[佐藤ひと美のスイーツレポート164]新生「LE CHOCOLAT DE H(ル ショコラ ドゥ アッシュ)」本格始動!! 日本発 FARM to BAR ショコラブティックとして、国内ショコラトリーでは他に類を見ない大型ラボが埼玉県吉川美南に誕生

国内外の数々の洋菓子のコンクールで優勝経験を持つ、日本を代表する世界的パティシエ・ショコラティエ辻󠄀口博啓 氏。

現在は、東京・自由が丘「モンサンクレール」をはじめ、コンセプトの異なる11ブランドを展開するだけでなく、スイーツを通した地域振興、後進の育成、企業とのコラボレーションやプロデュース、講演や著書出版など幅広い活動をしています。

その中で、2003年より手掛けているショコラブランド「LE CHOCOLAT DE H(ル ショコラ ドゥ アッシュ)」が『FARM to BAR』のショコラブティックとして先日から本格始動しました。

ということで今回は、先日開催された

〜イオンタウン吉川美南、アクアイグニス吉川美南 東街区オープン1周年記念〜 製造工程を見ながら味わうプレス向け新作発表会 & ショコラ ラボ内覧会の参加レポートをお届けしていきます。

2013年に開店した「イオンタウン吉川美南」。3期として東街区を増床オープンさせた2021年6月のオープン内に併設された「アクアイグニス吉川美南」。

元は、2012年10月に三重県菰野町に“癒し”と“食”をテーマとした複合温泉リゾート「アクアイグニス」から物語が始まります。

https://aquaignis.jp

湯の山地域から出る源泉100%の温泉で癒され、パティシエ 辻󠄀口博啓 氏が率いる究極の地産地消を実現するパティスリー「コンフィチュール アッシュ」とベーカリー「マリアージュ ドゥ ファリーヌ」、天才イタリアンシェフ 奥田政行 氏によるオーガニックイタリアンレストラン「サーラ ビアンキ アル・ケッチァーノ」と「イル・ケッチァーノ ミエーレ」、賛否両論の笠原シェフが手掛ける和食店「笠庵」賛否両論による食の提供。

「素材作りにまで徹底的にこだわる一流料理人が生み出す」という、ひと味違った空間づくりが話題となり、日本各地から年間100万人の来場者が訪れ愛される人気リゾートになりました。

そのアクアイグニスが、関東初出店として昨年6月、埼玉県吉川市に「アクアイグニス吉川美南」を展開。

https://aquaignis.jp/yoshikawaminami/

アクアイグニス吉川美南」では、 辻󠄀口博啓 氏が手掛けるショコラトリー「LE CHOCOLAT DE H(ル ショコラ ドゥ アッシュ)」とベーカリー「Mariage de Farine(マリアージュ ドゥ ファリーヌ) イオンタウン吉川美南店」 、アル・ケッチァーノ奥田政行シェフ プロデュースの自然派イタリアン「PASTA & PIZZA il-ché-cciano(パスタ&ピザ イル・ケェッチァーノ)」、中華の達人菰田欣也シェフプロデュースの カジュアルチャイニーズレストラン「麻婆点心館」 、回転寿司激戦区と言われる金沢市でトップクラスの「金沢まいもん寿司」それぞれが埼玉県初出店。

地下 1,500mから湧出する天然温泉の温浴施設として「アクアイグニス武蔵野温泉」が県内初、イオンタウン初出店で誕生と話題になりました。

日本発 FARM to BAR ショコラブティック「LE CHOCOLAT DE H(ル ショコラ ドゥ アッシュ)

https://www.lcdh.jp/

埼玉県吉川美南に構える「LE CHOCOLAT DE H(ル ショコラ ドゥ アッシュ)」のショコララボは、ペルーの自社カカオ農園で栽培し、熟成発酵したオリジナルのオーガニックカカオ豆をタブレットショコラになるまで一貫して手掛ける日本発の『FARM to BAR』ショコラブティックです。

『FARM to BAR』とは、ショコラ製造の手法のひとつ。

日本でもよく耳にするようになったカカオ豆(BEAN)から板チョコレート(BAR)になるまで一貫した製造を手掛ける『Bean to Bar』からさらに一歩踏み込み、カカオ農園(FARM)での栽培から関わり板チョコレート(BAR)までを、一貫して行うスタイルのことを指します。

