[佐藤ひと美のスイーツレポート63]フランス パリ4区 メゾン「LENÔTRE(ルノートル)」リニュアールしたバスティーユ店に訪問。

日本再上陸の際、[佐藤ひと美のスイーツレポート 35]でご紹介した現代フランス菓子の概念を創った伝説のメゾン「LENÔTRE(ルノートル)」。

 (c) Caroline Faccioli

今回は、フランス パリ4区のバスティーユ店に訪問し、「LENÔTRE(ルノートル)」クリエーション・ディレクター Guy Krenzer(ギー・クレンザー)氏に今年のフランス クリスマス商品や、リニュアールしたロゴについてのお話を伺ってきました。

バスティーユ店のあるパリ4区は、流行の発信地として有名なマレ地区も含み、観光地としても有名なシテ島もあり、どこに行くにも便利なエリアになっており、地元の人たちにはパリの中心の地区と言われています。

主要な建物としては、ノートルダム大聖堂、ポンピドゥー・センター (国立近代美術館)、パリ市庁舎 (オテル・ド・ヴィル) などがある区域です。

今回お邪魔した「LENÔTRE(ルノートル)」バスティーユ店は、最寄駅 Bastille(メトロ1号線・5号線・8号線)から徒歩 3分ほどの場所にあります。

LENÔTRE(ルノートル)」バスティーユ店、リニュアールオープンは2019年10月中旬頃。

LENÔTRE(ルノートル)」は、現在M.O.F.(国家最優秀職人章)を取得した職人が8名在籍しており、ガストン・ルノートル氏のメゾンを受け継いだガストロノミーの概念のもと、ショコラから惣菜に至るまで、様々な洗練された味覚を生み出し続けています。

そこには60年にわたって引き継がれてきたノウハウがあり、それを基に常に良いものをと“発展・進化”することを大切にしています。

◼️「LENÔTRE(ルノートル)」の歴史

1947年、フランス・ノルマンディに最初のプティックを開店したガストン・ルノートル。1957年には妻のコレットと共に、パリでブティックを開業します。

その後、ケータリング・レセプション運営事業や、パリ近郊に菓子研究所を創設。1971年にはその後多くの著名パティシエを輩出することとなる料理学校「エコール・ルノートル」を設立します。

1975年、ドイツ・ベルリンに最初の海外ブティックを開業。

1979年、東京にブティック1号店(西武百貨店池袋店)を開業します。

1987年、コルベール委員会*に加盟

*コルベール委員会とは、フランスの文化・生活美学を世界に啓蒙することを目的に1954年に設立(クリスチャンディオール等、フランスの75ブランドが加盟)

1998年には、フランスサッカーワールドカップのフランス選手団の公式トレトゥールを担当し、その後も2013年のパルク・デ・プランスVIP公式トレトゥール担当や、2014年ロイヤルアスコットのトレトゥール担当、2015年と2017年のCOP21 Parisトレトゥールを担当するなど、フランスで唯一無二の存在として多くのパリジャン・パリジェンヌに愛されるブランドです。

 料理学校施設を備えた「ル・パヴィリヨン・エリゼ・ルノートル」を開業し、2010年にはフランス政府によって職人の技術が最高であると評価された企業にのみ贈られる「Living heritage company」を受賞しています。

◼️「LENÔTRE(ルノートル)」の新生ロゴ

ソレイユロゴは、生命を育む太陽や料理において大切な熱、そして「LENÔTRE(ルノートル)」のヴェノワズリーやパティスリーには必ずと言っていいほど原材料に用いている”麦”(ヨーロッパで縁起の良い、日本でいうところの実り=稲穂)をイメージしているそうで、それらを大切にしている意味が込められた新生ロゴに今後ゆっくりと変更していくのだそうです。

実はこのソレイユロゴは日本再上陸時に、ひと足早くお目見えしており、本国 フランスでは2019年10月にリニュアールした「LENÔTRE(ルノートル)」バスティーユ店ブティックのロゴからソレイユを使用。

フランスでは古くから愛されているブランドなので、元々の紫のロゴを惜しむ声もあるため一気に変更するのではなく、時間をかけてゆっくりと全店舗を新しいコンセプトで変えていくそうです。

また、3ヶ月かけて新装したバスティーユ店は「LENÔTRE(ルノートル)」の新しいコンセプトを込めた内装や設備配置を施したそう。

まず一番奥には、コーヒーやブランジュリ部門を用意。その次に惣菜部門、パティスリー部門とショコラトリー 。

一日の時間の流れで、どのタイミングでも楽しめる身近に寄り添った、何度でもブティックに来て楽しめるような空間に仕上げたそうです。

天井にも、小麦をイメージしたりと細部までこだわった内装になっているのでフランスの各店舗に行った際は是非そこにも注目してみてください。

また、全店舗で取り扱う商品パッケージは、ソレイユロゴ デザインになっています。

◼️「LENÔTRE(ルノートル)」La collection de Noël 《Bûche de bois et pomme de pin》

 (c) Caroline Faccioli

クラシックに”原点回帰”をテーマとした2019ノエル コレクション 「木材と松毬のログ」。

フランスでのみ楽しむことができる「LENÔTRE(ルノートル)」のコレクションを特別にご用意いただき、試食させていただきながらお話を伺うことができました。

クリスマスの家族団欒の象徴でもある”ビュッシュ(薪)”を忠実に再現した2019ノエルコレクション《Bûche de bois et pomme de pin -木材と松毬のログ-》。

