[佐藤ひと美のスイーツレポート316]もったいないが極上スイーツに!新ブランド「GREEN DOLCE」が「かくれフードロス」に挑む

年間1,760万トンもの食品廃棄物(※1)が問題視される中、その陰に隠れた「かくれフードロス」に光を当て、なんと極上スイーツへと生まれ変わらせる新ブランド「GREEN DOLCE」が誕生しました!5月22日(木)10:00より、待望の第一弾となる焼き菓子セットの予約販売が開始され、スイーツ界に新たな風を吹き込んでいます。

2025年5月某日、都内で開催された新ブランド「GREEN DOLCE」の発表会は、単なる新商品発表に留まらず、日本のフードロス問題、特にこれまで見過ごされてきた「かくれフードロス」に光を当てる画期的なイベントとなりました。

ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシが立ち上げたこの新ブランドは、これまで見過ごされてきた『かくれフードロス』を《新素材》と捉え、どのようにして「もったいない」を「極上」に変えるのか、その全貌が明らかになりました。

クラダシが挑む「かくれフードロス」の定義

発表会では、株式会社クラダシ ブランド事業部の吉岡氏が登壇し、クラダシが掲げる「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」「日本で最もフードロスを削減する会社」というミッションとビジョンを改めて強調しました。

同社が運営するECサイト「Kuradashi」が、賞味期限が迫った商品やパッケージ変更品などを販売することで、年間472万トンに及ぶフードロス削減に貢献してきたことは広く知られています。

しかし、吉岡氏は、メーカーから寄せられる「商品を作る過程でロスが発生する」という声に焦点を当てました。これが「かくれフードロス」の正体です。

例えば、規格外野菜、アジフライ製造で廃棄される魚の頭や骨、お茶の茎や葉など、まだ食べられるにもかかわらず、製造過程でやむなく廃棄されてしまう素材のこと。これらは、一般的な「フードロス」の統計には含まれておらず、年間1,760万トンにものぼる「食品由来の廃棄物」の中に埋もれていました。

クラダシは、こうした『かくれフードロス』を《新素材》と再定義し、その価値を最大限に引き出すべく「THE GREEN TABLE」プロジェクトを立ち上げました。

そして、その第一弾として生まれたのが、スイーツブランド「GREEN DOLCE」なのです。

「GREEN DOLCE」とは?—「ひとくちで、心をほどくスイーツを」

「GREEN DOLCE」は、「ひとくちで、心をほどくスイーツを」というメッセージを掲げ、香りと彩り、そして口どけで感動の体験を届けることを目指しています。その根底にあるのは、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう「かくれフードロス」に新たな価値を見出し、極上のスイーツへと昇華させるという、サステナブルなものづくりの精神です。

今回の第一弾では、日本のスイーツ界を牽引する二人のトップシェフが「GREEN DOLCE」の理念に共鳴し、その腕を振るっています。

  

一流パティシエたちが「かくれフードロス」をアートに変える

「GREEN DOLCE」の最大の特徴は、この「かくれフードロス」素材を、世界大会などで受賞経験を持つ一流パティシエたちの手によって、唯一無二のスイーツへと昇華させている点です。

発表会には、今回商品開発に携わった2名のシェフが登壇し、その熱い思いを語りました。

田中俊大シェフ(日本茶とデザートコースの専門店「VERT」)

神楽坂に「VERT」を構える田中俊大シェフは、都内の有名パティスリーで経験を積んだ後、独立。今回は、日本酒の製造過程で出る酒粕や、コーヒー抽出後のコーヒーパウダーといった未利用素材を活用したスイーツを開発しました。

田中シェフは、「『未利用食材』というワード自体も初めて知って、どういう食材なのかに非常に興味がありました」と語り、自身の店でも生のフルーツの廃棄をなくすことに力を入れていた中で、この取り組みへの共感を表明。

特にこだわったのは、素材のポテンシャルを最大限に引き出すこと。

「酒粕と抹茶のフィナンシェ」では、抹茶を際立たせるのではなく、酒粕の風味をより感じさせるために抹茶を組み合わせたといいます。また、干し芋製造で使われず廃棄される「さつまいもペースト」の美味しさに着目し、その風味を生かしたアメリカンクッキーも開発。「まだまだすごいポテンシャルを持っている食材が多く、自分ができること、その食材を生かすための焼き菓子を作りました」と、自信を覗かせました。

松田みどりシェフ(菓子ブランド「amazoonia」)

自身のブランド「amazoonia」を主催する松田みどりシェフは、国内外のコンクールでの受賞歴を持つ実力派。

今回は、ワインの製造過程で出る「ワインの澱(おり)」や、ごま油を搾った後の「ごまおから」といった、ユニークな未利用素材でスイーツを開発しました。

松田シェフは、「普段お菓子を作る上で使っている材料が粉末加工されているものが多く、そこに行くまでの過程で、またさらに食品のロスがあるということを今回初めて知り、こんなにたくさんロスと言われているものがあるのかと驚きました」と率直な感想を述べました。

