【インタビュー】『ユイミコ謹製抜き型つき はじめての和菓子』著者・ユイミコさんに聞く 「自分たちが楽しいと思えることを取り入れながら、暮らしに溶け込む和菓子を広めたい」

和菓子ユニット「ユイミコ」として活動中の小坂歩美さんと大森慶子さん。ワークショップを中心に、若い女性ならではの感性とアプローチで、日本文化の美しさや四季の移ろいを和菓子を通して発信されています。このたび、初心者やお子さまでも本格的な和菓子を作ることができる抜き型つきの本『ユイミコ謹製抜き型つき はじめての和菓子』を出版されました。”ようかん” “ういろう” “練りきり”の3種類の基本のレシピを、お二人が細部にまでこだわった「さくら」「きんぎょ」「かえで」「うめ」「ちょうちょ」「うさぎ」の6種類の抜き型でつくる、アイディア満載の和菓子アレンジが紹介されています。お二人の出会いや和菓子ユニット「ユイミコ」の活動について伺いました。
 


Profile ユイミコ

小坂歩美、大森慶子の和菓子ユニット。東京製菓学校で出会う。2005年に卒業後はそれぞれ和菓子店に勤務し、経験を積む。2008年に「ユイミコ」としての活動を開始し、季節を感じる和菓子をカジュアルに楽しむワークショップを都内中心に各地で開催。初心者でも上手に作れる、ていねいな指導で評判に。自身のアトリエやNHK文化センターなどのワークショップでも予約がとりづらく、リピーターが後を絶たない。2015年に初の著書『かわいい和菓子』(講談社)を手がけた。テレビでは、「スッキリ!!」「ひるまえほっと」「カンブリア宮殿」などにこれまで出演。Instagram「@cawaii_wagashi」でのフォロワーは約1万6000人以上に上り、アジアでも注目されている。

http://www.yuimico.com


――東京製菓学校で出会った小坂歩美さんと大森慶子さん。お二人が和菓子の道へ進まれたきっかけを教えてください。

大森「インテリアデザインの勉強をしていましたが、姉が和菓子好きで、子供の頃から和菓子が身近なものでした。そのような環境で、独特の美しさや、自分が考えたものを自分の手の中で完結できる面白さに気づき、和菓子の道を志しました」

小坂「子供のころから洋菓子を作るのが好きでしたが、一般企業に就職して働く毎日の中で、改めて日本の四季の移ろいや文化の美しさに心ひかれるように。好きな菓子作りを通して日本文化に携わる仕事がしたいと思うようになり、和菓子を学び始めました」

――和菓子ユニット「ユイミコ」誕生のきっかけを教えてください。

大森「学校卒業後は別々の和菓子店に勤めていましたが、お互い退職しました。私は次のステップとして、今までにない、若い女性ならではのアプローチ方法で和菓子に携わることができないか漠然と考えており、専門学校の同期だった小坂に「一緒にやらない?」と声をかけたんです。
小坂とは、在校時はいつも一緒にいるという関係ではなかったものの、和菓子に対する感性が何となく近いなという印象がお互いにあり、一緒に何か始めるならパートナーは彼女しかいないと直観的に思っていました。
結成時は具体的に何をするか決めておらず、縁あって鎌倉で和菓子作りのワークショップを始めることになり、そこから徐々に教室の仕事が増えていきました」

――和菓子ユニット「ユイミコ」の最近の活動について、またお二人で活動されることの楽しさや魅力ついても教えてください。

ユイミコ「都内各地で開催している教室に加えて、よりたくさんの、幅広い層の方に和菓子に親しんでいただけるよう、巣鴨にあるユイミコのアトリエでの教室を増やしていきたいですね。「和菓子は楽しみながら手軽に作れる」「和菓子はおいしくて美しい」ということをより身近に感じてもらうために、力を注いでいます。

ユニットで活動する強みは、ひとりでは気づかなかった思いがけないアイディアを共有できる面白さや、お互いの足りない部分を補い合えるところではないかと思います。

また大量の注文菓子を作るときなど、ひとりでは煮詰まってしまうような状況でも、二人だとフォローし合い、良い空気感を保ちながら頑張り抜くことができます。

よく「二人の性格や行動パターンは全然違うのに、作るお菓子の雰囲気は不思議と似ているね」と言われることがあります。特に役割分担もないので、お互いが「いいな」と思う感覚は、言わなくても通じるところがあるのではないでしょうか」