LE CHOCOLAT DE H 自社農園

カカオ豆を発酵させる際のかき混ぜ方や、発酵日数、乾燥時間を変えることでショコラの味が変わってくるので、こだわりを突き詰め、オリジナリティを可能にするという魅力にショコラティエは惹かれているのかもしれません。

LE CHOCOLAT DE H
FARM to BAR 製造工程

LE CHOCOLAT DE H(ル ショコラ ドゥ アッシュ)」では、自社農園のカカオ豆や、世界各所の産地から選び抜いた高品質なカカオ豆を使い、独自に開発されたロースターで製造工程までも徹底管理した世界最高品質で唯一無二のタブレットショコラの新作ラインを発売開始しました。

吉川美南店に構えるラボでは、「LE CHOCOLAT DE H」専用に開発されたという”高圧ガス使用”のボールロースター焙煎機を使用し、カカオ豆の特徴に合わせ職人たちが細かく調整。

カカオ豆最大 60kg焙煎可能というだけでなく、”高圧ガス使用”にすることでカカオに対するアプローチが全く違うので設備完成までに一年かかったのだそうです。

また、リファイナーで粉砕、細かくすり潰しペースト状にする段階で、人間の舌でざらつきを感じないという”20μ”の粒子まで細かくしているので、口当たりなめらかなタブレットショコラが実現。

「ROASTER ROOM」の設備全てのこだわりもあり、カカオの持つアロマを最大限に生かしたスペシャルショコラの完成に辿り着いたそうです。

国内ショコラトリーでは他に類を見ない「LE CHOCOLAT DE H」 の日々職人達が研究を重ねる大型ラボ「ROASTER ROOM」へ潜入!!

【CONTROL 品質管理】

農園から到着した高品質なカカオ豆は産地によって異なる香りや味わい、品質を守るため、貯蔵温度・湿度を厳重に管理。最適な状態を保つ室内では、麻袋に入ったカカオ豆が保管管理されています。

【SORT 選別】

製造工程に入る前にカカオ豆を広げ、フレーバーの製造に悪影響が出ないようカカオ豆の状態を確認し、手作業で選別。

【ROASTING 焙煎】

辻󠄀口博啓 氏がこだわったカカオのアロマを最大限に引き出すショコラ専用のボール型ローストシステム。

ベルトコンベアで運ばれたカカオ豆は、それぞれの特徴に合わせ、風量や火力などを細かく調整しローストしていきます。

【WINNOWING 分離】

焙煎後のカカオ豆を細かく砕き、ウィノワの吸引によって外皮(ハスク)と内側(ニブ)に分離します。

ウィノワで取り切れなかったハスクは目視、手作業で丁寧に取り除きます。

【MIXING 混合】

ウィノワと手作業での分離工程を終えたカカオニブは、粉糖などを加えて混合。

【REFINING 磨砕】

次にリファイナーで粉砕、細かくすり潰しペースト状にします。国内ショコラトリーでも類を見ない五段ローラーのリファイナーを使うことで、口当たりやなめらかさを実現。

【CONCHING 精錬】

コンチングは微細化したカカオフレークの不要な水分や酸を飛ばし練り上げる工程。コンチングを経ることにより、味をまろやかにし、産地の違うカカオ豆の特徴を最大限に活かした口どけの良いショコラに仕上がります。

新作「TABLETTE DE CHOCOLAT」

ペルーにある自社カカオ農園で育てたナチーボ、チュンチョ、カカオブランコを使った完全『FARM to BAR』シングルオリジンタブレットショコラ 4種類の他、カカオ農園やカカオ豆の選定から一枚のタブレットショコラに仕上げた『BEAN to BAR』8種類 の計12種が「TABLETTE DE CHOCOLAT」(税込780円)のシリーズとして新登場。

プレス向け新作発表会で、全種のテイスティングをさせて頂きましたが、それぞれの個性をしっかりと活かし、楽しめる力強いアロマが特徴的なので、食べ比べもよし、好みの味を好みのタイミングで嗜むもよしなラインナップでした。

