
今年も心躍る桃の季節がやってきました!
老舗果物専門店「新宿高野」と、そのデザートを提供する「タカノフルーツパーラー」が、福島県とタッグを組んだ恒例の「ふくしまの桃フェア」を今年も開催します。
今年は創業140周年を迎える新宿高野が、選び抜かれた福島県産桃を惜しみなく使った、まさに“至高のパフェ”を期間限定で提供。単なるデザートに留まらない、福島の桃に込められた熱い想いと、それを最大限に引き出す職人の技が織りなす感動の物語を深掘りします。
「くだもの王国ふくしま」が育む、桃の奇跡

福島県は、実は桃の収穫量全国2位を誇る「くだもの王国」。
特に県北地域は盆地性の気候で、昼夜の寒暖差が大きく日照時間が長いため、桃の生育に最適な環境が整っています。果実に袋をかけない「無袋栽培」によって、太陽の光をたっぷり浴びた桃は、色づきが良く、格別の甘さを蓄えます。

福島県には多種多様な桃の品種が育成・栽培されており、7月上旬の「はつひめ」に始まり、9月下旬、品種によっては10月頃まで続く「品種リレー」で、長く美味しい桃を楽しめるのも大きな魅力です。
逆境を乗り越えた、福島県民の誇り「あかつき」の物語
今回のフェアの主役となる主力品種「あかつき」には、福島県民の誇りとも言える特別な物語があります。
全国で最も多く生産されている桃であり、その半分以上が福島県産である「あかつき」は、かつては小玉止まりで試験栽培が中止されかけたという歴史を持ちます。しかし、福島県の農家の方々の並々ならぬ努力と、長年の試行錯誤の末に大玉化に成功。昭和54年(1979年)にようやく品種登録されたという、まさに奇跡の桃なのです。
「あかつき」は、緻密な肉質、あふれる果汁、そして何よりもその上品で濃厚な甘さが特徴です。農家さんが手間暇をかけて無袋栽培で育て、太陽の恵みを存分に浴びることで、極上の味わいが生まれます。30年連続で皇室に献上されているという事実も、「あかつき」の品質の高さと美味しさを物語っています。
「あかつき」の旧系統名「れ-13」にちなんで、7月13日、7月26日、8月8日の3日間が「ふくしま桃の日」に制定されており、今回のフェアもこの記念日に合わせて開催されます。
菱沼農園:桃に人生を捧げる、匠の想い

福島から駆けつけてくださった株式会社菱沼農園の代表・菱沼健一氏から、生産者の視点でお話を伺いました。
東京ドーム約2個半にも及ぶ広大な敷地で、桃を中心に約20品種もの果物を栽培されているという菱沼農園。その中でも「あかつき」は全体の約4分の1の面積を占め、年間約9万キロもの量を生産しているそうです。
菱沼氏は、福島県が独自に育成したオリジナル品種「はつひめ」について説明してくださいました。
今回試食会で提供されたのも、この「はつひめ」。開花から約80日で収穫を迎え、今年は特に天候に恵まれ、日照時間が長く雨が少なかったため、非常に美味しい桃ができたとのこと。
驚くべきは、収穫間近のわずか12日間で急激に膨らみ、色づくという桃の特徴。この期間の気温や水分が糖度を左右するため、生産者の方々は日々の天候に細心の注意を払い、愛情を込めて育てています。菱沼様は、試食会で提供された「はつひめ」が、農園で収穫された時よりも新宿高野でさらに色が良くなっていることに感動されていました。「これはプロの仕事だ」という言葉に、新宿高野の果物にかける情熱と管理技術の高さが垣間見えました。
新宿高野と福島県、7年目の固い絆

新宿高野と福島県は、今年で7回目となる「ふくしまの桃フェア」を通じて、長きにわたり強固なパートナーシップを築いてきました。これは、単なるビジネス関係にとどまらず、震災後の風評被害に苦しんだ福島県産桃への支援という側面も持ち合わせています。
福島県農林水産部農産物流通課課長の山田清貴氏は、震災後14年が経過した現在でも、福島県産桃の価格が全国平均と比べて低い水準にあることを指摘し、県としてはこれを風評被害の一つと捉え、適正な価格での取引がなされるよう訴え続けていると語りました。

これに対し、株式会社菱沼農園の代表・菱沼健一氏は、震災当初は売上が半減したものの、積極的な販売活動によって「V字回復」を遂げた経験を共有し、「風評に負けない」という生産者の強い意志を示しました。
品質と努力で真っ向から立ち向かう生産者の姿は、まさに「ふくしまプライド。」を体現しています。
適正な評価と消費者の理解へ
現在、福島県産桃の安全性は科学的に担保されており、その美味しさは全国でもトップクラスと認められています。しかし、過去の風評が形を変えて「価格差」として残っている現状は、依然として大きな課題です。
今回の「ふくしまの桃フェア」のように、生産者の皆様の努力や福島の桃の魅力を直接伝える場が増えることは、消費者の理解を深め、適正な評価へと繋がる重要な一歩となるでしょう。
福島の桃が持つ素晴らしい品質と、それに込められた生産者の皆様の情熱を、今後も積極的に発信し続けていきたいと思います。
期間限定!”桃への執念”が生み出す「福島県産桃のパフェ」で夏の贅沢を

今回のフェアで登場する「福島県産桃のパフェ」(税込2,090円)は、「ふくしま桃の日」にちなんで、7月26日(土)にはタカノフルーツパーラーの首都圏7店舗で、そして8月8日(金)には新宿本店限定で提供されます。
このパフェは、株式会社タカノフルーツパーラーのパーラー営業部顧問 チーフ フルーツクチュリエ 森山登美男氏の桃に対する深い愛情と、長年培われた職人の技が凝縮されています。

