今回、25周年という節目を迎えた、世界が注目するショコラの祭典、「Salon du Chocolat(サロン・デュ・ショコラ)」。
フランス パリが発祥の世界最大規模と呼ばれるチョコレートの祭典です。
1995年から毎年開催されており、パリを皮切りに世界10ヵ国16都市以上で開催しているショコラ専門の展示会には、全世界から名だたる有名ショコラティエやブランド、そしてカカオ生産者が揃い、各ブースごとに最高級の技で表現したショコラやカカオ製品などが並びます。
今年、25周年を迎える本場パリの「Salon du Chocolat(サロン・デュ・ショコラ)」に、前夜祭から数日滞在して《現地でみたショコラの”今”》をお伝えしていきます。
2019年10月30日から11月3日までの5日間(前夜祭は10月29日)、パリ15区のはずれにある ポルト・ドゥ・ヴェルサイユ 国際見本市会場で行われ、世界60ヵ国から約500の出展者と著名なシェフやパティシエが参加。
イベント期間中は、13万人の来場者を見込んでいるそうです。
[佐藤ひと美のスイーツレポート 57]では、スタートを切る29日の前夜祭をいち早くレポートしていきます。
前夜祭(現地時間:2019年10月29日 約19時頃〜)では、会場奥の大ステージにてサントメ・プリンシペ出身「Calema」というフランスで人気の兄弟音楽デュオが歌を披露し、チョコレートをテーマにしたファッションショーも同時開催と、開幕に花を添えました。
前夜祭もチケット購入にて入館できるように昨年から変わったそうで、今年の来客数は昨年よりも多く、午前0時になっても会場内は賑わっていたそうです。(私は先に出てしまいましたが、残っていたショコラティエがビックリしたんだよ!と教えてくれました。)
チョコ作りのデモンストレーション、ワークショップ、カカオ生産国紹介、チョコレートに関する書籍販売、チョコレートファッションショー、チョコレート制作競技大会、ライブ・パフォーマンスなど、様々なプログラムが用意されています。
各ショコラティエが、世界に先駆けて新作を発表する場にもなっているので、「ショコラの“今”」を知りたい方は是非行っておきたいイベントなのです。
前夜祭の日には出店していないシェフや関係者も多数入場。1年に1度開催されるチョコレート見本市ということもあり、ノリノリです。
また、サロン・デュ・ショコラの期間中には、ショコラの品評会「Club des Croqueurs de Chocolat(C.C.C)」の授賞式も行われるので、そちらも注目しておきたい。
開催期間:2019年10月30日(水曜)~ 11月3日(日曜)
場所: Paris Expo Porte de Versailles (パリ) ポルト・ドゥ・ヴェルサイユ見本市会場
住所:1 place de la Porte de Versailles 75015 Paris
最寄り駅:メトロ12番線 Porte de Versailles 駅、トラム電車T2,T3a番線 Porte de Versailles 駅、市バス80番 Porte de Versailles 停留所
入場料: 14.20€(大人)、6.20€(子供3歳~12歳)、3歳未満無料 (※チケットはウェブサイトで購入、もしくは当日現地でも購入可能です)
公式サイト: https://www.salon-du-chocolat.com/?lang=en
新商品のチェックは怠らないよう、まずは広い会場を一周しリストアップすることをお勧めします。
最も美しい作品、象徴的なパティシエが想像する本物のはかない芸術作品を展示する【Exposition Bûche, ô ma bûche】では、フィリップ・コンティチーニ、ニコラ・ベルナルデ、マーリグ・ジョルジュリン、メゾン・ムロの彫刻や記念碑的な作品を展示。
ジェラルディン・マルテンスによる写真展は言うまでもありません。
そして前夜祭で先行お披露目されたのが、日本スイーツ協会 代表理事を務める 辻口シェフも昨年まで参加されていた【Le Défilé de robes en chocolat(チョコレートドレスのパレード)】で発表されていたドレス。
有名なショコラティエとファッションデザイナーが協力して、500年前のメキシコでの発見から現在までのチョコレートの偉大な叙事詩をたどる記念日コレクション。このパレードは、10月30日から11月3日までの毎日午後5時に行われます。
【Les créateurs & chocolatiers des défilés(ファッションショーのクリエイターとショコラティエ)】
- Max Chaoul & Philippe Bernachon
- Stella Cadente & Jean-Paul Hévin
- Angélique Godey & Stéphane Bonnat
- Cassandra Allaire pour Mad Harker & Jean-Luc Decluzeau
- Elsa Muse & François Daubinet pour FAUCHON
- Stella Bonet & Morgane Richard pour Tahiti Origin By M.
