[佐藤ひと美のスイーツレポート373]新緑、薫る。抹茶・日本茶・和素材をパティシエの感性で編み出す、心奪われる「至高の和スイーツ」選

2026年、新緑の「解体」と「再構築」

新緑が薫るこの季節。日本のパティスリー界において、抹茶や日本茶はもはや「彩り」や「和風のスパイス」という安易な役割を終えた。 2026年、私たちが目撃しているのは、「茶葉のテロワール(産地特性)」を分子レベルで解剖し、洋菓子の骨格であるカカオや乳脂肪と緻密に組み上げる、極めて論理的な再構築の動きである。

今季のキーワードは、「シングルオリジンの深化」「油脂のクリエイティブな制御」だ。

抹茶の持つ特有の収斂味(しゅうれんみ)を、バターの融点でどう逃がすか。 焙煎された茶のメイラード香を、カカオの発酵感といかに同期させるか。

単なる「和と洋の融合」という言葉では片付けられない。それは、伝統的な素材がパティシエの感性というフィルターを通じ、全く新しい「食の言語」へと翻訳される瞬間の連続だ。 名手たちが導き出した、素材対比の最適解。その官能的なまでの構成美に、今、触れる。

  

1. JWマリオット・ホテル東京

【野島シェフのロジック:素材を信じ、脇役を配する。日本人の味覚文化を再構築し、「マインドフル」な哲学が共鳴する至高の体験】

2025年10月、高層階に誕生した「JWマリオット・ホテル東京」。日本初上陸のブランドとして、その根底に流れるのは、今この瞬間に意識を向け、心身の調和を整える「マインドフルネス」の哲学です。

開業後、初めて迎える新緑の季節。30階「JWラウンジ」で供されるのは、抹茶という精神性の高い素材を通じ、ブランドの哲学がより深化を遂げた体験です。

『JW抹茶アフタヌーンティー』

価格:お一人様 8,500円(税・サービス料込)  〜

提供期間:~2026年5月31日(日) 

提供時間: 12:00~17:00 

ご予約・お問い合わせ: JWラウンジ オフィシャルサイト( https://www.jwlounge-jwbar-lecres.jwmarriotthoteltokyo.com/our-menus

内容: 

〈バーテンダーオリジナル ウェルカムモクテル〉白翠(はくすい):抹茶、柚子、オーツミルクのモクテル

〈スイーツ〉抹茶とミルクチョコレートのムース、黒ゴマのプディング 抹茶ソース、抹茶のタルト、抹茶とマスカルポーネのパフェ、抹茶のマドレーヌ 

〈セイボリー〉抹茶でコーティングしたフォアグラガナッシュ チェリー、抹茶で炊いた真鯛のブランダード ブイヤベースソース、ズワイガニとメロンの抹茶ロール、抹茶の香るポークのパイサンド 

〈自家製スコーン〉プレーン、抹茶のスコーン(クロテッドクリーム、自家製あんこ、オレンジマーマレード を添えて)

〈お飲み物〉上久保茶園 日本茶セレクション、紅茶、コーヒー等、厳選されたドリンクをフリーフローで

今回のプロモーションの核となるのは、奈良の茶農園「上久保茶園」が厳選する上質な抹茶。野島シェフは、この抹茶が持つ「火を入れても変色や苦味の増加が少なく、芯の通った素材自体の強さ」を信頼し、過度な加工を排して素材のポテンシャルを解き放つ、論理的かつ本質的な構成を組み立てました。

■技術的視点:和食の知恵を融合させた「質感の設計」 

注目すべきは、ブランドが大切にする「調和」を、脇を固める素材で具現化している点です。象徴的なのは、焼き立てのスコーンに添えられた「自家製あんこ」。

野島シェフは、日本料理の料理長の協力を得て自家製あんこを手作り。

「理想の一品には、主役を引き立てる脇役の存在が不可欠」と語るシェフ。

本物のマスカルポーネが持つ軽やかなコクや、黒ゴマのプディングの香ばしさが、抹茶という主役に奥行きと立体感を与えています。

和素材のポテンシャルを洋の技法で引き出すこの緻密なマリアージュこそが、日本人の味覚文化に根ざした「真の心地よさ」を創出しています。

野島シェフにとって、スイーツの提供は単なる味の提示ではありません。居心地の良さや食文化の受け入れられ方を考慮し、若年層からスイーツ通まで、個々の好みに委ねる余白を残すこと。

その「体験の質」そのものが、ゲストをマインドフルな状態へと誘うのです。

「和素材を洋菓子に寄せる」のではなく、「素材を信じ、その魅力を最大化させるための最適解を編み出す」。天井まで続くガラス窓の向こうに広がる初夏の絶景と共に、JWマリオット・ホテル東京が贈る「今、ここ」にある幸福に、心ゆくまで身を委ねてみてはいかがでしょうか。

「JWマリオット・ホテル東京」 

住所:東京都港区高輪2丁目21-2 

HP:www.jwmarriotthoteltokyo.com

  

2. Minimal The Specialty 麻布台ヒルズ in Minimal – Bean to Bar Chocolate –

【カカオと和素材の再構築:タンニンと発酵が生み出す「第三のシナジー」】

世界中のカカオ農園へ直接足を運び、良質なカカオ豆から職人が一つ一つ手仕事でチョコレートを製造する、日本発のスペシャルティチョコレート専門店「Minimal – Bean to Bar Chocolate – (ミニマル)」( https://mini-mal.tokyo/ )。そのなかでも、ライブ感溢れるカウンターでカカオの未知なる体験を提供する「Minimal The Specialty 麻布台ヒルズ」は、ブランドの革新性を象徴する場所です。

「丁寧にシンプルに、最高の素材を活かし香りを最大限に引き出す」という引き算の思想が生み出すのは、単なる菓子の域を超えた、カカオという植物が持つ無限の表情です。

『Minimal チョコレートアフタヌーンティー vol.10』

価格: 7,900円(税込) ※ティー、もしくはコーヒー付き

提供期間: ~2026年6月30日(火)予定

場所: Minimal The Specialty 麻布台ヒルズ(東京都港区虎ノ門五丁目8番1号 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 2F)