その時期に最も美味しい福島県産の桃を贅沢に使用し、ジューシーな桃の果肉はもちろんのこと、桃の風味を凝縮したジュース、シャリシャリとした食感のグラニテ、そしてなめらかなソフトクリームが層になり、一口食べるごとに桃の豊かな香りと甘みが口いっぱいに広がります。シンプルながらも計算し尽くされた構成で、桃本来の美味しさを最後まで堪能できる。
森山氏によると、タカノフルーツパーラーでは桃の時期、1日に400本もの桃パフェが販売され、コロナ禍以前は600本に達することもあったといいます。年間で使用する桃の量は、なんとイチゴを上回るほど!しかし、桃は非常にデリケートな果物であり、森山氏は「手で触った瞬間に剥けるか剥けないかがわかる」と、長年の経験で培われた「食べ頃」を見極める卓越した感覚について語りました。
桃の洗い方から追熟まで、タカノフルーツパーラー独自のこだわり

タカノフルーツパーラー独自のこだわりは、洗浄方法にも現れています。
森山チーフは、一般家庭ではあまり知られていないプロならではの技も惜しみなく披露してくださいました。
・桃の洗い方:一般的な手で擦る洗い方ではなく、シンクに水を溜めて桃を入れ、水を少し流し続けることで、産毛だけが綺麗に取れるという独自の洗浄法を20年以上前から実践しているそうです。これにより、効率的に大量の桃を処理できるとのこと。
・追熟と食べ頃の見極め:「お尻を触る」という独特の方法で、桃の弾力から食べ頃を判断すると語られました。一般の人が触ると「まだ早い」と言われるような状態でも、プロは完璧な食べ頃を見極めているそうです。森山チーフは「うちに来てくれれば毎日100個以上触るから、1年で新入社員も覚える」と、その道の厳しさと奥深さを感じさせました
「変色防止」と「甘さの均一化」の秘訣
桃パフェを提供する上で最も課題となるのが、カットした桃の変色です。タカノフルーツパーラーでは、アスコルビン酸ナトリウム(昔は医薬品だったが今は一般でも手に入る)を使用しているとのこと。さらに、ただ変色を防ぐだけでなく、桃の糖度に合わせてシロップの甘さを調整することで、甘くない桃でもシロップが吸収され、パフェ全体の甘さを均一に保つという徹底したこだわりも明かされました。
ただし、剥いた桃の賞味期限は最大3日。
種まわりから出る酸によって風味が落ちてしまうため、日々大量の桃を剥いては使い切るという、まさに時間との戦いであると語られました。桃の時期は、マンゴーよりも大変で、スタッフも「嫌がる」ほど手間がかかるそうです。生菓子の場合は特に変色しやすいため、朝作っても夕方には色が変わり、販売が難しいという苦労話も伺いました。
パフェのこだわり:「グラニテ」と「ゼリー」が織りなすハーモニー

今回の「福島県産桃のパフェ」には、桃のジュースを凝縮し、皮を入れて色味を出すというこだわりのグラニテが使われています。森山チーフは、このグラニテが「すごい美味しい」と自画自賛されるほど自信作であることを伺い知ることができました。
さらに、タカノフルーツパーラーでは、フルーツに合うリキュール「クアントロー」やシャンパンを使った独自のゼリーも開発しているとのこと。これは「オイルゼリー」と呼ばれ、オイルの中にゼリー液を落とすことで丸い粒状に固めるという、まさに芸術的な製法で作られています。今回のパフェには乗りませんが、他のパフェには使われることもあるそうです。
「桃とカスタードはあまり使わない」という言葉からは、桃本来の風味を最大限に活かすという、森山チーフの確固たる哲学が感じられました。
桃パフェは「世界で一番美味しい」
「福島県産桃のパフェ」は、シンプルながらも計算し尽くされた構成で、桃本来の瑞々しさと上品な甘さを最大限に引き出し、一口ごとに桃の豊かな香りが口いっぱいに広がります。

試食した記者に対し、森山チーフは「美味しいですか?」と尋ね、中には一人でパフェを3本食べる女性客もいると笑顔で語られました。そして最後に、「多分、世界で一番美味しい」と、ご自身の桃パフェに対する絶対的な自信と誇りを表明されました。
森山チーフの言葉の端々から感じられる桃への愛情と、長年培われた技術、そして最高の状態で提供したいという情熱が、タカノフルーツパーラーのパフェを唯一無二の存在にしているのだと改めて実感しました。
今年の夏は、タカノフルーツパーラーで「ふくしまの桃」を味わい尽くそう!
さらに、7月26日(土)から8月8日(金)の期間は、新宿本店の「タカノフルーツティアラ」でも福島県産桃のカットフルーツが楽しめます。
福島県の生産者が丹精込めて育てた桃と、創業140周年を迎える新宿高野の職人の技が融合したこの特別なフェアは、単なるデザート体験を超え、日本の農業の力強さと、食への深いこだわりを感じさせてくれます。
今年の夏は、福島県民の誇りと、長い歴史を持つ新宿高野の情熱が詰まった「ふくしまの桃」を、ぜひタカノフルーツパーラーでご堪能ください。一口食べれば、きっとそのみずみずしさと上品な甘さに魅了されること間違いなし!
皆様もこの機会に、心ゆくまで福島の桃の美味しさを体験し、その感動を共有してみてはいかがでしょうか。