【インタビュー】『日々たんたんとパン』著者・幸栄さんに聞く「美味しく焼けたならそれで大成功、難しいことは考えずに一度パン生地に触れてみてほしい」


パン教室「toiro」主宰。人気パン講師であり2人の女の子の母でもある幸栄さんが、このたび『日々たんたんとパン』を光文社より出版されました。シンプルな材料、道具、工程で引き算を重ねて完成したというレシピは、幸栄さんが日々くり返し焼いているという「まるパン」「平たいパン」「大きいパン」「食パン」「コッペパン」の5つ。あわただしい日々の中にすっと溶け込む、自分らしく気負わずに楽しむパン作りが提案されています。焼きたてのパンの香りがふんわりと部屋中を満たすような、ぬくもりと優しさにあふれた素敵な一冊です。パン作りとの出会いや、家族でパンを囲む時間のこと、これから挑戦してみたいことなどについて伺いました。


Profile 幸栄

高校卒業後、モデルとして広告等で活躍。
長女を出産後、パン屋にて技術を学び、2010年より自宅でパン教室「toiro」を主宰。
卵とバターを使わず、少ないイーストでじっくりと発酵させながら、最小限の道具でおいしく楽しく焼けるパン作りを大切にしている。『パウンド型で焼けるおいしい食パン』(家の光協会)、『「ちょっとのイースト」で作るベーグルとピザの本』(主婦と生活社)、最新刊『日々たんたんとパン』(光文社)など著書多数。
二人の娘を持つ母でもある。

パン教室toiro HP  http://toiroyukie.com/
Instagram     @toiroyukie


――幸栄さんとパンづくりとの出会いを教えてください。

幸栄「長女を出産した1か月後、ふと見たテレビ番組でパンを作っている風景が流れていたんです。それを見たとき『これならできそう』と思って。それで表紙がかわいいなと思った本を買ってきて焼いてみたのがきっかけです」

『日々たんたんとパン』(光文社)より

――幸栄さんの作られるパンの特長やこだわりなどを教えてください。

幸栄「基本はたまごとバターを使わず、少ないイーストでゆっくりと発酵させながらうまみを引き出していくという方法です。製パンは様々な方法がありますが、あまり難しくすると毎日焼くのがおっくうになると思います。なので材料も道具も工程も、最小限にして、でもきちんと翌日も翌々日もおいしいパンができるようにレシピを作っています」


――ふたりの女の子のお母さんでもある幸栄さん。パンを焼く日常について、またご家族とパンを囲む魅力について教えてください。

幸栄「きれいに焼くというよりは、おいしく焼いて笑顔でいただければいいなと。娘たちも私の焼いたパンが一番だね!と言ってくれています。お友達や塾の先生に持っていったりもするんですよ」


――今回発売された「日々たんたんとパン」について、本書を出されたきっかけや本書の楽しみ方について教えてください。

幸栄「『パンは難しくて作れない』と思っている方々にも、これなら作ってみたいと思っていただけるような、毎日食べても飽きない一番シンプルなパンのレシピを中心に、グラノーラやパンケーキミックスなどのレシピも載せました。
あとはそんなにがんばらなくていいんじゃないかな、ということを、この本を通して呼びかけたかったのもあります。SNSでいろんな方々の生活を身近に感じることができるようになりましたが、それと自分を比べてつい落ち込んだり、自分は頑張りが足りないんだと疲れているのに無理をしたり…自分の歩幅でいいんじゃないかな、と。そんな風に私が日常感じていることを、エッセイとして載せたのも新しい試みです」


―幸栄さんが最近興味を持たれていること、力を入れられていることについて教えてください。

幸栄「自分の体の声と向き合うことでしょうか。子供たちもそれなりに成長して、自分のことは自分でほとんどできるようになってきました。私も年齢と共に無理もできなくなってきたので、自分の体がいまどうしたいと言っているかを聞いて、じっくり向き合うようにしています。日々の食事やお肌のケア、ヨガなど、毎日続けられることを大切にしています」


――幸栄さんがこれから挑戦してみたいこと、作ってみたい本などあれば教えてください。

幸栄「今回出版した『日々たんたんとパン』のような『レシピ+エッセイ』の本を、また書いてみたいなと思いました。文章を書くのは苦しくもありましたが、同時に楽しい時間でもありました。
あとは、バターを使ったリッチな生地を使うパンのレシピ本も作ってみたいですね」


――最後にスイーツファンに向けて、メッセージをお願いします。

幸栄「パン作りは、いつも同じように進まないので、難しいなと感じる方が多いかもしれません。でも逆に、それこそが『楽しい』と感じられる魅力のひとつなのだと思います。
美味しく焼けたならそれで大成功、難しいことは考えずに一度パン生地に触れてみてほしいなと思います。
神奈川県にある自宅で開いているパン教室toiroでは、主にたまごとバターを使わず、じっくり時間をかけて発酵させ、日々の生活に取り入れやすいパンづくりを教えています。
また、月に3回富澤商店で実演もしていますので、ぜひ一度toiroのパンをご覧いただいて、パン作りの扉を開くきっかけにしていただけたら嬉しいです。


『日々たんたんとパン』

著者:幸栄
出版社:光文社
発売日:2017年12月13日

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https://books.rakuten.co.jp/rb/15266018/