ご予約: TableCheck 予約ページ( https://www.tablecheck.com/shops/minimal-azabudai/reserve

内容:

〈スペシャルデザート〉 手包みフルーツ大福(3種のカカオあん、ほうじ茶チョコレートアイス、求肥、季節のフルーツ)

〈1段目〉 桜あん(4月)/バラあん(5・6月)のモンブラン、チョコレート最中、グリオット(4月)/ライチ(5・6月)のヴェリーヌ

〈2段目〉 抹茶のムースケーキ、甘夏の生ガトーショコラ、ガトーショコラ ソフト -5種の甘納豆-

〈3段目〉 カカオ焼売 by O2、初摘み海苔と豆腐のカカオニブサラダ、白みそとチーズのカカオニブトースト

〈プレート〉 6種のチョコレート食べ比べ

  

■技術的視点:カカオ豆の産地特性を「和の調味料」として捉える 

今回、麻布台ヒルズ店が提示するのは、単なる和風チョコの域を遥かに超えた、「カカオと和素材の徹底的な相関研究」の成果です。特筆すべきは、チョコレートを単なる「甘味」としてではなく、味噌や海苔、日本茶と同じ「発酵とローストの産物」として定義し直している点にあります。

ここでは、白みそが持つ発酵由来の複雑な旨味に対し、カカオ由来のフローラルなフレーバーを感じるベネズエラ産カカオ(SAVORY)を同期させています。白みその甘じょっぱさと、ベネズエラ産カカオが持つ華やかで軽やかな酸味、そして「CHEESE STAND」のナチュラルチーズが一体となることで、発酵食品同士が共鳴する多層的な奥行きを創出。さらに香ばしいカカオニブをトッピングすることで、テクスチャーにリズムを与え、素材の本質を突き詰めるMinimalならではの鋭い感性を表現しています。

  

■体験の設計:可変的なテクスチャーが生む「パーソナルな和」 

本アフタヌーンティーの象徴であるスペシャルデザート「手包みフルーツ大福」には、職人チームによる「口内調理」を見越した緻密な計算が隠されています。

ここでは、Minimalが誇るシングルオリジンカカオの個性を「三種の異なるアプローチのあん」へと昇華。ゲストが自ら求肥(ぎゅうひ)で包むというプロセスは、単なる演出ではなく、素材の重なりや温度変化をダイレクトに触覚と味覚でコントロールさせる、極めて知的な体験です。

《3種のカカオ・チョコレートあん》

・「NUTTY(ガーナ産)」× つぶあん: ガーナ産カカオが持つローストナッツのような芳醇な風味を、小豆の力強い旨味と同期。あえて粗挽きのカカオ豆とつぶあんを合わせることで、噛み締めるたびに「油脂のコク」と「豆の食感」が弾ける、力強いテクスチャーの対比を設計しています。

・「FRUITY(タンザニア産)」× 白あん: タンザニア産カカオ特有のベリーを思わせる鮮やかな酸味を、粒子が細かく上品な白あんと乳化。こちらは一転して、シルキーな口溶けを目指した構成です。白あんの控えめな甘さがカカオのフルーティな輪郭を浮き彫りにさせ、鼻腔を抜けるアロマを最大化しています。

・「カカオパルプあん」: 希少なカカオの果肉(パルプ)が持つライチのようなトロピカルな酸味を、白あんと共に煮詰め、その風味を極限まで濃縮。チョコレート(種子)ではなく、カカオ(果実)そのものの生命力を感じさせるこのあんは、既存の和菓子の概念を鮮やかに塗り替えます。

これらに、芳醇な「ほうじ茶チョコレートアイス」の冷感や、瑞々しい季節のフルーツを組み合わせる。 求肥の「温かみのある弾力」の中に、冷たいアイスや酸味のあるあん、そして果実の水分を閉じ込める。ゲストが自身の指先でその包み具合を調整する瞬間に、口内での「溶け出しの温度」と「フレーバーの解放速度」が決定されるのです。

「Made in Japan」の誇りを持ってカカオと向き合ってきた職人集団が、伝統的な和素材をどう解体し、チョコレートという自由な言語で再構築したのか。麻布台ヒルズという最先端の地で、カカオと和素材が織りなす「未踏の奥行き」をぜひ体感してください。

  

「Minimal The Specialty 麻布台ヒルズ」

住所:東京都港区虎ノ門五丁目8番1号 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 2F

HP:https://mini-mal.tokyo

  

3. ホテル椿山荘東京

【伝統と進化:宇治茶の「青い香り」と「旨味」を解き放つ油脂のコントラスト】

南北朝時代より野生の椿が咲き誇る景勝地として「つばきやま」の名で親しまれてきたこの地。その歴史が大きく動いたのは明治11年のことでした。明治の元勲・山縣有朋公が私財を投じてこの地を譲り受け、「椿山荘」と命名。自らの理想を投影した自然主義庭園を築き、時の明治天皇をはじめとする国内外の賓客を、その美しき緑でもてなしてきました。

1952年に開業した「ホテル椿山荘東京」は、都心にありながら森のような庭園に佇むホテルです。庭園のシンボルであり、国の登録有形文化財でもある三重塔「圓通閣」は、2025年に移築100周年を迎えました。国内最大級の霧の演出「東京雲海」が織りなす幻想的な風景は、2025年度グッドデザイン賞を受賞するなど、世界的な評価を確立しています。

それから百余年。

幾多の歳月を経てなお、この地に息づく山縣公の「自然への畏敬」の念。今回、私たちが訪れたのは、伝統あるロビーラウンジ「ル・ジャルダン」が贈る、1860年創業の老舗「辻利兵衛本店」との盤石なコラボレーション。11年目という節目に名匠が挑んだのは、宇治茶の多層的な魅力を「チョコレートの油脂分」によって期間ごとに描き分けるという、極めて戦略的なアプローチでした。

『宇治茶アフタヌーンティー with 辻利兵衛本店』

価格: WEB予約 8,000円 / 電話予約 9,000円(税込・サ別)

