[佐藤ひと美のスイーツレポート204]日本美のミュージアムホテル「ホテル雅叙園東京」で美食とノスタルジックの世界を堪能する『大正ロマン喫茶室』

ロマンに溢れ、起伏に富んだ”日本史で一番短い時代”「大正時代」。

明治の名残と昭和の兆しを感じられる「大正時代」は、日本の伝統文化と西洋の文化が織り交ざり、建築や生活様式が多様化した時代。

ファッションでは、前半は和装が多数派だったものの、西洋文化がだいぶ定着したことで”洋風柄”の着物が登場したり、鮮やかな色や柄が特徴の平織り絹織物・銘仙(めいせん)が流行。

また、明るい色使いをしたスカートなどの洋服のほか、和服に袴やブーツなどを組み合わせた和洋折衷の装いが好まれるようになりました。

食文化も同様。

「森永製菓」は、大正二年に『ドロップ』や『ミルクキャラメル』などを発売し次々とヒット商品を世に出していく。このように大企業が確立していった時代です。

また、大正三〜七年の第一次世界大戦後、それまで交流があった”フランス菓子”や”英米風”に加え、独特な”ドイツ風”や”ロシア風”のお菓子も広まるなど洋菓子の世界が賑やかに。

中でも、ケーキ類の仕上げは明治〜大正時代の間に大きく変化した。

グラスロワイヤル(砂糖がけ)が中心であったのが、大正十年頃からバタークリームに置き換えられていくのです。

洋菓子店も数が増え、洋菓子も人々が求める嗜好にマッチし、私たちが目にするケーキに近づいていく。

それに合わせ、大正五年にはアメリカからチューインガムが入り、大正七年には「森永製菓」による日本で初めて原料のカカオ豆からチョコレートへの一貫製造システムが完成したことで、それまで高嶺の花であった『チョコレート』が庶民の菓子に近づいていくなど、人々の生活が変化した時代なのである。

大正時代の文化や雰囲気を表す言葉として『大正ロマン』が挙げられる。

個人の感覚や空想的な自由の確立を目指す、また夢や憧れ、冒険への欲求などを表す「ロマン(浪漫)」。

感情や個性に重きを置いた“ハイカラ”な『大正ロマン』。

そんなノスタルジックの世界を堪能する空間を、東京都目黒区にある唯一無二のミュージアムホテル「ホテル雅叙園東京」が期間限定で展開。

ホテル雅叙園東京」外観

レトロな空間で昔懐かしの喫茶メニューを堪能する『大正ロマン喫茶室』

店舗:Cafe&Bar「結庵」 / ホテル雅叙園東京
開催期間:2023年3月25日(土)~6月11日(日)
大正ロマン喫茶室』メニュー提供時間:11:30~17:00(L.O.)

営業時間:平日 11:30~14:30(L.O.) / 14:30~17:30(L.O.) / 17:30~21:30(L.O.)  ・土日祝  11:30~15:00(L.O.) / 15:00~17:00(L.O.)

大正ロマン喫茶室』メニュー:オムライス デミグラスソース / スパイシービーフカレー / 昔なつかし もちもちナポリタンスパゲッティー フライドエッグのせ /[4月限定]有頭海老フライタルタルソース添え / [5月限定]厚切りポークジンジャーソテー / [6月限定]特製ビーフカツレツ/ プリン・ア・ラ・モード / 7カラーズクリームソーダ

ご予約・お問合せ:050-3188-7570(レストラン総合案内 10:00~19:00)

URL: https://www.hotelgajoen-tokyo.com/archives/82456

ステンドグラスを配した『大正ロマン』風の空間演出の中で、ランチやスイーツなどの喫茶メニューをお愉しみいただける『大正ロマン喫茶室』。

プリン・ア・ラ・モード  

価格:1,300円 

7カラーズクリームソーダ

 いちご / オレンジ / バイオレット / パイナップル / ブルー / メロン / ブルーベリー

価格:各 1,200円

パーラーや純喫茶で一際煌びやかな存在を放つデザートメニューの筆頭とも言える「プリン・ア・ラ・モード 」。

誕生自体は昭和二五年から昭和三十四年(1950年頃)と大正時代には存在しなかったメニューではあるが、現在、日本各地で「大正ロマン」をうたうカフェで提供されています。