♢ PÉROU Cacao blanco 70%  ※『FARM to BAR』

ペルー北部の、高品質のカカオ豆として名高いピウラ地方で採れるホワイトカカオを使用。

ラズベリージュースにライム、グレープフルーツのゼストを加えて、さらにバルサミコ酢で酸を強調したような、まるでフレッシュミックスジュースのような鮮烈な味わい。

口中に留まる渋味や、黒糖の味わい、ディルのような青いハーブなど、様々な表情を見せてくれるタブレットショコラです。

♢ PÉROU Cacao chuncho 70% ※『FARM to BAR』

ペルー南部の山間部クスコ地方で作られる希少品種「チュンチョカカオ」。

マンゴーやパッションフルーツなどのトロピカルフルーツの要素がはっきり感じられ、カカオ由来としては珍しいマスカットの風味も感じられる稀有なショコラです。

コーヒーやナッツ、シナモンの要素が、渋味と共に味わいに奥行きを与えてくれます。

♢ PÉROU Cacao amazon nativo 70% ※『FARM to BAR』

ペルー中部で栽培される、世界的にみても希少且つ高品質なアマゾンナティーボ・クリオロから作られるプレミアムショコラ。

柑橘系の香りと共にココナッツやアーモンドといったナッティな含みが感じられます。

シナモン、生姜、わさびのニュアンスが、まるでスパイシーなチョコレートドリンクを飲んでいるかのような印象を与えてくれるのも特徴的。

♢ VENEZUELA 70%

ベネズエラの首都カラカスの西方にあるパタネモで栽培される、世界的にも希少なクリオロ種のカカオ豆を使用したショコラ。

ライムやブラッドオレンジなど柑橘類を思わせる溌剌とした印象と共に、レッドフルーツ、レモングラスやペッパーの辛味、続いて仄かなアニマリックな香りが伴いラグジュアリーでセクシーなショコラに仕上がっています。

♢ MADAGASCAR 70%

北西部サンピラーノ渓谷で厳密な温度管理のもとに発酵され、天日干しされたカカオ豆は酸味とレッドフルーツを明らかに示し、この国のカカオの特徴を見事に表現しています。

ジューシーでありながらシナモンや土の香りも存在し、ミントやレッドペッパーのようなスパイシーさと、やや強い渋味により、重厚感のある味わいに仕上がっています。

♢ République de Trinité-et-Tobago 70%

トリニタリオ種の名前の由来となったこの島国は、高品質のカカオ豆を産出することで知られています。 

スモーキーなフレーバーが特徴的で、ピートのような香りがすることからスコッチウイスキーやギネスビールを連想させます。 黒糖やきなこ、ほうじ茶、ゴボウなど、甘やかで重い香りに加えて、やや強めの渋みがありフルボディの赤ワインのようでもありながら柑橘類の爽やかさも共存し味わうほどに様々な要素を感じることができます。

♢ EQUATEUR 70%

エクアドル中西部海岸地域で栽培され、 品質の高さで名高い稀少なアリバ種のカカオ豆を使用した贅沢なショコラです。 

フローラルな香りがクローズアップされやすいアリバ種ですが、フルーツ(ライム、グレープフルーツ)、スパイス(シナモン、 ペッパー)、ハープ(ミント)、さらにはミルクコーヒーのような風味に程良い渋味、酸味、苦味が加わり非常にバランスの取れた上品な味わいに仕上がっています。

♢ VIETNAM 70%

ベトナム南東部バリアブンタウはリゾート地としても有名ですが、山側には小規模なカカオ農園が広がっています。ベトナムの主要品種トリニタリオ種から作られるこのショコラはレモンやライムの柑橘の味わいが特徴です。 

カカオと共に植えられているペッパーやカシューナッツのニュアンスと共に、レモングラスや山椒、シナモン、コリアンダーなども感じられ、香りの重奏が複雑な印象をもたらしてくれます。

♢ PHILIPPINES 70%

メインノートはアーモンドやクルミなどのナッツ類。

ココナッツやコーヒー、黒糖の風味も感じられどっしりとした満足感を与えてくれます。

爽やかな苦味と共にミントやシナモンのニュアンスもあり味わいに複雑さをもたらしています。

♢ TANZANIE 70%

赤道直下の南緯8度に位置するタンザニアモロゴロ州にて小規模農家たちによって作られる高品質のカカオ豆を使用。 

ラズベリー、カシス、ブラックベリーなどの赤系フルーツの中に、クローヴ、シナモン、コリアンダー、レモングラスなどのハーブスパイスのニュアンスが含まれます。 爽やかな酸味と程よい苦味を持つフレッシュなショコラです。