提供期間: 〜2026年6月30日(火)

【第一弾】 4/13〜5/14:宇治茶 × ミルクチョコレート

【第二弾】 5/15〜6/30:宇治茶 × ホワイトチョコレート

提供時間: 12:00~17:30(2時間制)

場所: ロビーラウンジ「ル・ジャルダン」

内容:

〈アミューズ〉 新玉葱のポタージュ プティポワピュレ(抹茶ソースを添えて)

〈スイーツ〉 抹茶とチョコのムース、ほうじ茶のケーキ、抹茶のテリーヌ、チョコレートバー

〈スコーン〉 プレーン、抹茶スコーン(あんこ、チョコ入りクロテッドクリーム、通常クロテッドクリーム)

〈セイボリー〉 鱧と真鯛リエットのクロスティーニ、パストラミ・海老・空豆のサンドウィッチ、フォアグラと鶏むね肉の苔玉、ほうじ茶のロワイヤル 筍と帆立

URL: https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/page/tsujirihei_collaboration2026/ 

  

■技術的視点:「油脂による香りの調律」——ミルクとホワイトが描き出す、宇治茶の二面性

今季、ホテル椿山荘東京が提示する最大の仕掛けは、提供期間によってメインとなるチョコレートの属性を切り替え、「お茶のどの成分を主役に据えるか」を自在に操る、極めて知的な調律の妙にあります。

第一弾(取材時)では、「宇治茶 × ミルクチョコレート」という、重厚かつクラシックなマリアージュを披露。

ここでは、ミルクチョコレートが持つカカオ由来の香ばしさと適度な酸味が、宇治茶の持つフレッシュな「青い香り」を鮮やかに浮き彫りにさせます。

特に「抹茶とチョコのムース」では、カカオの油脂分がお茶の粒子を包み込み、口内温度で溶け出す瞬間に、摘みたての茶葉のような清涼感が鼻腔を突き抜ける。甘味を抑え、茶葉本来の「エッジ」を立たせる構成は、まさに新緑の息吹をそのまま一皿に閉じ込めたような、凛とした美しさを放っています。

対して、5月15日からの第二弾は「宇治茶 × ホワイトチョコレート」へと鮮やかに転換。

ここではホワイトチョコレートの乳固形分が持つ「甘やかな包容力」を最大限に利用しています。第一弾で放たれた「香り」に対し、第二弾でフォーカスされるのは、お茶の「深淵なる旨味と、気品ある苦味」。

ホワイトチョコのまろやかな脂質がお茶の強い個性を優しくコーティングし、角を丸め、喉越しに長い余韻を残す設計。初夏の陽光にふさわしい、明るく軽やかなテクスチャーへと昇華させる名門の戦略は、同じ茶葉を使いながらも、全く異なる「情景」を見せる遊び心に溢れています。

これらは単なる素材の組み合わせではなく、「油脂の融点」と「お茶の抽出速度」を計算し尽くした、パティシエによる科学的なアプローチ。 

ビジュアルにおいても、ミルクチョコの深みあるブラウンから、ホワイトチョコの清らかな白へと移ろうグラデーションは、まるで新緑が深緑へと深まる季節の歩みそのもの。歴史ある庭園の風景が刻一刻と変化するように、スイーツもまた、時を経てその表情を変えていく。伝統に甘んじないホテル椿山荘東京の「進化」が、一滴の抹茶ソース、一口のムースの中に凝縮されています。

■セイボリーの技法:情景を写す「苔玉」の造形と、計算された「クレンジング」の妙

三段スタンドの下段、セイボリーのプレートにおいても、庭園の風景を食体験へと置換するガストロノミーの視点が鮮やかに息づいています。 

白眉は、庭園の緑をそのまま一皿に写し取ったような「フォアグラと鶏むね肉の苔玉」。なめらかなフォアグラと鶏むね肉の濃厚な動物性油脂を、抹茶を纏わせた衣の微細な苦味が包み込みます。この苦味は、重厚な余韻をあえて断ち切る「クレンジング」の役割を果たしており、口内をリセットさせることで次の一口への期待を高める、緻密な計算に基づいた設計です。

また、「ほうじ茶のロワイヤル」では、帆立と炙り筍を合わせ、庭園の池に浮かぶ蓮の葉をイメージ。ほうじ茶の焙煎香が、出汁の旨味と帆立の甘みを引き立てる、和洋の境界を曖昧にするような優雅なマリアージュを披露しています。

■伝統の再定義:30年不変のスコーンに宿る、現代的な「ペアリングの妙」

中段を彩るのは、1990年代のアフタヌーンティー提供当初より、約30年変わらぬレシピで焼き上げられる「伝統のプレーンスコーン」。外側はサクッと、中はしっとりとした不動のクオリティに対し、今季は「チョコ入りクロテッドクリーム」という遊び心溢れるパートナーを用意しました。

抹茶本来の香りと奥深い渋みを贅沢に封じ込めた「抹茶スコーン」に、濃厚な自家製あんこと、カカオの風味が溶け合うチョコクロテッドクリームを重ねる。

それは、伝統という強固な土台の上に、現代的なペアリングのセンスを積み上げる、ホテル椿山荘東京ならではの「進化」の表現に他なりません。

百年の森に流れる静謐な時間と、東京雲海が紡ぎ出す幻想的な風景。それらすべてと調和するよう設計された一皿一皿が、訪れるゲストを『今、この瞬間』の美しさに没入させる至福へと誘います。

新緑から深緑へと移ろう季節のグラデーションを、ミルクチョコレートのコクとホワイトチョコレートの甘やかな包容力で描き分ける、名門の遊び心と矜持。

窓の外に広がる百年の森が放つ緑の雫と、手元のカップから立ち上る宇治茶の香り。それらが溶け合うとき、私たちは単にスイーツを味わうだけでなく、この地が紡いできた歴史と、パティシエが編み出した革新が交差する、唯一無二の物語の目撃者となるのです。

