安孫子宏輔の「あびこ菓子」 〜幸せって食べたら甘いと思う。〜 #025 「ガレット・デ・ロワ」

※安孫子宏輔さんのCandy Boy卒業に伴い、“安孫子宏輔(Candy Boy)の「あびこ菓子」”を再編集して公開しております。


安孫子宏輔さんのスイーツ連載「あびこ菓子」。おすすめスイーツを実食して、エッセイ風食レポに挑戦するSeason2!  今回ご紹介するのは年始に食べるスイーツとしてだいぶ浸透してきた「ガレット・デ・ロワ」。今回もCandy Boyの メンバーがゲストとして登場してくれています


第25回 安孫子さん「ガレット・デ・ロワ」をいただく

その名は「王様のガレット」を意味し、食べた人に幸せを運んでくるお菓子。

そんなおとぎ話に登場するようなお菓子が「ガレット・デ・ロワ」です。

ガレット・デ・ロワは1月6日のエピファニー(公現祭)に食べるフランスの伝統菓子で、フランスでは新年の時期には欠かせないスイーツです。

現在では、ガレットを切り分けて、中に入ったフェーブ(陶器の人形)を引き当てた人が王様となり王冠を被って祝福を受け、幸運が一年間持続すると言われています。

ガレット・デ・ロワの歴史は古く、その起源は古代ローマ時代まで遡ります。約2000年もの間、人々に愛され続けるなんて並大抵の事ではありません。そこには何か愛され続ける理由があるはずです。僕はその理由が、この王様を選ぶ風習にあると思っています。

カットされたガレットを配り、当たりの人が王様になる。いわば“くじ引き”で王様を決めるわけです。

皆様お分かりでしょうか?

くじ引きから王様を決める流れが、完全に“王様ゲーム”と一致するのです。

王様ゲーム。それは古くから日本で行われてきたゲームであり、今なお多くの若者たちを熱狂させています。

余談ですが、フランス国王ルイ14世の宮廷においても、ガレット・デ・ロワのこの風習が行われた記録が残っています。まさに王様ゲームですね。

フランスと日本、遠く離れた2つの国で同じ行為が愛され続けている。つまり、人間はくじ引きで王様を決めるという行為が好きなのです。

しかしながら、本当にそれだけでガレット・デ・ロワが2000年間愛され続けることができたのでしょうか? 王様ゲームが2000年後も若者を熱狂させているかと聞かれると少し不安になります。

ということで、愛される理由を探るべく、実際にガレット・デ・ロワをCandy Boyのメンバーと一緒に食べてみることにしました。

王冠を乗せた美しい模様のガレットの登場にみんなから歓声が上がります。

ナイフがフェーブに当たらないかドキドキしながら人数分に切り分け、「これだ!」「絶対これ!」など盛り上がりつつ、各々好きなピースを選んで、恐る恐る一口。

切り分ける際にフェーブがナイフに当たったり、切り分けた断面から見えてしまったりすることも……。
いざ実食! フェーブは出てくるのか!?

サクサクのパイの香ばしさとクレーム・ダマンドの優しい甘さに思わず顔がほころびます。

シンプル故に次の一口がすぐ欲しくなり、パクパクと食べ進めていると、向かいの席から「あ、何かいる!」という声が聞こえてきました。

見事フェーブを引き当てたのは前田大翔くんでした。

大翔くんに王冠を被せてみんなでお祝いして、どんなフェーブが入っていたかで盛り上がって、また美味しいケーキを食べて。気づけば当たりを引いた人だけでなく、テーブルを囲んだみんなが笑顔になっていました。

見事フェーブを引き当て「王様」になった前田大翔くん。
ハート型のフェーブ(陶器製でできた小さい置物)が出てきました。

なるほど。この光景を人は愛し続けてきたわけです。ガレット・デ・ロワはまさに、食べた人全てに幸せを運んでくるスイーツでした。

エピファニーは過ぎても一月中はガレット・デ・ロワを販売しているブーランジェリーやパティスリーも多いので、お近くのお店で幸せを運ぶケーキを探してみてください。


Candy Boyは2015年結成の「フレンチ」をテーマにしたトータルエンターテインメント集団。

おしゃれなレストランやカフェを貸し切って行われる「カフェ公演」を中心に活動し、フレンチポップな楽曲やバレエリズムダンスが融合したお芝居でファンを魅了しています。

最大の特長は、ボーイズグループ随一といっても過言ではないエレガントさ。

メンバーコーヒープロフェッショナル、紅茶アドバイザー、パンシェルジュ、チョコレートマイスター、アロマテラピー検定1級など得意分野の資格を取得しています。

Candy Boyについてもっと知りたいという人は公式サイトをチェック!
https://candy-boy.jp/


※安孫子宏輔さんは2022年12月31日をもって、Candy Boyを卒業しております。