- Michael Leyva & Kelly Go et Mark Mendoza Ocampo pour Auro, en collaboration avec Sylvie Guillaume et Katrien Delaet pour Silva
- Lauren Bitar & Arnaud Larher
- Sébastien Tesson & Vincent Guerlais
- Elise Martimort & Hasnaâ Ferreira
- Lecoanet Hemant & Christophe Bertrand et Nicolas Morin pour À La Reine Astrid
- Félix Farrington pour « La Petite Robe Noire » par Didier Ludot & Anne Benoit pour Benoit Chocolats
- L’Atelier Flory Brisset et l’Atelier Thiery & Christophe Bertrand et Nicolas Morin pour À La Reine Astrid
- Patrice Chapon
- Gilles Touré & Cémoi
- “Cacao du Pérou” par Ricardo Dávila & Frederic Blondeel
2019年10月30日(水曜)~ 11月3日(日曜)の期間中は、毎日無料のチョコレートワークショップが開催されます。(ワークショップ開始の30分前にオンサイトで登録可能)
10時30分から17時30分まで、1時間ごとにアトリエのシェフが、チョコレートマカロンや、ダークチョコレートクリームや、ホワイトチョコレートを含むガナッシュなどユニークなレシピで披露。
また、ジャパンスペースも設けられており、日本がいかに「Salon du Chocolat(サロン・デュ・ショコラ)」への貢献、そしてチョコレートにおける日本市場の力量を感じることができました。
このブースでは、チョコレートと日本の美食の象徴的な製品との驚くべき関連性を発見できるようになっています。
そして、1時間ごとに、スペースチョコスフェールで開催されるカンファレンス。
チョコレートそしてカカオをもっとよく理解してもらおうと、今年のテーマ「未来のチョコレートとペストリー」-サロンデュショコラの25周年-健康食品とトレンドベジ-ココアの土地-マスタークラスワイン&チョコレート、コーヒー&チョコレート、紅茶&チョコレート、…
「Mon Parissucré-VerlhacÉditions」の著者であるジャーナリストのGilles Brochardによるモデレーターによる講義も期間中に開催されます。
さらに、今年は「サロン・デュ・ショコラ パリ」25周年という記念すべき年ということで、フランスで最も権威のあるチョコレート愛好会「Club des Croqueurs de Chocolat(C.C.C)」が「25年の中で最も素晴らしいショコラティエ」を集めた“総集本”『2020年度版ガイド ( Le guide des Croqueurs de Chocolat – l’édition 2020 – )』を会期中にて発刊。
今回、スイーツコンシェルジュ会員の方向けに1冊プレゼントをご用意しました。また応募内容の通知は「日本スイーツ協会」事務局よりご連絡させていただきます。
ガイドブックの概要としては過去10年間でAWARDSに輝いたショコラティエの中から、さらに優秀なショコラティエを選出することになります。そのため今年はガイド編纂のための品評会はありません。
今年は海外部門、ボンボンショコラ、タブレット等のカテゴリーで剪定するのではなく、フランス人と外国人が同じ土壌で評価されています。また、金・銀・銅といった順位でなく、アルファベット順に最優秀ショコラティエとして紹介されています。
今年のガイドブックの大きな違いはもう一つ。チョコレートについての総括的な内容になり、カカオの歴史を始めとするカカオやチョコレートにまつわるテキストが収録されることが今までと大きく異なるそうです。
そして、「Salon du Chocolat(サロン・デュ・ショコラ)」初日(現地:2019年10月30日 午後4時〜5時)カカオショーステージにて【Guide des 100 《meilleurs des meilleurs》chocolatiers ceremony(100人のショコラティエ「ベスト・オブ・ベスト」セレモニー)が開催されました。
セレモニーでは、選ばれた中から約30名のショコラティエが登壇。驚くべきことに、日本人シェフの割合が高いのです!