第一弾と第二弾、二つの季節が織りなす『宇治茶とカカオの共鳴』。 

霧に包まれる幻想的な庭園を背景に、あなたならどちらの物語から紐解き始めるでしょうか。日常を脱ぎ捨て、五感で慈しむ至高のティータイムが、ここホテル椿山荘東京で待っています。

  

ホテル椿山荘東京 

住所:東京都文京区関口 2-10-8 

HP: https://hotel-chinzanso-tokyo.jp

  

4. ロイヤルパークホテル

【ほうじ茶の香気:焙煎の「層」を重ね、メイラード反応を共鳴させる緻密な構築】

東京日本橋・人形町。江戸の粋が今なお息づくこの地で、1989年の開業以来「意気なおもてなし」を掲げる「ロイヤルパークホテル」。今季、1F ロビーラウンジ「フォンテーヌ」が贈るのは、大正三年創業の自家焙煎ほうじ茶専門店「森乃園」との、第7弾となるコラボレーションです。

100余年、毎日欠かさず焙煎の火を守り続ける老舗の「極上ほうじ茶」。その力強い香気を、ホテルのパティシエがいかにして洋菓子の文法へと翻訳したのか。そこには、香ばしさの正体である「メイラード反応」を多角的に増幅させる、プロフェッショナルな設計図が隠されていました。

『森乃園×ロイヤルパークホテル ほうじ茶アフタヌーンティー』

価格: お一人様 8,000円(税・サ込)

提供期間: ~2026年5月31日(日)

場所: ロイヤルパークホテル 1F ロビーラウンジ「フォンテーヌ」

URL:https://www.rph.co.jp/restaurants/plan/pvxjjv6yhf

内容:

〈上段:スイーツ〉 チョコレート細工菓子、ほうじ茶とココアのレイヤーケーキ、ほうじ茶のパンナコッタとジュレ 青梅のコンフィチュール

〈中段:スイーツ〉 ほうじ茶オレンジパウンドケーキ、りんごとほうじ茶のクランブルタルト、あんずのパートドフリュイの求肥包み、ほうじ茶モンブラン

〈下段:セイボリー〉 たこのほうじ茶煮、だし巻きたまごのサンドウィッチ、サーディンとポテトのコロッケ

〈別皿〉 野菜のポタージュ、ほうじ茶のアフォガード、フライドポテト(ほうじ茶塩)、スコーン2種(プレーン・ほうじ茶と甘納豆)

〈ドリンク〉 ほうじ茶、スミックティーの紅茶含む17種類のフリーオーダー

■分析:焙煎香の相乗効果——ほうじ茶と焼き菓子が織りなす「香りのレイヤー」

特筆すべきは、ほうじ茶本来のロースト香を、焼き菓子特有のキャラメル化(メイラード反応)と同調・増幅させている点です。 香ばしさという共通言語を持つ素材同士を衝突させるのではなく、「分子レベルでの香りの同期」を図ることで、単なる和洋折衷ではない、極めて論理的な構築美を見せています。

「ほうじ茶とココアのレイヤーケーキ」の共鳴

ココアとほうじ茶。一見異なる出自の素材ですが、共に焙煎(ロースト)の工程を経て生成される「ピラジン」などの香気成分を共有しています。このココアの持つビターな重厚感の底に、ほうじ茶の軽やかなアロマを差し込むことで、香りに「垂直的な厚み」が生まれます。一口噛み締めるごとに、スポンジのココア感が引き出し役となり、後追いでほうじ茶の芳醇な残り香が鼻腔へ抜けていく——。この時間差によるフレーバーリリースは、緻密な多層(レイヤー)設計の賜物と言えるでしょう。

「ほうじ茶クランブル」に見るテクスチャーと香気の固定

また、「りんごとほうじ茶のクランブルタルト」においては、クランブルを焼き上げる際の加熱により、茶葉の持つ焙煎香をクランブル内の油脂へと移し込む技法が光ります。ほうじ茶の繊細な香りは水分に触れると飛散しやすい性質を持ちますが、クランブルとして焼き固めることで香りを「油脂のバリア」の中に閉じ込め、タルト全体の土台となる香ばしさを強固にしています。りんごの酸味がその重厚なロースト香を軽やかに断ち切り、味わいのコントラストをより鮮明に際立たせています。

これらの構成は、単に「ほうじ茶味」にするのではなく、「ほうじ茶の香りをどう持続させ、どのタイミングで爆発させるか」という、パティシエの執念とも言える設計思想を物語っています。

■和の知恵をガストロノミーへ:茶の機能性を応用した「科学的セイボリー」

アフタヌーンティーの構成において、セイボリーは単なる「塩味の添え物」ではありません。今作では、ほうじ茶が持つ成分を調理技法そのものに組み込む、極めて機能的なアプローチが光ります。

「たこのほうじ茶煮」に見るタンニンの化学

 特筆すべきは「たこのほうじ茶煮」です。ほうじ茶に含まれるタンニンは、動物性タンパク質と結合し、加熱によって硬くなりがちな海鮮の繊維を驚くほどしなやかに解きほぐす性質を持ちます。この「茶煮」の技法をあえてフレンチの技法が息づくホテルキッチンで再現することで、たこの凝縮した旨味を閉じ込めつつ、とろけるような食感を実現。咀嚼するごとに、たこの甘みとほうじ茶の芳醇な残り香が一体となる、計算された「食感の設計」が見て取れます。

「日本橋の記憶」を呼び覚ます素材の再構築

また、「だし巻きたまごのサンドウィッチ」では、和食の定番である出汁の旨味に対し、アクセントとして「しば漬けマヨネーズ」を配しています。しば漬けの持つ乳酸発酵の酸味とポリポリとしたテクスチャーは、ほうじ茶のロースト香と抜群の相性を誇ります。 この組み合わせは、日本橋の老舗が守り抜いてきた「漬物」や「佃煮」といった食文化へのオマージュであり、かつて江戸の台所として栄えたこの街の記憶を、ホテルの洗練された感性で現代的なサンドウィッチへと昇華させています。