クリスマスリースや、森のお散歩をコンセプト イメージとした2019年のクリスマス。

 (c) Caroline Faccioli

銅鍋を使用するトラディショナルな手作業の製法で仕上げる松の実を加えたヘーゼルナッツのプラリネフォンダンを中心に、チョコレートでできた18個の極薄生地をロールケーキのように重ねて巻き、クリームで包み込み、ビスキュイの土台、そしてチョコレートで作られた樹皮で周りを彩った森の中に誘うBûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)。

マダガスカル産 マディオフォロの提携農園で育ったBIOカカオで作られたクーベルチュールチョコレートや、バニラのような味を持つ甘さ控えめの希少なシュークル・ブラウン(ブラウンシュガーと同種のものだそう)を使用。

松の実を使用しているので、薪の上にも松毬を一つ一つ手作りで。

別売りの「このソースを合わせると、より美味しい!」とオススメしてくれました。

毎年、予約販売のビュッシュはどのように食べたらより美味しく楽しめるか…今年のコンセプトは…という説明を細かくのせた本をつけているそうで、そこに記載している別売りのチョコレートソースを今回特別に用意していただき、合わせていただくことができました。

柔らかく、カリカリと食感と風味が活きたビュッシュに感動!また、濃厚なカカオとともに、ほんのりとパッションの香りも。

”原点回帰”の中に込めた奥深い技術と技法は、今度も「LENÔTRE(ルノートル)」が多くの職人たちへ影響を与え続けるメゾンであり続ける由縁を感じることができました。

 (c) Caroline Faccioli

◼️”フランスの今”

LENÔTRE(ルノートル)」パティスリーの期間限定商品

奇をてらわず、トラディショナルであり続けながらも進化を取り入れている「LENÔTRE(ルノートル)」。

ビュッシュの他にもパティスリー 期間限定ラインナップから、クリエーション・ディレクター Guy Krenzer(ギー・クレンザー)氏がオススメする3点も頂いてきました。

「Cappuccino」 7,90$

グァテマラ産コバン地方のコーヒー豆(シュティールフィンカエルティーオル ※)を使用した「Cappuccino(カプチーノ)」。

そのエスプリを、アンフュジオンで全体そのまま表現したケーキで、上面の模様もカプチーノを提供されるときによく見られる液面のクレマにフォームドミルクを注いで描くリーフをイメージしています。

ハチミツや胡椒、そしてカカオのような味がするコーヒー豆を使用することで、渋みがあるが、優しくすっきりとした後味が楽しめる仕上がりでした。提供期間は2020年4月頃までを予定しているそう。

※シングルオリジンコーヒーや、数ある生産地から厳選したコーヒー豆を店舗で焙煎し抽出している「La Caféothèque de Paris(ラ カフェオテック ドゥ パリ)」のコーヒー豆を使用。

「Cabosse」 5,90$

カカオの実型のケーキは、世界最大のチョコレート メーカー「CACAO BARRY」と一緒にガーナのカカオ農園に行った際のインスピレーションで誕生した「Cabosse(カボス)」。

薄いチョコレートの中には、松の実のプラリネや、クランブルのような食感のシュトロイゼル・ショコラ、サオトメ産カカオのムース・オ・ショコラとクラッシックな濃厚さを楽しめるケーキでした。

「Fôret noire」

フランスとドイツ人のハーフであるクリエーション・ディレクター Guy Krenzer(ギー・クレンザー)氏。

フランス北東部に位置するストラスブール出身で、アルザスの定番銘菓とも呼ばれる「Fôret noire(フォレ・ノワール)」別名:Schwarzwälder Kirschtorte(シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ)を、母親を思い起こして作ったそう。

日本で出会う「フォレ・ノワール」は、スポンジ生地にキルシュを打ったものが多く、アルコールを不得意とする私にとって苦手分野だったのですが、「LENÔTRE(ルノートル)」で頂いてみると、ほんのり香り付け程度と上品な使い方をしており非常に美味しく、食べることができて良かった!と感動。

しっかりと素材の味が堪能できるのに、優しく包み込むような口に入れた時のバランスが取れたケーキでした。

『お菓子というものは家族で食べたり子供も食べるものだから、そういうことを大切に私は考えているからこそ、「LENÔTRE(ルノートル)」ではアルコールをあまり使用していない』と、その理由も伺うことができた訪問となりました。

”素材にこだわり、料理のようにレシピを考えたお菓子やチョコレートを創る”をコアコンピタンスの基、ガストロノミーの概念を持つ「LENÔTRE(ルノートル)」でしか表現できないパティスリーやショコラを今後も作り続けてくれるメゾン。

-訪問店舗 情報-

「LENÔTRE BASTILLE(ルノートル  バスティーユ)

10 rue Saint Antoine, 75004 Paris , France

営業時間:9:00~21:30

Métro : Bastille

今回は本場”フランス”で堪能できる「LENÔTRE(ルノートル)」のコレクションを体験してきましたが、日本では季節限定のラインナップや2020バレンタインに新登場する魅力的なコレクションも先日発表会で情報を得たので、そちらはまたバレンタイン情報の時にご紹介しますね。

さて、いよいよ来週は令和最初のクリスマスを迎える日本。そして、年末年始。ガレット・デ・ロワが過ぎれ、あっという間にチョコレートの祭典・バレンタインのシーズンが到来します。

ということで、次回はバレンタインのオススメ情報をご紹介させていただきます。

お楽しみに!