――今回発売された『ユイミコ謹製抜き型つき はじめての和菓子』では、市販のあんや和菓子を活用するなど、初心者でも和菓子作りを楽しめそうな内容になっていますが、この本を出したきっかけ、本書の魅力について教えてください。

ユイミコ「前著『道具なしで始められる かわいい和菓子』を作ったときも、「初めて和菓子を作る人にもわかりやすく、身近に感じてもらえること」を大切にしていました。

今回はさらに、和菓子にほとんどなじみのない人やお菓子作りの経験がない人にも、「かわいい!作ってみたい!」と手に取ってもらえる魅力が詰まった本を作ろうと試行錯誤した結果、教室の生徒さんも大好きな和菓子の抜き型を付けたレシピ本という形を選んだんです。

初心者には中身となるあんを生地で包み込む工程が難しいので、あんを生地で巻いたり重ねたりするだけなど、お子さんでもきれいに作れるようレシピを工夫しました」

――本書の付録、ユイミコさんがデザインされた抜き型について、こだわった点や、抜き型を使用することで生まれるアレンジの広がりについてお聞かせください。

ユイミコ「直径約2センチという小さな和菓子の抜き型は、これまで合羽橋の製菓道具専門店やネットショップでないと買えない高価なものでした。私たちも市販の抜き型を愛用していますが、「ココがこうなら、もっとかわいいのに……」と理想を追求したら、使いやすくて、美しい形になりました。型は全部で6種類。形も大きさも、ユイミコのこだわり満載です。

デザイン面では、振り向きざまの「うさぎ」や、優美な尾っぽの「きんぎょ」など、自分たちがときめくフォルムにしました。また機能面では、箸で生地を抜き型から押し出せる大きさにして、押す側の縁を広く丸くしたので、かたい野菜などを抜いても手のひらに食い込みません。専用の収納箱つきだから、しまうのもラクチンです。

それと「うさぎ」は単体で使ってもかわいいし、「ちょう」と「うめ」、「きんぎょ」と「かえで」など、組み合わせ次第で四季も表現できるし、表情が変わって楽しいですよ。

本書でも紹介していますが、コンビニやスーパーで売っている和菓子や洋菓子だって、抜き型を使えば簡単に和風アレンジができます。野菜やパン、チーズなども抜けるので、ちょっとしたおもてなし料理やお弁当など、インスタ映えするものが作れます」

――ユイミコさんがこれから挑戦してみたいこと、作ってみたい本などあれば、教えてください。

ユイミコ「まずは活動の主軸として、日々の教室をこれからも続けていきたいです。今後は、web媒体などで和菓子の情報を幅広く発信したり、注文菓子を製作したりして、気負わず自分たちが楽しいと思えることを取り入れながら、様々なアプローチで和菓子を広める活動を考えていくつもりです。

以前、長年通っていただいた生徒さんが、これまでお教えした和菓子の写真をまとめて冊子にしてプレゼントしてくださったことがありました。いつか、これまでの活動記録として、作ってきたお菓子を1冊の本にまとめられたら素敵だなと思います」

――最後にスイーツファンに向けて、メッセージをお願いできればと思います。

ユイミコ「今回の『ユイミコ謹製抜き型つき はじめての和菓子』は、タイトル通り、まさに今までお菓子を作ったことがない方、和菓子になじみがなかった方にも、ぜひ手に取って、実際に作っていただきたい内容となっています。

簡単で作りやすいレシピを揃え、付録の抜き型を使うことでぐっと本格的にかわいく見える和菓子ができますので、ぜひお試しになってみてください。

ふだんのおやつにケーキやクッキーをいただくように、和菓子が「特別なもの」ではなく、私たちのいつもの暮らしに溶け込んでくれたら嬉しいです」


『ユイミコ謹製抜き型つき はじめての和菓子』


著者:ユイミコ

出版社:講談社

発売日:2017年9月7日