※プリン・ア・ラ・モード発祥の地については[佐藤ひと美のスイーツレポート170https://sweets-community.com/article/12129 を。

センターにカスタードプリンをおき、その周りを囲うのはさくらんぼ、アプリコットのコンポート、キウイフルーツ、メロン、いちご、生クリーム、カラメルソース。

横長で足のついた器に飾られた「プリン・ア・ラ・モード 」。

昭和初期に日本で誕生した「プリン・ア・ラ・モード 」ではありますが、《レトロ喫茶》という誰しもが連想する象徴的なメニューを、ノスタルジックな空間で楽しんで欲しい。と提供している『大正ロマン喫茶室』。

主役でもある「プリン」は、「ホテル雅叙園東京」ペストリー料理長 生野剛哉 氏が20代の駆け出しの頃に先輩から習った30年以上前のレシピを採用。最近の”とろける”ような柔らかいものではなく、固めでぷるっと歯ごたえ。

卵を多めに使用しているので、卵の味がしっかりと残っていることが特徴なプリンは是非とも味わってみてほしい。

そして、真っ赤なチェリーに、カラーの甘い炭酸水、重厚感のあるバニラアイスクリームが浮かんだ「7カラーズクリームソーダ」。

そもそも「クリームソーダ」が誕生したのは今から100年以上も昔、明治時代のこと。

明治の終わりから大正、昭和初期を生きた文豪・森鴎外をはじめとする偉人や文豪たちにも愛された「クリームソーダ」は、当時は上流階級の嗜好品だったそうです。(饅頭が一個が一銭で買えた時代。アイスクリームソーダは一杯 二五銭。)

その後、時が経ち戦後、高度経済成長を経て豊かになった昭和時代。

冷凍庫付きの冷蔵庫が普及したことで、喫茶店やデパートでも提供されるようになり、広く愛されるものになっていきました。

大正ロマン喫茶室』では、色鮮やかで幻想的な見た目の「7カラーズクリームソーダ」を提供。

どこか懐かしくノスタルジックな気分に浸れるシルエットに心が躍ります。

先に”文豪”と触れましたが、「ホテル雅叙園東京」では、同期間、『大正ロマン×百段階段 ~文豪が誘うノスタルジックの世界~』として、昭和初期の幻想的な文化財空間を舞台に、近代文学史に花開いた文学作品の物語世界を三次元でご覧いただける没入型の展示を展開。

企画展『大正ロマン×百段階段~文豪が誘うノスタルジックの世界~』

企画展イメージ

旧目黒雅叙園東京の3号館として昭和十年(1935年)に建てられたレトロ建築を舞台に、文豪たちが紡いだ名作を、現代の人気イラストレーターが独自の感性で表現。

開催期間:2023年3月25日(土)~6月11日(日)

時間: 11:00~18:00(最終入館17:30)
会場: ホテル内 東京都指定有形文化財「百段階段」
URL:  https://www.hotelgajoen-tokyo.com/100event/roman2023

※ 東京都指定有形文化財 百段階段とは
企画展会場内はフォトスポットも充実

着物のレンタルと着付、お食事、東京都指定有形文化財「百段階段」の企画展『大正ロマン×百段階段~文豪が誘うノスタルジックの世界~』入場券がセットになった「大正ロマン×着物ランチ」も販売中です。

ランチ または アフタヌーンティーを選択できる

古き良き時代を思わせる、アンティーク柄の着物のコーディネートを中心に、約100種類の着物や帯からお好きな組み合わせをお選びいただける「大正ロマン×着物ランチ」では、着物、帯、草履、バックのレンタルとプロによる着付をセットでご用意し、“ハイカラ”な装いで、レストランでのお食事と文化財での企画展をお愉しみいただけるとのこと。

オプションの袴で大正ロマンの世界観に没入

大正時代の“べっぴんさん”になりきって、華やかなりし時代を体感してみてくださいね。