♢ PÉROU Chocolat au lait 50% ※『FARM to BAR』

ペルーの自社農園で栽培される希少なカカオ豆を使用したプレミアム・ショコラ オ レ。

アーモンド、いちご、ヨーグルトなどの優しい香りが漂い、クリーミーでありながらカカオ由来の酸が感じられる爽やかな味わいに仕上がっています。

♢ VENEZUELA Chocolat au lait 50%

ベネズエラのショコラノワールのビターな風味を生かした爽やかな柑橘類とレッドフルーツの風味が香るショコラ オ レ。

微かに感じられるカカオの発酵臭により、奥行きのある味わいになっています。

産地の異なる高品質なカカオ豆を使い、そのカカオのアロマを最大限に活かす製法で作り上げた新作ショコラ。独自に開発されたロースターで作る唯一無二のタブレットショコラ。それぞれの個性をしっかりと活かし、力強いアロマが特徴的です。

すべてこだわり抜いたショコラが、今後タブレットだけでなく、プティガトーなどさまざまな商品へとどう進化して行くのかも楽しみだ。今後の幅広い可能性も感じた発表会でした。

「TABLETTE DE CHOCOLAT」販売日:吉川美南店 6月3日〜、銀座本店 6月13日〜、VISON店 6月11日〜、アクアイグニス仙台店は7月1日からの販売とのこと。

また、6月11日(土)より「CACAO BEANS」も発売開始されるので、合わせて楽しんでいただけたらと思います。

 ーーー辻󠄀口博啓 氏コメント「FARM to BAR への想い」

カカオ農園に行って感じるのはショコラを長年作り続け、まだ知らない世界が此処にあるということでした。より深くカカオを知りたいという欲求から、品種の異なるカカオをそれぞれ育てあげるだけでなく、収穫後の発酵やその発酵後の管理により生まれる味わいを自社で研究開発する事が必要だと感じたのです。

私が自社農園をスタートする中で1番初めに選んだ地は南米ペルーです。サロン・デュ・ショコラ・パリでもショコラティエの間で非常に注目されているペルーのカカオ。アンデス山脈の豊かな水源、壮大な熱帯雨林、地球温暖化リスクにも耐えうる場所だと感じ、ペルーに的を絞り、農地を探し求めました。

ペルーの場所はまだシークレットですが、そのカカオのレベルはかなり高いものです。特にチュンチョと呼ばれる小さなカカオは香りの良さ、甘味、今まで食べたカカオの中でも濃厚な味わいを持っています。ペルーは北から南までそれぞれ特徴的な味わいのカカオが採れます。

北部ピウラ地区ではホワイトカカオ、ペルーの南部内陸ではチュンチョやナティーボが多く生息し、環境によって味わいが異なってきます。それを解読するのは難しいですが、発酵の仕方や管理によってかなりグレードの高いカカオができるでしょう。

また、カカオ農園の中に自然と生えてきた胡椒やカムカムなどの植物もこれからのショコラづくりに様々な付加価値をもたらしてくれるのではないかとFARM to BARでしかできない無限の可能性を感じています。

ショコラティエが手掛けるカカオ豆の栽培は、『これまでにないショコラを追い求める』といったショコラの可能性を更に広げるだけでなく、「サステナブル(持続可能)な社会」への取り組みにも深く繋がっています。

今回は、「FARM to BARショコラブティック」本格始動の第1弾としてカカオ豆のアロマを生かした産地を楽しむ新作12種類のタブレットショコラが販売開始されましたが、第2弾、第3弾と続くクリエイションも楽しみだなと感じる口にした瞬間の驚きと感動体験を味わうことができました。

是非、スイーツコンシェルジュの皆様にも新作タブレットの実食や、埼玉県吉川美南にある「LE CHOCOLATDE H(ル ショコラ ドゥ アッシュ)」のショコララボも見に行っていただけたら嬉しいな。と思います。

次回も素敵なスイーツ情報をお届けできたらと思っていますので、お楽しみに!!