国内店舗:CHOCOLATERIE TAKASU(高須シェフ)、LE CHOCOLAT DE H(辻口シェフ)、MEIJI THE CHOCOLATE(株式会社 明治)、PÂTISSIER ES KOYAMA(小山シェフ)、SALON DE ROYAL KYOTO(株式会社 サロン ド ロワイヤル)、THEOBROMA(土屋シェフ)TOKYO CHOCOLATE(株式会社 メリーチョコレート) ※アルファベット順
海外店舗:LES 3 CHOCOLATS(佐野シェフ)、SADAHARU AOKI PARIS(青木シェフ)、Yumiko SAIMURA Piccola Pasticceria(才村シェフ)
日本の繊細な技法や独特な発想から生み出されるアタック方法など、フランスでも高く評価されています。
また、25周年を祝う特別な商品を販売している店舗も。その中で特に印象強かったのが、ショコラ界で特別な存在とも言われているフランス・リヨンにて1952年創業の老舗パティスリー・ショコラトリー「BERNACHON(ベルナシオン)」 のタブレット。
ここ最近の主流となりつつある「Bean to Bar」と呼ばれる自社でカカオ豆の状態からチョコレートなど商品になるまで全ての工程作業を創業当時より変わらず、独自に中南米から仕入れたカカオ豆をブレンドし自家製クーベルチュールで伝統の味を守り続け製造する「BERNACHON(ベルナシオン)」。
商品のクオリティを維持するため、海外への商品の輸出はほとんどしないのだそうで、フランス国内でもリヨンでしか購入できないブランドとあって、国内外からお客さんが立ち寄るブースでした。(日本展開の「~パリ発、 チョコレートの祭典~サロン・デュ・ショコラ」でも大人気で、タブレットや生クリームとブラックチョコレートを配合し、金箔を散りばめた円形タイプのチョコレート「パレドール」などを行列をなしています)
素材へのこだわりを感じるテイストもそうですが、今年の限定タブレットは、ダークチョコレート55%の中には、ピエモンテ産ヘーゼルナッツとアーモンドプラリネがぎっしり。表面の技法にもドキドキすることだと思います。
「Salon du Chocolat(サロン・デュ・ショコラ)」は、今までショコラトリーが多く出店していましたが、今年は会場内を歩いているとパティスリーも多く出店していました。その内容も含めて、第2弾でご紹介していきます。
また、来年も日本で開催が決定した「~パリ発、 チョコレートの祭典~サロン・デュ・ショコラ 2020年」。開催予定は2020年1月下旬からだそうです。
詳しい情報は11月上旬のサロン・デュ・ショコラ公式サイトにてアップされるそうなので、是非そちらも合わせてご確認下さい。
【サロン・デュ・ショコラ公式サイト】 http://www.salon-du-chocolat.jp/
【サロン・デュ・ショコラ公式インスタグラムアカウント】@salonduchocolat_jp
今回は、フランスで2019年10月29日に開催された「Salon du Chocolat (サロン・デュ・ショコラ)」 パリの情報を現地から皆様にお届けいたしました。
クリスマスが落ち着いたら、「Salon du Chocolat (サロン・デュ・ショコラ)」 の会場の様子や、フランスのスイーツ情報をお届けできたらと思います。
次回は、クリスマスケーキ特集 第2弾「赤・白 クリスマスカラー」をご紹介させていただきます。お楽しみに!!