ワインの澱やごまおからは香りが弱かったり、時に癖があったりする素材。そのマスキングと特徴出しに苦労したとしながらも、「普段菓子作りをするにあたって大事にしていることが、素材の味をストレートに感じられるような菓子を作ることを大切にしている」と語り、今回もその哲学を貫いたことを明かしました。新しい素材との出会いに面白さを感じながら、美味しいお菓子に昇華させることに情熱を注いだことが伺えます。

「かくれフードロス」の芸術品「GREEN DOLCE」

今回発表された焼き菓子セットは、それぞれのシェフの個性が光る2種類。廃棄されるはずだった素材が、彼らの手によってどのような極上スイーツへと生まれ変わったのでしょうか。

GREEN DOLCE 第一弾「焼き菓子セット」の詳細

「焼き菓子セット(VERTコラボ)」5個入

田中俊大シェフが手掛けるのは、日本の伝統と新たな素材の融合を感じさせるセットです。

 ♢酒粕と抹茶のフィナンシェ(3個)

日本酒の製造過程で出る酒粕の芳醇な香りと、抹茶の奥深い風味が絶妙に調和。しっとりとした食感の中に、和の趣が感じられます。

 ♢さつまいもとコーヒーのアメリカンクッキー(2個)

干し芋製造時に出るさつまいもペーストと、抽出後のコーヒー粉末を使用。さつまいもの優しい甘さとコーヒーのほろ苦さが、どこか懐かしくも新しい味わいを生み出します。

  

「焼き菓子セット(amazooniaコラボ)」5個入

松田みどりシェフが提案するのは、独創性と驚きに満ちたセットです。

 ♢ワインの澱といちじくのフィナンシェ(2個)

ワインの熟成過程で生じる**ワインの澱(おり)**とセミドライいちじくを組み合わせた、唯一無二のフィナンシェ。ワインのフルーティーな香りが、口いっぱいに広がります。

 ♢ごまおからのフィナンシェ(1個)

ごま油を絞った後のごまおからをたっぷりと使用。香ばしいごまの風味と、しっとりとした生地のハーモニーが楽しめます。

 ♢ごまとコーヒーのフロランタン(2個)

ごまおからコーヒー粉末を使ったヌガーが特徴。ザクっとした香ばしい食感と、ごまとコーヒーの豊かな風味が後を引く一品。

いずれのセットも5個入りで、価格は各3,240円(税込)。

2025年5月22日(木)10:00より、GREEN DOLCE公式サイト(https://greendolce.kuradashi.jp/)にて数量限定で予約販売が開始されています。

  

素材提供事業者の声:新たな価値創造への期待

今回のプロジェクトは、パティシエだけでなく、未利用素材を提供する事業者との連携によって実現しました。発表会には、酒粕を提供した京都の老舗酒造、玉乃光酒造株式会社の山川氏も登壇しました。

山川氏は、「酒粕は日本酒の副産物としてどうしても出てきてしまうもので、弊社の場合、年間あたり100トン以上、130トンほどの酒粕が出てきてしまう」と、その量の多さを説明。しかし、「需要は30トンいけばいい方で、100トンぐらいはほとんど廃棄同然のような扱いをされてしまっているのが現状です」と、酒粕の有効活用が大きな課題であったことを明かしました。

その上で、「弊社の酒粕はすごく自信があるものなので、もっと有効活用したいと思っていたところで、、クラダシさんのフードロス、かくれフードロスの活用というところにすごい共感を覚え、今回ご協力させていただくことになりました」と、喜びと期待を語りました。長年、廃棄されてきた素材が、一流パティシエの創造性によって新たな価値を得ることに、事業者側も大きな希望を抱いていることが伝わってきました。

「GREEN DOLCE」が描く未来のスイーツ

注目したいのは、「GREEN DOLCE」が「かくれフードロス」を単なる再利用ではなく、「新素材」として積極的に捉え、その価値を最大限に引き出している点です。

一流のパティシエたちが、これらの素材の特性を理解し、その魅力を最大限に引き出すレシピを考案することで、従来のスイーツでは味わえなかったような、深みと奥行きのある味わいを実現しています。

例えば、酒粕が持つ繊細な香りや、ワインの澱がもたらす複雑な風味は、まさにプロの技術と感性があってこそ生かされるもの。

ごまおからやさつまいもペースト、コーヒー粉末なども、それぞれの素材が持つポテンシャルを最大限に引き出すことで、驚くほどの美味しさを生み出しています。これは、単なる「エコ」に留まらない、食の新たな可能性を提示する試みであり、スイーツ業界に大きな影響を与えることでしょう。

発表会のご試食タイムでは、参加者それぞれがスイーツの新しい魅力と、未利用素材の可能性を実感している様子でした。

廃棄されるはずだった素材に新たな命を吹き込み、美味しいスイーツとして提供することで、環境問題への貢献と、食の新たな価値を創造する「GREEN DOLCE」。

このブランドの今後の展開に、スイーツ業界のみならず、社会全体が大きな期待を寄せています。

「GREEN DOLCE」のスイーツは、単に美味しいだけでなく、私たちが日々の生活の中で意識することの少ない「かくれフードロス」という社会課題に、美味しく楽しく貢献できるという大きな意義を持っています。ぜひこの機会に、未来を変える「ひとくち」を体験してみてはいかがでしょうか。