さらに、ほうじ茶の成分を塩に定着させた「ほうじ茶塩」で味わうフライドポテトなど、油脂と塩分が茶の香ばしさを最大化させるギミックも。単なる「ほうじ茶風味」に留まらず、茶の持つ「タンパク質の変性」「酸味との共鳴」「脂質のクレンジング」という三つの機能を巧みに使い分けることで、スイーツからセイボリーまで、一切の隙のない「ほうじ茶の円環」を完成させています。

別皿で供される「ほうじ茶のアフォガード」では、冷たいアイスに温かいほうじ茶を注ぐことで、一気に香りを気化(リリース)させるプレゼンテーションも。

日本橋の老舗が守り続ける「火入れ」の伝統と、ホテルのパティシエが編み出す「現代の技法」。新旧が交差するこの街ならではの、深い安らぎを伴う「香りの至福」に、心ゆくまで浸ってみてはいかがでしょうか。

「ロイヤルパークホテル」

住所: 東京都中央区日本橋蛎殻町2-1-1

HP:https://www.rph.co.jp

  

5. コンラッド東京

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』手前:スタンダードアフタヌーンティー / 奥:デラックスアフタヌーンティー

【ボタニカル・セオリー:抹茶とハーブの分子ガストロノミー的解釈】

汐留の再開発エリアにそびえ立ち、世界のセレブリティを魅了し続ける「コンラッド東京」。墨絵のような静謐さと、都会的なエッジが同居するロビーへ一歩足を踏み入れれば、日常のノイズがふっと消えていくのを感じます。

直通エレベーターで28階へ。扉が開いた瞬間、天井高8メートルの開放感とともに飛び込んでくるのは、浜離宮恩賜庭園の鮮烈な緑と、光を反射してきらめく東京湾のパノラマ。バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」のこの圧倒的なブルーとグリーンの借景こそが、今回のアフタヌーンティーの「最高の隠し味」です。

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』手前:スタンダードアフタヌーンティー / 奥:デラックスアフタヌーンティー

ここで体験できるのは、抹茶をただの和素材としてではなく、ひとつの「植物」として解剖した、極めてモダンでプレイフルなボタニカル・ガーデン。お茶の香りの分子構造を見つめ直し、ハーブやスパイスと共鳴させた、いわば「パティシエによる香りの実験場」。その深淵な世界を覗いてみましょう。

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』スタンダードアフタヌーンティー

価格:(全てお一人様価格:税・サ込)

♢スタンダードアフタヌーンティー  平日 7,900円 / 土日祝日 8,500円 ※平らなガラスのプレートでご用意。  約20種のドリンクセレクションより。

♢コンラッド・ベア付き・スタンダードアフタヌーンティー 9,400円 ※スタンダードの内容にコンラッド・ベアが付いたプラン。

♢乾杯のシャンパーニュ付き デラックスアフタヌーンティー 12,500円 ※コンラッド・ベア付き。さらに「国産メロンプレート」、限定セイボリー「帆立とバジル香るズッキーニのタルト」付き。乾杯のグラスシャンパーニュ1杯+約20種のドリンクより。

提供期間: 〜2026年6月15日(月)

場所:コンラッド東京  28階 バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」

提供時間:毎日 11:00~16:30(2時間制) 

予約・お問い合わせ:https://conrad-tokyo.hiltonjapan.co.jp/plans/restaurants/afternoontea/twentyeight-early-summer または 03-6388-8745(レストラン予約直通)

内容:

〈スイーツ(全5種 / デラックスアフタヌーンティーは全4種)〉抹茶とチョコレートのタルト ローズマリーの香り、抹茶とレモングラスのチーズケーキ ジャスミンとミントクリーム ※スタンダードアフタヌーンティーにてご提供、抹茶ムース いちごとバジルのジュレ、抹茶のケーキ ジンジャーレモン、抹茶とティムールベリーのジュレ ココナッツソースとアロエ

〈セイボリー(全3種 / デラックスアフタヌーンティーは全4種)〉抹茶パンのコルドン・ブルー、オマール海老とアボカドのワカモレ、ボタニカルなドフィノワポテト、帆立とバジル香るズッキーニのタルト ※デラックスアフタヌーンティーにてご提供

〈スコーン〉プレーンスコーン、抹茶とホワイトチョコレートのスコーン(クロテッドクリーム、瀬戸内レモンジャムを添えて)

〈国産メロンプレート〉※デラックスアフタヌーンティーにてご提供

〈お飲み物〉ウェルカムドリンク:宇治抹茶の塩ミルクフォームラテ、紅茶やコーヒー等を含む約20種のドリンクセレクションからお好きなものをお好きなだけ。

■技術的視点:「テルペンの共有」——抹茶とハーブが惹かれ合うロジック

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』(写真左より)抹茶とチョコレートのタルト ローズマリーの香り、抹茶とレモングラスのチーズケーキ ジャスミンとミントクリーム、抹茶ムース いちごとバジルのジュレ、抹茶のケーキ ジンジャーレモン、抹茶とティムールベリーのジュレ ココナッツソースとアロエ

今回の構成で最も驚かされるのは、抹茶とハーブが持つ共通の香気成分(テルペン類)に着目した分子ペアリングの妙です。 「山政小山園」の宇治抹茶が放つ、突き抜けるような清々しいトップノート。これを単なる「お茶の味」に留めず、ボタニカルな香りで「ブースト」させることで、抹茶の潜在能力を極限まで引き出しています。まさにモダン・パティスリーの最前線と言える、5つのスイーツに秘められた知的な設計図を読み解きます。

・抹茶×ローズマリーの衝撃:「抹茶とチョコレートのタルト」

ガナッシュにローズマリーのウッディな清涼感をインフューズ。ローズマリーに含まれるピネンやシネオールといった成分が、抹茶の持つ「野性味のある青さ」と共鳴し、味わいに垂直的な奥行きを与えています。タルトの上に配されたナスタチウムの葉と、その上で輝く透明な雫(ゼリー)を崩せば、口内は一瞬で朝露に濡れた新緑の森の香りに包まれます。

