンショコラローズ」 

ーーーフォンダンショコラを切ってみると、とろりと溶けて出てくるローズ風味のルビーチョコレートガナッシュと、クルミとクランベリーがアクセントのラズベリーキャラメルヌガーがポイントです。チョコレートとラズベリーにバラの香りがアクセントとなり、気品あふれるお菓子に仕上がりました。 

  

一般部門:ドリンク部門 

〈金賞〉 小野塚 萌 氏(カカオストア&プリンカフェ448)「Chocolat chaud en rose ショコラ ショー ローズ」 

ーーーバラ色のバラの香りのするチョコレートドリンクです。イタリアのチェリー酒マラスキーノ酒で、味にアクセントをつけました。寒い時に心も身体も温まるちょっと甘いチョコレートドリンクです。 

〈銀賞〉・〈中沢乳業賞〉※ダブル受賞 山﨑 日和 氏(カカオストア&プリンカフェ448) 「ローズ香る フランボワーズミルクティー」

ーーー「お家でちょっとしたカフェ気分に」 これからの寒い季節に、手軽にローズとベリーのほっとする香りを楽しめるような作品を目指し、考えました。お家でのリラックスタイムにひと手間加え、いつもより少しだけおしゃれで優雅に、身近にローズを感じられるドリンクを作りました。 

ローズウォーターの可能性:レシピアワードが拓く未来

ローズウォーターレシピアワードは、単なるコンテストを超えて、ローズウォーターの新たな可能性を世に示す重要な役割を担っています。このイベントを通して、ローズウォーターはどのように普及し、広がっていくのでしょうか?

参加された多くの方々が、それぞれ何度も試作を重ね香りを活かす工夫をし挑戦した【第11回 ローズウォーターレシピアワード】。

今回のコンテストでは、ローズウォーターの認知度向上に大きく貢献するだけでなく、ローズウォーターという素材活用の新たな可能性を今まで以上に感じさせる、独創性あふれる作品が多く見られました。今後もローズウォーターは、香りづけだけでなく、素材の味を引き立てる調味料として、様々な料理やスイーツに活用されていくことが期待されます。

どれも素敵に仕上げられた作品ばかりでしたが、合わせる素材によってはローズウォーターの優しい香りやほんのりとした甘味が消えてしまうこともあり、レシピ考案が非常に難易度が高かったのではないか…と、ひしひしと感じたプレゼンテーションであったり、可能性を真剣に模索しながら完成された作品が多かったのが印象的でした。

ローズが主役のスイーツもあれば、そっと支える名脇役であったり。

でもその背景には”薔薇に託して大切な人に感謝の気持ちを伝えよう”というあたたかい想いが詰まっています。

この活動は毎年開催され、商品化されるものも出てくると思うので、店頭で見かけた際には《感謝》を伝えるアイテムの一つとして手に取ってみていただけたらと思います。