※安孫子宏輔さんのCandy Boy卒業に伴い、“安孫子宏輔(Candy Boy)の「あびこ菓子」”を再編集して公開しております。
安孫子宏輔さんのスイーツ連載「あびこ菓子」。 今回のテーマは「ドーナツ」。おなじみのドーナツチェーン店との思い出とは?
第15回 安孫子さんとドーナツ
――今回のテーマはドーナツですが、選んだ理由は何ですか?
思い返してみると、“スイーツ”というものを意識なしないときから、ドーナツは食べていましたよね。ドーナツはお出かけのときとか、ちょっとテンションが上がるときに食べることが多くて、ドーナツにフォーカスしてみようと思いました。
――やはりドーナツといえば「ミスタードーナツ」ですかね。
僕の中でのドーナツのイメージは、ミスタードーナツが強いです。
――ミスドに行ったら何を選びますか?
僕はフレンチクルーラーの一択ですね。
ちょっと調べてみたら、ドーナツにはイースト菌で作るドーナツ、ベーキングパウダーで作るドーナツ、シュー生地で作るドーナツがあって、フレンチクルーラーはシュー生地だったんですよね。
僕、やっぱりシュー生地が好きなんだな、と思いました(笑)。
でも、もうちょっと上の世代の方だと、お母さんが家で作ってくれるお菓子というイメージがあるかも知れないですね。
――確かにそうかもしれませんね。
僕らの世代だと、ドーナツといえばひたすらミスタードーナツ。
スイーツを選ぶ楽しさは、ミスタードーナツで覚えたかも。
――他にどんな思い出が ありますか?
小学生のころ、友達の家に遊びに行くときに親に持たされた思い出があります。逆に友達が持ってきてくれることもあって。
そのときはフレンチクルーラーの奪い合いでしたね(笑)。
中学生くらいになると、友達と駅前で遊ぶようになるんですけれど、福島駅のミスタードーナツにはよく行きましたね。ちょっとドキドキしながら、イートインで食べるみたいな。
マクドナルドの次のステップくらいが、ミスタードーナツでしたね。
田舎の中学生はそこが多分一個のステップなんですよ(笑)。
――そういう思春期の思い出もあり(笑)。
そうですね。福島駅東口のミスタードーナツは、常に僕の青春の傍にありました。
――中学生はカフェには入りにくいですからね。
高校生の時は、多分スターバックスはなかったですもん。あったかもしれないけども、病院に入っていて、駅に作ればいいのにと思っていましたね。
なので、ミスタードーナツは初めてのデートに使えるお店だったかもしれないですね。
――制服を着た若いカップルがミスドデートとか、なんかいいですよね(笑)。
お店はガラス貼りになっているじゃないですか。前を通るときは、必ず誰か知り合いがいないかを確認したりして。これって田舎あるあるですよね(笑)。
――14~15年くらい前には、クリスピー・クリーム・ドーナツも流行りましたね。
僕はクリスピー・クリーム・ドーナツを知ったのが遅くて、東京に出てきて初めて出会いました。舞台の差し入れに多くて、「何だこのおしゃれなドーナツは!!」と(笑)。
――その後は、焼きドーナツとか生ドーナツとかクロナッツとかも流行りました。
進化がすごいですよね。それこそポン・デ・リングもチーズパンのポン・デ・ケイジョが元なんですよね。
ポン・デ・リングは僕が小学生の頃に出てきたんのですが、2000年くらいですかね(注:2003年)。
――あのポン・デ・ライオンのグッズが欲しくてお店に行きましたよ。
やたらかわいかったですよね。
ドーナツは歴史ある家庭のお菓子だった思うんでけれど、どんどん新しいのが出てきますよね。
お皿にのってデザートっぽい感じで出てきたりとか。だからおもしろいですよね。
――ギャラクシーっぽいやつとか、デコったやつとかありますよね。
文化ですよね。見た目がかわいい。
――まだまだ進化しそうですよね。
でも、ちょっと大人になってきて、オールドファッションの良さがわかるようになりました。
自分の年齢によって好きなドーナツが変わってくるのが面白いですよね。
だからドーナツには楽しいお菓子のイメージがあります。
ちょっと特別なときにあるお菓子というか、ちょっとしたご褒美というか。
――あとは何かドーナツで話したいことはありますか?
ドーナツの穴の話ですかね。諸説ありますけれども。
――ドーナツの穴は何のためにあるのか? 火の通りを良くする以外にも説があるんですね。
中には「絶対に違うでしょ」っていうのもあるんですよ。
船の舵輪にかけられるようにとか。もともと真ん中にクルミをのせて揚げていたのが、アメリカではクルミが採れなかったからとか。インディアンの矢が突き刺さって真ん中がなくなったとか。
嘘でしょっていうような(笑)。
――確かにそうですね(笑)。
最初に作った人の頭の柔軟さはすごいですよね。穴を開けることで、火の通りは絶対に良くなるし。
ドーナツがこのリング状じゃなかったら、ここまで取り沙汰されていなかった気がします。
でも、僕、中学生くらいのときはドーナッツ離れしていたんですよね。
――なぜですか?
パンもドーナツも100円くらいじゃないですか。
でも、真ん中が空いているドーナッツは質量が少ないですよね。同じ値段なのに贅沢だなと。
中学生の頃は食べ盛りで「質より量」だったので、ドーナツ離れしていましたね。
――最近ブームは少し落ち着いた状況ですが、これからも目が離せませんね。
また進化があったら注目されそうですよね。絶対形は変わらないとは思うんですが、どんなドーナツが出てくるのか楽しみです。
――そうですね。ありがとうございました。
撮影|伊藤 駿
※安孫子宏輔さんは2022年12月31日をもって、Candy Boyを卒業しております。