・抹茶×レモングラス×ミント:「抹茶とレモングラスのチーズケーキ ジャスミンとミントクリーム

濃厚な抹茶のテリーヌに、隠し味としてレモングラスのシトラス香を忍ばせています。ここにジャスミンとミントを合わせた軽やかなクリームが重なることで、抹茶の苦味を軽やかに包み込みつつ、後味には抜けるような爽快感が残る設計。重厚さと軽やかさが同居する、テクスチャーの対比も見事です。

抹茶×バジル:「抹茶ムース いちごとバジルのジュレ」

いちごの凝縮した甘味にバジルのスパイシーな芳香を合わせたジュレを、なめらかな抹茶ムースに閉じ込めました。バジルが抹茶の「ハーブとしての側面」を強調し、ベリーの酸味と苦味が交差する瞬間、果実味の瑞々しさが爆発的に広がります。土台のビターなココアクッキーが、全体をガストロノミーな一皿へと引き締めています。

・抹茶×ジンジャー:「抹茶のケーキ ジンジャーレモン」

「抹茶のケーキ ジンジャーレモン」画像 右

しっとりと焼き上げた抹茶スポンジに、ジンジャーの温かみのある刺激とレモンコンフィの果肉感を練り込んでいます。ジンジャーの辛みが抹茶の渋みの輪郭を際立たせ、噛むほどにレモンの酸味がリフレッシュさせる。ラズベリーのトッピングが、彩りと共に「香りの重心」を高く保ち、多層的なフレーバーを演出。

抹茶×ティムールベリーの革新:「抹茶とティムールベリーのジュレ」

ネパール産ペッパー「ティムールベリー」が持つグレープフルーツのような柑橘香と、山椒に似た微かな刺激を抹茶のパンナコッタに同期させました。抹茶の苦味を「洗練されたスパイス感」へと翻訳し、ココナッツソースの乳的な甘みがそれらを優しく融和させます。アロエの食感がアクセントとなり、抹茶の新しい表情に、誰もが「こんなお茶の楽しみ方があったのか」と膝を打つはずです。

これらの構成は、単に抹茶に香りを足したのではなく、「香りの共通項を探し出し、素材同士を分子レベルで結合させた」結果。一皿ごとに異なるボタニカルな物語が展開される、コンラッド東京ならではの知的で心弾むような食の冒険を体験できました。

  

■デラックスプランの特権:メロンという「究極のボタニカル」 

さらなる贅沢を求めるなら、シャンパーニュの泡とともに「デラックスアフタヌーンティー」を。 

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』デラックスアフタヌーンティー

中央の支柱から軽やかにアームが伸びる、モダンな専用スタンドは、まるで植物が光を求めて枝を広げるような造形美。その最上段、クリスタルボウルで艶やかに輝く「国産メロンプレート」は、もはやそれ自体がひとつの芸術品です。

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』デラックスアフタヌーンティー

熟したメロンの濃厚な甘みと果汁が、抹茶の渋みと溶け合う瞬間は、まさに大人のための官能的なご褒美。さらに限定セイボリーの「帆立とバジル香るズッキーニのタルト」が、宝石のような透明感とハーブの爽快感を添え、この空中庭園の体験をより完璧なものへと押し上げます。

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』帆立とバジル香るズッキーニのタルト

ウェルカムドリンクの「宇治抹茶の塩ミルクフォームラテ」で喉を潤し、都会の空に浮遊するような心地よさの中で、次々と解き放たれる香りのマジック。

『抹茶と香りのアフタヌーンティー “ボタニカルガーデン”』手前:スタンダードアフタヌーンティー / 奥:デラックスアフタヌーンティー

コンラッド東京が仕掛けるのは、抹茶という伝統を「香り」という自由な翼で解き放つ、知的で心弾むような食の冒険です。

  

コンラッド東京

住所:東京都港区東新橋1-9-1 

HP:https://conrad-tokyo.hiltonjapan.co.jp/

   

6.ザ・キタノホテル東京

【純潔なる新緑:オールグルテンフリーで解き放たれる、宇治抹茶の真髄】

東京で唯一の「ルレ・エ・シャトー」メンバーホテルとして、世界基準のホスピタリティを誇る「ザ・キタノホテル東京」。その根底に流れるのは、ゲストの心身を整える“ウェルネス”への徹底したこだわりです。 今春、オールデイダイニング「ティーラウンジ佳風(かふう)」にて提供される「早緑(さみどり)のアフタヌーンティー」は、全メニューがオールグルテンフリー。制約をあえて設けることで、素材のクオリティを極限まで際立たせた、極めて純度の高いティータイムを提案しています。

『早緑(さみどり)のアフタヌーンティー』

価格: お一人様 7,500円(税込・サ別)

提供期間: 〜2026年5月31日(日)

提供提供:15:00~18:00(L.O. 17:00 / フリーフロードリンク L.O.17:30)無休

場所: ザ・キタノホテル東京 2階「ティーラウンジ佳風」

内容:

〈スイーツ(全8品)〉苺大福、抹茶ロール、抹茶ラミントン、ボンボンショコラ抹茶、抹茶マカロン、ゼリー(抹茶&梅酒)、抹茶のフォンダンショコラシュークリーム、スコーン2種(抹茶、小豆きな粉)ジャムとクロテッドクリーム添え

〈セイボリー(全4品)〉 フィンガーフード2種、本日のスープ、米粉パンケーキ、そば粉のガレット(桜えび&ツナ) 

 ※メニュー内容は予告なく変更となる場合があります。

技術的視点:米粉と抹茶が奏でる「温度と食感のコントラスト」 

今回の主役は、京都宇治の老舗「山政小山園」が誇るお茶席用の高級抹茶「さみどり」。シェフパティシエ伊東友一氏が挑んだのは、小麦粉を一切使わずに、抹茶の香りを最大化させるテクスチャーの追求です。 

特筆すべきは「抹茶のフォンダンショコラシュークリーム」。

米粉で仕立てたサクサクのシュー生地を割ると、中から温かな抹茶クリームが溢れ出します。

米粉特有のキレの良い口溶けが、抹茶の持つ力強い旨味と香りをダイレクトに舌へと届け、小麦粉特有の重たさを感じさせない、洗練された後味を創出しています。

  

