【インタビュー】『365日のクッキー』著者・高石紀子さんに聞く「お菓子の歴史やお菓子作りの楽しさを多くの人に伝えたい」

菓子研究家の高石紀子さんが、このたび『365日のクッキー』を出版されました。焼き菓子のハイシーズンである秋や冬だけでなく、春には甘酸っぱいベリーを、夏にはレモンを爽やかに取り入れるなどのアレンジで、365日クッキーを楽しむためのアイデアがつめこまれたレシピ集です。9つの基本の生地から展開した74のレシピが、季節に寄り添うように多彩に紹介されています。子供のころから「ケーキ屋さんになること」を夢見ていたという高石さんに、お菓子づくりとの出会いやパリでの修行時代のこと、今後の展望などを伺いました。


Profile 高石紀子

菓子研究家。甲南大学卒。
ル・コルドン・ブルー神戸校でディプロムを取得したのちに渡仏。
リッツ・エスコフィエで学び、ホテル・リッツ、ブレ・シュクレなどの人気店でスタージュを経験。
帰国後はフランス菓子の料理教室、アパレルブランド向けのケータリング、通信販売などを手がける。
くだもの使いが巧みなケークやサブレを得意とし、素朴ながら飽きのこない、エバーグリーンなおいしいお菓子を追究する。
著書に『やさしい甘さのバナナケーキ、食事にもなるキャロットケーキ』(主婦と生活社)
 

http://norikotakaishi.com/
https://www.instagram.com/pointje/


――高石さんとお菓子づくりとの出会いを教えてください。

高石「幼稚園生の頃から、夢は『ケーキ屋さんになること』でした。

ある日、私が初めて作ったバナナケーキを、母が食べて『美味しい!また作って欲しいな』と言ってくれたことをきっかけに、お菓子作りが大好きになり、自分が作ったものを喜んで食べてくれる人がいる幸せを知りました。

その時からお菓子をよく焼くようになり、夢を応援し続けてくれた母がいるから今まで続けてこれたと思っています」

――パリでの修行経験もお持ちの高石さん。そこで学ばれたことやエピソードなどを教えてください。

高石「フランスでの初めての研修先はホテルリッツのパティスリーだったのですが、その時に初めてアシエットデセールの美しさやライブ感のある楽しさを学びました。
日本では見たことのないフルーツに出会えたことも貴重な経験です。

ホテルでは婚礼やご宿泊客のお食事など、朝食からディナーまで大忙しの日々ですが、どんなに忙しくても、仕事の前と後には必ず一人一人に挨拶をするんです。仕事場ではユーモアが飛び交い、皆が毎日を楽しく過ごそうと気配りを忘れずに過ごしていることに驚き感心しました。

そんなフランス人だからこそ、見た目も楽しく、あっと驚く組み合わせのお菓子を作ることができるのかなと思います」

――誰かにプレゼントしたくなるような、おしゃれなお菓子が人気の高石さんですが、お菓子を作るときに大切にしていること、心がけていることはありますか?

高石「フランス菓子をベースに、現代の日本人でも食べやすいよう、口に入れた時に甘さが優しく広がるお菓子を作るようにしています。また、食感のコントラストや味の組み合わせで、食欲をそそるようなものを作りたいと思っています。

お菓子はお料理と違って少し特別なもの。自分へのご褒美だったり、誰かへのプレゼントだったり。

味だけでなく、お菓子を手に取った方が、まずは目でも楽しんでいただけるようにとラッピングにも華やかさを忘れないようにしています」

――今回発売された「365日のクッキー」では、季節ごとに楽しめるたくさんのクッキーが紹介されています。本書を出されたきっかけや本書の魅力について教えてください。

高石「この本では、名前の通り、四季を通してクッキーのレシピを紹介しています。

さっぱりしたレモンのお菓子やアイスクリームサンドなど、暑い夏でも楽しんでいただけるようなお菓子の提案もしています。

基本の作り方では、詳しく作りかたを紹介しているので、初めてお菓子作りに挑戦する方でも、失敗なく安心して作っていただけるような本になっています。

また、クリームやジャムなど、クッキー生地以外のレシピも紹介しています。お好みで組み合わせを変えて楽しんでいただければ嬉しいです」

――高石さんの最近の活動について、また力を入れられていることについて教えてください。

高石「10月には、1日限りのマーケットに参加しました。

いつもはインターネットでの販売ですが、マーケットではお客様とお話しながら、お好みを伺ってお菓子をお勧めしたり、感想を頂けたりと貴重な機会を作ることができました。

また、出店者さんに食材を頂いて、それを使ったクッキーを作ったりと、新しいお菓子を作るきっかけを頂けました」

――高石さんがこれから挑戦してみたいこと、作ってみたい本などあれば、教えてください。

高石「学生時代、初めてお菓子教室に参加した時に、その日に作るお菓子の由来やエピソードを教えてもらいました。その時、何も知らずに食べていた頃より何倍も楽しんで作り、美味しく感じられたことをよく覚えています。

これからは、お菓子の教室やイベントも開催し、私もお菓子の歴史やお菓子作りの楽しさを多くの人に伝えられるような機会を作りたいです。

また、販売を始めたきっかけがパウンドケーキなので、いつかパウンドケーキの本を作ってみたいです。

子供の頃にお菓子作りに触れ合えたことも私にとって大きな出来事なので、子供向けのおやつの本を作り、お菓子作りを楽しいと思うきっかけを作れたら嬉しいです」


――最後にスイーツファンに向けて、メッセージをお願いします。

高石「秋も深まり、焼き菓子が美味しい季節になりました。

『365日のクッキー』では小さなお子様と一緒に作れる簡単なものから、プレゼントやパーティにもぴったりな見た目も華やかなものまで、様々なレシピを紹介しています。

焼きたてを食べることができるのも、手作りならではの特権です。

是非、食欲の秋にお菓子作りを楽しんでいただければ嬉しいです」


『365日のクッキー』


著者:高石紀子

出版社:主婦と生活社​

発売日:2017年10月13日