和敬清寂を体現する「心身のリセット」 

竹林を臨む吹き抜けの空間と、本格的な立礼式茶室。ザ・キタノホテル東京が大切にする「和敬清寂」の精神は、スイーツの細部にも宿ります。

 「抹茶ラミントン」や「抹茶マカロン」といった洋のエスプリと、丁寧な手仕事が光る「苺大福」のような和の意匠。

それらすべてがグルテンフリーであるという事実は、ダイエタリーな需要を超え、美食を愉しみながらも身体をいたわるという「新しい贅沢」の形を提示しています。

  

セイボリーの洗練:そば粉と米粉が描く、春の彩り 

セイボリーにおいても、その哲学は揺るぎません。「そば粉のガレット」は桜えびの香ばしさを引き立て、ふんわりと焼き上げた「米粉パンケーキ」は、抹茶の渋みを受け止める優しい甘みを添えます。

都会の喧騒を忘れさせる洗練の空間で、最高級抹茶の香りに包まれる。それは単なる食事ではなく、心身を清らかな新緑の色に染め上げる、極上のリトリート体験です。

  

「ザ・キタノホテル東京」

住所:東京都千代田区平河町2-16-15 

HP:https://www.kitanohotel.co.jp/tokyo/

7. LEXUS MEETS(東京ミッドタウン日比谷1階)

【テロワールの疾走:「MORIZO TEA」が描く新緑のランドスケープ】

東京ミッドタウン日比谷の顔であり、「LEXUS」が提案する和スイーツと日本各地の魅力を愉しむカフェラウンジ「LEXUS MEETS...」。

2024年のリニューアルを経て、「日本各地の道と、その先にある食文化」を五感で体験するカフェラウンジへと進化を遂げました。

ここでは「出会う、触れる」というブランド体験が、食を通じた豊かな時間へと昇華されています。店内を彩るのは、LEXUSのクラフトマンシップに通ずる日本各地の伝統工芸や、実際に走った「道」の風景を彷彿とさせる洗練されたインテリア。今回、本特集のテーマ「新緑、薫る。」を体現するのは、トヨタ自動車会長・豊田章男氏(モリゾウ)が愛する「道」の記憶を、甘味と香りで編み直した至高のアフタヌーンティーです。

今春登場した「AFTERNOON TEA with MORIZO TEA Sweet Selection」は、これまでの枠組みを拡張し、素材の機能性と嗜好性を極限まで追求した、まさに「レクサス・クオリティ」の結晶と言えるでしょう。

『AFTERNOON TEA with MORIZO TEA Sweet Selection』

価格: 7,500円(税込) ※スパークリングワイン(グラス)追加 +1,200円

提供開始: 2026年4月3日(金)より

提供時間: 12:00~16:00オーダー分まで(2名様より・完全予約制)

場所: 東京ミッドタウン日比谷 1F「LEXUS MEETS...

予約HP:https://www.tablecheck.com/ja/lexus-meets/reserve/experiences

内容:

〈スイーツ〉本日の五街道団子1種、マスカルポーネどら焼き、あんみつ、抹茶豆乳プリン、ミニMORIZO SPECIAL、ミニ道セレクション、今月のプチガトー、季節のフルーツタルト、ミニかき氷(秀月堂監修)

〈セイボリー〉厚焼き玉子サンド、鴨ロース柑橘添え、サーモンマリネ

〈ドリンク〉MORIZO TEAお一人1杯、コーヒーやお茶各種はフリーフロー(スパークリングワイン(グラス)の追加は+1,200円 )

※一部内容は季節により変わります

  

■技術的視点:高オレイン酸大豆と宇治抹茶の「機能的乳化」が生む至高のテクスチャー

今回の「新緑」というテーマにおいて、ガストロノミーとしての技術的中核を成すのが、Sweet Selection限定の「抹茶豆乳プリン」。

ここで使用されているのは、マルサンアイとトヨタ自動車が共同開発した「高オレイン酸 国産大豆の無調整豆乳」。いわば「エンジニアリングの視点から生まれた次世代の植物性ミルク」を使用している点にあります。

通常の大豆に比べ、酸化に極めて強いオレイン酸を豊富に含むこの豆乳は、時間が経過しても風味が劣化しにくいという物理的特性を持ちます。抹茶は光や酸素に弱く、繊細なアロマが損なわれやすい素材ですが、この安定した「高オレイン酸」の脂質が抹茶の微細な粒子を均一にコーティング。口に運ぶその瞬間まで、宇治抹茶の鮮烈な「新緑の香り」を逃さず閉じ込めています。

「植物性タンパク質」による、重厚な乳化の再定義: 

動物性生クリームのような重たさではなく、大豆由来の良質なタンパク質と脂質によって抹茶を乳化させることで、驚くほどなめらかでシルキーなテクスチャーを実現しました。乳脂肪の「膜」で味を覆い隠すのではなく、大豆のピュアな甘みが抹茶の苦味を下支えし、旨味を増幅させる設計。 咀嚼(そしゃく)の必要がないほどに、舌の上で液体へと還る瞬間の「フレーバーリリース(香りの解放速度)」の速さは、まさに素材を分子レベルで捉え、機能性を再定義する次世代ガストロノミーの形です。

  

香りの体験型SDGs「MORIZO TEA」が描く、森の深呼吸

アフタヌーンティーの支柱となるのは、プレミアムクラフトティー「MORIZO TEA」。その開発の原点は、ROOKIE Racingオーナーかつレーシングドライバーであるモリゾウ氏が発した「モリゾウ、森を飲む」——この詩的なコンセプトのもとにブレンドされた「MORIZO TEA」は、新緑の季節を最も愛するモリゾウ氏の感性を形にしたもの。

新緑の森で深呼吸をしたときに感じる、風にそよぐ緑、芳しい根や土の香り、そしてどこかで可憐に咲く花の香り。この、レーシングドライバーとして自然と対峙する中で研ぎ澄まされた感覚を一杯のグラスに表現すべく、静岡県の富士スピードウェイ周辺の雄大な自然にインスパイアされた独自のブレンドが誕生しました。

ベースとなるのは、農薬不使用で厳選された静岡県産の緑茶。旨みとほのかな渋みを最大限に引き出すよう丁寧に抽出され、そこに「森を感じる素材」としてキンモクセイ、黒文字、バーベナ、シナモンを絶妙な比率でブレンドしています。緑茶の上品な味わいの中に、清々しさや森の豊かさを感じさせる香りが幾重にも広がり、飲み終えた後には柔らかく穏やかな余韻が続きます。この一杯を味わうことは、富士スピードウェイ周辺の自然環境の保全活動(植林活動など)への支援にも繋がります。

  

五街道団子:お皿の上で旅を愉しむ、シグネチャーの妙

LEXUS MEETS...の象徴的な一皿が「日比谷 五街道団子」です。米粉と水のみで練り上げたコシのある団子を、五街道で出会う土地それぞれの餡で表現。

抹茶餡(東海道・静岡) / 栗餡(中山道・長野) / いちご餡(日光街道・栃木) / 赤ワイン餡(甲州街道・山梨) / ずんだ餡(奥州街道・宮城) 

この中から「本日の1種」が提供され、スパークリングワインとの意外なほど鮮やかなペアリングも提案されています。

   

「MORIZO SPECIAL」と抹茶豆乳プリン:心身を整え、五感を加速させるペアリングの妙

アフタヌーンティーに鮮やかな色彩を添える「MORIZO SPECIAL」は、豊田章男会長が多忙な日々の中で自身のコンディションを整え、リフレッシュするために愛飲しているプライベートレシピを特別に再現したシグネチャードリンクです。会長自身が大切にしている「心身を解き放つ時間」をゲストと共有するこの一杯は、旬の果肉感を贅沢に残した瑞々しい仕立てが特徴。

このドリンクが真価を発揮するのは、限定スイーツ「抹茶豆乳プリン」と合わせた瞬間です。高オレイン酸大豆由来のプリンが持つ豊かな「コク(脂質)」が、ドリンクの鮮烈な「酸」によって鮮やかに輪郭を整えられ、最後には抹茶の清々しい余韻だけが心地よく鼻腔を抜けていきます。

それはまさに、ラグジュアリーブランドのLEXUSが、スイーツという小宇宙においても一切の妥協なく「至高の走行性能(食べ心地)」を追求した、会心の一皿。素材同士が完璧に調和し、次の一口へとスムーズに加速していくような体験は、LEXUS MEETS...でしか味わえない至福のひとときです。

  

「秀月堂」監修かき氷:三河の絆が紡ぐ、一期一会の「氷の芸術」

この「走行体験」のフィナーレを飾るのが、愛知県蒲郡市の名店「秀月堂(しゅうげつどう)」が監修するかき氷。トヨタのルーツである三河エリアで絶大な支持を得る伝説的な甘味処とのコラボレーションは、まさに地域の魅力に光を当てるLEXUS MEET...の活動の象徴。

新フレーバー「グレープフルーツ」による風味のクレンジング

今春新たに登場した「グレープフルーツ」は、瑞々しい酸味と皮に近い部分の「わずかな苦味」をあえて抽出したシロップを使用。この微かな苦味が、抹茶の余韻を鮮やかにクレンジングし、清涼感あふれる後味へと導きます。緻密に計算された削りによる軽やかな口溶けは、まさに日比谷の風を感じながら味わうにふさわしい、一期一会の逸品です。

「LEXUS MEETS...

住所:東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷 1階

HP: https://lexus.jp/brand/lexus_meets/

  

パティシエたちが編み出す「未来の和」

新緑の季節、私たちが目にするのは単なる「緑のスイーツ」ではない。それは、日本茶という歴史ある素材を、現代のパティシエが科学的、かつ芸術的に解剖した結果生まれた「新しい食の言語」である。

かつて和素材は、伝統という名の制約の中でその姿を保ってきた。しかし今、ホテルやブランドの厨房で起きているのは、素材の解体と再定義だ。

抹茶を「苦味」という味覚から「テルペン」という香気成分へと読み替え、ほうじ茶の焙煎香を「メイラード反応」という熱力学の視点で捉え直す。この知的なアプローチこそが、和スイーツを単なる「懐古」から「革新」へと押し上げる原動力となっている。

今回巡った各地の風景には、共通する「未来の兆し」があった。それは、和素材を単なる「懐古」から「革新」へと押し上げる、三者三様の知的なアプローチである。

・香りの構造改革:ロイヤルパークホテル × 森乃園 

老舗の焙煎香を「メイラード反応」という科学の視点で捉え直し、洋菓子のレイヤー構造へと翻訳。伝統的な「ほうじ茶」を、緻密な多層設計によって現代的なアロマの芸術へと昇華させた。

・分子レベルの共鳴:コンラッド東京 

抹茶を一つのボタニカル素材として解剖し、ハーブとの「テルペン共有」による分子ペアリングを実践。既存の抹茶スイーツの枠組みを壊し、香気成分の同期によって「未知の清涼感」を創出した。

・次世代の素材工学:LEXUS MEETS...

「高オレイン酸大豆」という最新の食品工学を、伝統的な和甘味の乳化技法へと融合。美味しさと持続可能性、そして「走行性能」にも似た極上の食べ心地を両立させる、ラグジュアリーの新たな機能美を提示した。

私たちがこれらの「至高の和スイーツ」を口にする時、味わっているのは単なる甘味ではなく、日本の風土が育んできた文化と、未来を切り拓くクリエイティビティの火花である。

パティシエたちの指先から紡ぎ出されるのは、古き良き日本への敬意を抱きつつも、世界の食文化と対等に渡り合うための強靭なロジックを孕んだ、美しき「未来の和」。

新緑の香りが鼻腔を抜けるその刹那、私たちは伝統が更新される瞬間の、目撃者となるのである。